親の介護は家族総動員 あるある問題とその後にすべき行動3つ

東城ゆず ライター・エディター
更新日:2019-07-09 14:26
投稿日:2019-06-26 06:00
 親の介護と聞けば、多くの人が不安を抱くはずです。「自分を育ててくれた親だけど……」と思う反面、親の介護をすることで自分たちの生活を維持することが難しそうに感じられるからです。人間ですから、“面倒くさいことはできれば避けたい”はず。しかし、介護士であった筆者から言わせてみれば介護を面倒くさいことにしているのは、残された家族だったりします。
 そこで、親の介護に直面した時に起こりがちな介護あるある問題と、親の介護の問題に直面した時こそ、しておくと後に楽になることをご紹介しましょう。

親の介護あるあるネタで困る人が続出!

 介護士をしていた経験がある筆者は、親が認知症と診断された時に動じない自信があります。介護問題は、初期にされた認知症の診断や身体の麻痺などで起こる介護問題こそ、家族でクリアしやすいからです。

 それなのに、親の介護が必要になったと分かると、不安に苛まれすぎている人が多すぎます。親の介護が必要になった時に起こりがちな“あるある問題”を紹介しましょう。

親の介護の押し付け合いが始まる

 子育てや自分の仕事を理由に、親の介護に参加できないという家族がいます。家族の中で、一人でもそのように関心がない者が現れると、周囲も逃げ腰になるのが人というもの。介護という重いワードに、自分には到底できそうもないと思うのか、「よくわからない」と言って逃げる人までいます。

 これでは、残された親の介護をする人はタスクも多くなってしまいますし、誰かが逃げることで“面倒なことが起きる”と認識してしまいます。その結果、アクションが遅れてしまい、親の介護度(介護を必要とする度合い)が重くなってしまうこともあります。

お金のことを話し合えない

 大前提ですが、お金について自ら話したい人はいません。家族であれば、財産分与にも大きく関わりますし、せびるようにもケチな人にも思われたくないですよね。そのような気持ちを見てみぬふりをする人が多いです。ただ個人的に、もっとも関心が多い事項であるのも確かでしょう。

「財産分与はどの程度のものか」ということや「介護問題に足りるお金がない場合は、どう兄弟で分配していくのか」「親の介護で足りなくなった場合のフローは?」と、心配事はつきません。

 だからこそ、しっかりと見据える必要がありますし家族間で不安や思いを明言する必要があります。個人的な財産分与の欲望は置いといて、親の介護の必要経費に対する不安だけを、まず話し合うことが大事です。

意見の食い違いで喧嘩が勃発

 親の介護がなかなか受け入れられない人も、家族の中には存在します。とくに若いころの親を知っている兄弟の中では、親への思いもそれぞれありますよね。自分の親が介護を必要とすることを自覚したくない場合もあります。

 そのため、介護サービスを受けることに不満を持ったり、介護方針が大きく食い違ったりします。この場合は、親の介護を必要と思ってる人が先に知識を取り込み、家族に伝達し話し合いをすることで解決する場合もあります。親の介護とひとくちにいっても、想像する度合いが違うことから家族のすれ違いは生じます。

 まずは家族全員に「今の親の状態は、どのような状況か」「これからどうしたらいいと思うか」だけを聞いてみましょう。

親の介護にありがちな悩みを解決するために

 親の介護にありがちな初期トラブルを理解したところで、次に、ありがちな親の介護問題を解決するためにすべきことを紹介しましょう。

病院に連れていき指示を仰ぐ

 家族の誰かが親の介護を必要とする現実を受け入れたくない場合は、病院に連れていくことが出遅れます。しかし、見て見ぬ振りをすることが介護問題では一番残酷ということを家族全員が周知します。認知症はれっきとした病気です。投薬をしなければ、どんどん病状が進んでしまいます。しかし投薬を開始するのが、認知症の初期であるタイミングであるほど、この先も親が元気に暮らせる可能性が高いです。

 診断が陰性であるならば、それに越したことはありません。ちょっとでも家族の誰かが疑わしいと感じたら、すぐに病院に連れていくことにしましょう。親本人にしても、誰かに気にかけてもらっている安心感は計り知れないです。

キャッシュフローを考える

 実際に診断がおりたあと、家族はすごく動揺します。親の介護の現実を受け入れたくない人、その現実に苛立ちを抱いてしまう人が多くいます。そのような家族の状態では、誰もがお金のことに明言するのを控えます。しかし、現実的には介護はお金が必要になります。

 この話し合いは、診断されたあとにできるだけ早くすることです。在宅介護でいくのか、施設に介護をお願いするのかで、必要となる金銭面に違いが出ます。誰かが「こんな時に話すことでもないけれど、介護の費用について予算を決めよう」と言うことが必要です。自分が家族にどう思われるかより、一刻も早く介護を受けようとする人に“適切な介護を行うことが優先すべきこと”なのです。

どんな介護がいいのかを紙に書き出す

 家族が話し合う場を設けることは、たった30分でも意味のあるものになります。どうしても出席できないという人がいるのであれば、資料や手紙で相手の意思を聞くことができます。話し合いに意欲的ではない家族にも、こうしてアプローチをすることで家族総動員で介護をすることが可能になります。

