性癖と性格は別…M女性は日常生活で虐げられたいのではない

大泉りか 作家・コラムニスト
更新日:2019-06-19 18:00
投稿日:2019-06-19 18:00
 あなたは、どういった性の願望を抱いていて、ひそかに何をしたい/されたいと願っていますか。自分の性癖の形を知れば、もっと主体的に性を楽しめるようになる。女性の様々な性癖に迫ります。

初めて共にSMプレイを楽しめるパートナー

「性欲は、欲の中で最も強烈で凶暴であり、人を誤らせ、悲劇を導く、不幸の源である」といったのは、帝政ロシアの小説家トルストイですが、そういう意味で難儀する可能性の高い性癖のひとつが、“被虐嗜好”ではないでしょうか。

 性癖と性格は別モノ――性癖がマゾであっても、日常生活で虐げられたいわけではない――ことを理解しているパートナーに巡り合えれば万々歳ですが、中には「マゾの女性は、いつ何時も支配下にある」と考える男性も存在するからです。

 もちろん、女性側が「生活のすべてを捧げたい」という嗜好がある場合もありますが、必ずしもそうでないといけないわけではないし、どちらが優れているというわけでもない。

 今回、登場いただくむつみさん(仮名 42歳、千葉在住、自営業)も“M”という性癖の持ち主。いったいどのようなスタンスで性癖と渡り合っているのか、お話を聞かせていただきました。

「そもそも、物心ついたくらいから、いじられてないと落ち着かない子供でして。存在意義をそこに見出していたかのかもしれません。なんか、ほっとしちゃうんです。友達とかから、いじられている状態に」(むつみさん)

 M女性の願望を叶えるには、責め手となる相手が必要です。性癖に合致したパートナー探しは、M女性が突きあたる“難儀”のひとつでもありますが、むつみさんの場合、初めて共にSMプレイを楽しめるパートナーが出来たのは、30代の後半になってからのことでした。

「それまでの恋人ともしてはいたんですが、ソフトSM志向で。精神的にいじるのはしてくれたけど、私のエロ嗜好には、ついていけないと断言されいて。でも、性癖の合うパートナーに出会っても出会わなくても、私のなかにSMがあるからいいやって思っていました。それこそ、オナニーで満足ができてたんです。ノーパンや、アナルにプラグを入れた状態で外を出歩いたり、身体にどれだけお湯が入るか試したくて、セルフお湯浣腸をしたり。股縄オナニーも好きでしたね。ユザワヤでレーヨンロープ買ってぐいぐいと引っ張ると、すごくテンションがあがるんです」(むつみさん)

新しい世界の扉は「M女性専門のSM風俗店」

 パートナーが出来たことで、さらにむつみさんの性的冒険は、さらに深部へと進んでいきます。

「初めの頃は野外露出から始まって。下着を着けずに、街を歩かされたりとか。鞭や蝋燭の痛みを、快楽に変えるようなこともしました。苦痛からアドレナリンが生成されるんですよ。あとはアナルですね。アナリングスからアナルセックスに移行して、さらにアナル使った快楽責めまで」(むつみさん)

 ところが、そのSMパートナーとは、事情があって別離することに。そして次に開いた新しい世界の扉は、『M女性専門のSM風俗店』を利用することでした。

「本格的な緊縛は初めて体験したんだけど、すごくよかったです。『痛くない!動けない!美しい!』って。ドレスを着させていただいた気分。これまでSMで得てきたものとは、別のものが縄の世界にはありました。SM的な快感ではないけど、また別の感動体験。自分のSMは快楽の最たるだったから、こんな側面があったのかって。それに、フィフティーフィフティーのSMというものがこれなのか、とも。私に本格的にSMを指南して下さったパートナーさんとはフィフティーフィフティーのつもりでしたが、やはり私はへりくだっていましたね。へりくだるのも、酔えて気持ちいいんですけど……」(むつみさん)

性癖は世界を切り開くための原動力にもなる

 自身の快感を追求すべく、次々と、果敢に知らない世界に飛び込むむつみさん。そんな彼女が次に試してみたいのは一本鞭。

「バラ鞭は試したことがあります。感覚が麻痺するまでバシバシされて。アナルは深い快楽で、ぐちゃぐちゃに溶ける感覚、打撃は、意識が飛ぶ感じで、アナルが永遠なら打撃は一瞬の快感なんですけど、バラ鞭に関していうと、アナルと打撃の中間の快感でした。それで、一本鞭には、また別の快感があるのでは……と」(むつみさん)

