更新日:2023-03-24 11:05
投稿日:2023-03-17 06:00
ソープ嬢の過去
――ついに、対象者と寝るという任務が来た。その後をお聞かせください。
「最初はドキッとしましたが、OKしたのはA社長の力になりたかったことと、もうひとつだけ理由があったんです」
――もうひとつの理由……ですか?
「はい、実は私、20歳から10年間ほど、吉原と池袋のソープ嬢をしていたんです」
――本当ですか? 全然存じませんでした。
「はい……風俗嬢のことは夫も知りません。10年間風俗で働き、その後は生命保険の外交員をしていました。風俗嬢時代は実入りがよかったので、稼いだお金は、ホストクラブなどの飲食代に消えていましたね。
でも、三十路になって改めて自分の人生を考えた際、もっとまっとうに生きなくてはと保険の外交員の職に就いたんです。今の夫は外交員の先輩が紹介してくれて交際し、結婚に至りました。
暗い話になりますが、過去には二度中絶手術をしているんです。
夫には言えませんが、だから私は不妊治療をしても子供が授からないのかもしれません……。あ、話が逸れてすみません。探偵の話題に戻りますね」
対象者は45歳の既婚男性
――言いにくいことを話してくださり、ありがとうございます。続けてください。
「依頼人の詳細はいつも通り教えてくれませんが、対象者――つまり、私とセックスする男性のプロフィールは教えてくれました。
品川の会社に勤めるXさん(45歳デザイン会社/既婚・子供アリ)です。
A社長からは、ターゲットとなるX氏とのセックス動画を撮るほかに以下の任務を命じられました。
1. 動画撮影は2台の定点カメラで2方向から撮り、可能なら、スマホでも動画撮影をすること。
2. ICレコーダーで行為中の声も録音すること。
3. X氏のザーメン入りのコンドームを持ち帰ること。
以上です」
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