 介護の担い手は多いことに越したことはありません。介護への意見や担い手がたくさん集まってくれば、介護は実に簡単なことです。議事録のように、話し合ったことを常に紙にメモすることも大事になります。ちょっとした論争や、介護方針の違いを防ぐためです。

親の介護は“家族総動員”でするもの

 介護は順番に、様々なところで起きる問題です。この時、親戚や家族一同がそれぞれ真摯に向き合うことは、家族の絆を強めることになるはずです。

 一つのことを全て自分で賄うことは、介護以外でもとても難しいはずです。なるべく多くの担い手がおり、多くの意見の元に行われる介護であれば、世間で報道されているようなネガティブな介護のイメージが徐々に払拭されていくと筆者は考えます。

 大事なのは家族の思いより、介護者本人への“思いやり”です。大切なことは“本人が幸せと感じる介護は、どのようなものか”という本質を見極めること。これができれば、介護問題が家族で泥沼化することはまずないでしょう。

東城ゆず
記事一覧
ライター・エディター
1994年生まれ。11歳の頃からブログを運営。ライターやエディターとして、女性誌メディアや地元新聞のコラム枠まで幅広く活躍中。恋愛やママ友問題、介護士であった経験からリアルな介護問題まで幅広い知見がある。年子兄弟を連れ離婚の経験があり、現在は再婚に至る。

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


楽しい老後を送りたい! 忙しい30代から準備できる4つのこと
 仕事にも慣れてきた30代。結婚して生活が変わったり、仕事と育児の両立であったりと、人によっては一番忙しい時期かもしれま...
もう2度と…子宮全摘&腸閉塞と全力で闘った30日間入院生活
 私は42歳で子宮頸部腺がんステージ1Bを宣告された未婚女性、がんサバイバー2年生です(進級しました!)。がん告知はひと...
草むらをくんくん…“にゃんたま”君の探し物は何ですか?
 無限に見ていたいパーツNo.1といえば、にゃんたま!  今回は探し物中のにゃんたまにロックオン。  たしか...
苦手な人との向き合い方! 職場の人間関係を円滑にするコツ
 仕事の内容には慣れてきたし、プライベートも楽しくできている。ただ、「職場に苦手な人がいるっ」――。そんな方も多いと思い...
自分で皮下注射も…採卵手術前日までにやるべき3つのこと
 日本は不妊治療の件数は世界一なのに、体外受精で赤ちゃんが産まれる確率は最下位。そんな状況を変えるために、ミレニアル世代...
キリスト教のお盆「ハロウィン」 その由来とカボチャの意味
 ワタクシ、全く上達しないドイツ語の個人レッスンを受けております。上達しない理由は一重にワタクシの不真面目さによるもので...
自然災害に巻き込まれた…子どもとどう向き合ったらいい?
 台風19号の爪あとが各地に深刻な被害をもたらしていますが、近年は相次ぐ自然災害で被災住民が避難生活を余儀なくされるケー...
月吹友香さん<後>41歳専業主婦が小説家を目指して見えたもの
 第18回(2019年度)「女による女のためのR-18文学賞」(※)の大賞受賞作「赤い星々は沈まない」は老女の性を大きな...
今日の議題はにゃに? 夕暮れの猫集会でポロリ“にゃんたま”
 猫の島、日暮れ近くに猫の集会にお邪魔しました。  おのおの一定の距離を保って、茶白、黒白、サビ、三毛、キジ、サバ...
“生活習慣病”も予防して! 介護は認知症だけじゃないんです
 日本は長寿大国です。誰しも安心して生涯を全うできるとしたら、高齢であることはとても素敵なこと。しかし、介護士でもある筆...
月吹友香さん<前> 私がR-18文学賞で高齢者の性を描いた真意
 読書の秋到来。直木賞や芥川賞、日本推理作家協会賞に本屋大賞……国内には数多の文学賞がある中で、「R-18文学賞」(※)...
犬でなく人間だったらと思うと…モラ気質なワンコの実態3選
 モラハラ気質は、人間だけに限ったお話ではないのかもしれません。「うちの犬が人間だったら、モラ男(モラ女)に違いない…」...
子宮全摘だけでもつらいのに…腸閉塞で長さ190㎝の管を挿入
 私は42歳で子宮頸部腺がんステージ1Bを宣告された未婚女性、がんサバイバー2年生です(進級しました!)。がん告知はひと...
お日様パワーでモテにゃんに…ぽかぽか日光浴“にゃんたま”
 きょうのにゃんたまωは、雨上がりの日光浴。  濡れた毛を乾かして、お日様パワーでぽかぽかリラックス♪  気...
魔法の鍋! 自動調理鍋の購入でキッチンはどう変わったか?
 最近話題の自動調理鍋。材料を入れてスイッチを押すだけで、料理ができてしまうという優れもののようです。少しでもラクをした...
癒し系の彼女になって? 恋愛はそういうサービスじゃない!
 あなたには理想の恋人っていますか? 「優しい人がいい♡」「背が高くて色白がいい♡」「お金持ちがいい♡」  好きなタ...