転院先に…スーパーポジティブ母とスーパードクター現る

コクリコ 編集者
更新日:2019-09-17 07:04
投稿日:2019-06-04 06:00

母娘の心をわしづかみにしたT先生

 ほどなくして受付に母が到着し、一緒に診察室へ。

 ここで私の執刀医となるT先生とはじめてお目にかかります。のちに知るのですが、このT先生は婦人科がん分野で名医のリストに名を連ねるほどの方で、その曜日の午前中しか初診を受け入れていない超多忙な方だったのです。この日の大量出血が結果的にスーパードクターと巡り会うきっかけになりました。

「たいへんだったね~、なに救急車に乗ったの?」

 開口一番、T先生は穏やかに話します。

 なんなら、ちょっと笑ってる。かかりつけ病院の先生の深刻さとのギャップがすごい。

 ですが、先生の醸し出す穏やかな雰囲気をとても心地よく感じました。

「もう、がんっていうのは聞いてるんだよね?」

「聞いてます。がんになるなんて思わなくてびっくりしました。うちはがん家系じゃなくて。両親も元気だし……」

 と、横にいる母にちらと目をやると、

「え、お母さんなんだ! 若いね~、姉妹かと思いましたよ」と笑って仰るではないですか。

 母も「えー、そんな先生、私は母親なんですよー。先生、娘をよろしくお願いしますね!」と真に受けています。

 でも、そんなわけはないんです。だって、コクリコ母は67歳。

 ところがそんなやり取りのおかげで今朝から、いえ、がんと告知されてからずっと気を張っていたのがウソのようです。この段階ではがんの大きさもステージも不明でしたが、なんとなく「この先生なら助けてくれそう」と感じました。

「早速、内診しましょう。あー、ここかなぁ。色が変わってるね」

 先週も、今朝も、さっきも、別の先生にそれぞれ内診してもらいましたが、どなたもそんなことは言いませんでした。かかりつけ病院で「念のため、細胞診する?」と言われて細胞診をした結果、がんが発覚したので、その先生も色の差異には気づいてなかったのだと思います。これががん専門医と一般的な婦人科医の違いなのでしょうか。目で見て、病変を見つけられたのです。

コクリコ
記事一覧
編集者
実用書の編集者(社畜)。アラフォー未婚のがんサバイバー2年生(進級しました!)。2018年、子宮頸がんにて広汎子宮全摘出術を受ける。現在ホルモン補充療法をしながら経過観察中。SNSをパトロールするのが趣味。“Twitter探偵”とも呼ばれる。でも幸せになりたい。

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


凍り付いた湖の夜が更けて
 もしも突然、この瞬間に、氷が解けたらどうなるんだろう。  そう思いながら、凍て付いた湖の上に立つ自分が結構好き。...
私って性格悪い? 自分のダークサイドを自覚した4つの瞬間
 誰の心にだって、優しい部分と優しくない部分が存在するもの。そうわかっていても、自分の心のダークサイドを自覚すると「もし...
青空にオレンジボディが映え“たまたま”の見返りメンチにキュン
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
「レンジでゆたぽん」人気じわり..足を温めると眠りやすい!
「レンジでゆたぽん」を知ったのは、年末年始に長野県の義実家に行った時。寒がりな私を気遣って、義母が用意してくれたのです。...
真似から始まったファッションも、いつか体に馴染むもの
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
仕事のサボりがバレた瞬間4選 リモートワークは意外と見られている!
 近年では、リモートワークやフレックスタイムなどの制度が導入されて、数年前よりも働きやすくなりました。  一方で、自由...
「とにかく盛り上がるやつ頼むよ」ってさぁ 先輩の無茶ぶりLINEがすぎる
 お笑い芸人の松本人志とその後輩芸人たちによるアテンド飲み会が話題になっていますね。  ニュースの真偽はともかく、...
2024-02-21 06:00 ライフスタイル
卒入学、彼岸、送別会【花屋が教える】予算内で理想の花束を贈る7カ条
「斑目さん、今年こそは頑張って期限内にお願いしますよ!」  お正月がなんとなく終わったばかり、なんて思っていたら、我が...
仕事のモチベが上がらない!30女40女のやる気スイッチをONにするテク
 どんなに好きな仕事でもモチベーションが上がらない時だってありますよね。気持ちが乗っていない時は、ミスしたり、時間が永遠...
年の差婚の弊害?夫の“昭和の価値観”を持つ息子の将来が不安すぎる件
 セックスレスやセルフプレジャー、夫婦の在り方などをテーマにブログやコラムを執筆しているまめです。  私の夫は10...
今夜は誰と出合おうか…人で溢れる街の隅っこに転がる心
 先に仮想世界(?)でお互いを見つけて、そこから顔を合わせるって最初は気まずくないのかな? と昭和の世代は思っちゃうけど...
菜の花の小道で一触即発! 道を譲るのはどっちの“たまたま”
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
この子を育てるのは無理かも…発達障害児がストレスで鏡に刻みかけた言葉
 ステップファミリー6年目になる占い師ライターtumugiです。私は10代でデキ婚→子ども2人連れて離婚→シングルマザー...
水商売の水は流水説 夜の街で働くホステスやホストだけが当てはまるの?
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
朝日に向かって飛び立つハクチョウにも悩みがあるとしたら…
 朝日を浴びて飛び立つハクチョウたち。並んで飛んでいるけど、それぞれどんな立場で、どんな関係なんだろう。  きっと...
イラッ!遅刻を許せない私は心が狭い? 穏やかな心を保つ3つの考え方
 会社や約束の時間に、平気で遅刻を繰り返す人を見ると「許せない!」と感じる人は多いはず。とはいえ、自分がイライラすれば周...