 性癖は世界を切り開くための原動力にもなる。「私のなかにSMがあったおかげで、色んな世界に行けたとおもってます」という、むつみさんの言葉は力強さに溢れています。

大泉りか
記事一覧
作家・コラムニスト
ライトノベルや官能を執筆するほか、セックスと女の生き方や、男性向けの「モテ」をレクチャーするコラムを多く手掛ける。新刊は「女子会で教わる人生を変える恋愛講座」(大和書房)。著書多数。趣味は映画(映画館で年間100本以上)、海外旅行。愛犬と暮らして14年目の犬飼い。X

関連キーワード

エロコク 新着一覧


その女と出張へ…ケイタイに登録されていた私の生理周期
 その女、「G」に出会ったとき、私は30代で、フリーランスの仕事をしていました。彼女は40代後半。私に仕事を依頼した会社...
憧れの有名女優の夫を寝取った女性の“驚きの理由”とは…#3
 大ファンである人気女優・美咲さん(仮名・30代)に近づきたいがために、その夫・Kさん(40代)と肉体的関係を持った邦子...
蒼井凜花 2019-09-02 06:45 エロコク
クワガタの角に息子クンを挟んで…男性を喜ばせるラブグッズ
 彼を喜ばせたい! でも何をどうしていいか分からない。テクニックを身に付けるのって難しそう……という女性に知ってほしいの...
桃子 2019-11-12 04:44 エロコク
映画「火口のふたり」に充満する男女のエロスと切ない裏事情
 女性は甘美な欲望に貪欲かつ忠実な生き物です。いいんです、それでいいんです。むしろ、オトナ女子なら神様が授けてくださった...
「ギネス世界記録」を断る失敗しない男・ひろしの処世術
 わたしとひろしの48歳差の激しすぎる恋――男は何歳まで男なのか、81歳との恋愛模様とはいかなるものなのか。ホットな...
必要以上に身体を触られ…アラフィフ女に覚えた違和感
 同性からのセクハラも、逃げ場を塞がれやすいものです。 (この人の態度、なにかおかしいけど、まさか……女同士だし…...
女性器リノベに投資する女たち#3…「膣がゆるい」の真相は?
 美容整形外科のメニューにはあるのに、あまり表立って語られることの少ない女性器の整形手術。費用はどれぐらいかかるのか? ...
憧れの有名女優の夫を寝取った女性の“驚きの理由”とは…#2
 大ファンである人気女優・美咲さん(仮名・30代)に近づきたいがために、その夫・Kさん(40代)と肉体的関係を持った邦子...
蒼井凜花 2019-08-26 06:00 エロコク
地球の裏側からでも操れる? スマホで遠隔操作可能なバイブ
 仕事でもプライベートでも必要不可欠なものになっているスマートフォン。これからはセックスライフにも欠かせないものになるか...
桃子 2019-11-12 04:44 エロコク
タバコもピルも本当の自分も捨てたら酒カスになったわたし
 わたしとひろしの48歳差の激しすぎる恋――男は何歳まで男なのか、81歳との恋愛模様とはいかなるものなのか。ホットな...
「会わずに君を追い詰めたい」SMサイトの男性が講じた奇策
 とあるSMサイトで出逢った人の中に、「会わないままで君のことを追い詰めたい」という一風変わった人がいました。  ...
性癖を通してパートナーを…緊縛されたかった女性の出会い
 あなたは、どういった性の願望を抱いていて、ひそかに何をしたい/されたいと願っていますか。自分の性癖の形を知れば、もっと...
大泉りか 2019-08-21 19:20 エロコク
吸って震えてのダブル刺激…“吸引系”火付け役の高級モデル
 毎年、「出会えてよかった!」と心から思えるバイブレーターが何本かあります。「ウーマナイザー デュオ」もそのひとつ。 ...
2019-11-05 13:23 エロコク
祝結婚・小泉進次郎的「鎧を脱がせる」隠れた被支配欲求とは
 わたしとひろしの48歳差の激しすぎる恋――男は何歳まで男なのか、81歳との恋愛模様とはいかなるものなのか。ホットなイッ...
性欲の強い女性が好きそうな食べ物“ベスト5”を考察してみた
 私の周りには性欲の強い女性のお友達がいるのですが、彼女たちとご飯に行くと、メニューやお店のセレクトにどうやら傾向が見ら...
大きさも振動も…女性が安心できる「電マ」売れているワケ
 自分で自分を気持ち良くするセルフプレジャー。じっくりと楽しみたい夜もあれば、短時間でささっと済ませて眠りにつきたい夜も...
桃子 2019-11-12 04:43 エロコク