仏人男性が「仏花」を彼女に贈ってしまった…仏壇に供える花の定義とは?

斑目茂美 開運花師
更新日:2023-09-06 06:00
投稿日:2023-09-06 06:00

外国人は仏花がお好き

 少し前にフランス人男性が、お仏壇に供える花束だと知らずに日本人のガールフレンドにプレゼントした話がSNSで話題になっておりました。

 実はこの手の話、どこのお花屋さんでもよく聞くもの。猫店長「さぶ」率いる我が愛すべきお花屋は、神奈川の片田舎でありながら外国人のネットワークでもあるんかぃ? ってなぐらい毎日のようにさまざまな異国のお客様がいらっしゃいます。

 この方々が「キレイネ!」と指をさすのは、ガッツリ咲いてる菊の花。まぁ確かに綺麗ですけどね。

「プレゼント?」と聞けば、「ワイフに」、「ガールフレンドに」とおっしゃる。さすれば「その方が生きてる日本人ならやめておけ」と言いたくもなりますが、大人のワタクシはそんなことは言わずに、優しく(嘘つけ!)普通の花束へと誘導いたします。

 そういえば、外国人には日本の菊のように亡くなった花にはこれ! という定番はないもんです。好きな花をお供えします。だがしかし! そもそも仏花ってなんなんだと思いませんか?

 お彼岸がまもなくやってくる今回は、「仏花は仏様の化身なり」の解説でございます。

仏花ってなんですか

 お花は、花立・火立・香炉の3つの「三具足」の重要な供養品の一つで、仏様の慈愛と忍耐、「諸行無常」の考えを表します。

 子供の頃、無理矢理暗記させられた「平家物語」の冒頭部分、「諸行無常の響きあり」。その「諸行無常」はこの世に永久に変わらないものはなく、世の中の全ては移り変わっていくことの繰り返しだという考え方です。

 美しい姿がいつかは儚く朽ちていく、まさに「花」という生き物そのもの。花は枯れてどうしようもないから仏様の花は造花にするなんて方もいらっしゃいますが、美しかったものが衰退していく諸行無常の概念からいえば、そもそも仏花は枯れることに意味があり、枯れてもらわなきゃ「諸行無常」じゃないんだわ~ということ。

 それに、仏様は線香などの香りや果物などの精気をお召し上がりになると考えれられていますので、香りと精気の両方を合わせ持つお花は、ベストアイテムです。

 その昔、“この世の人じゃない人が見える”という方との世間話の中で、仏壇にお供えしていた果物をものすごい勢いで食べている人を見て、お腹が相当空いてたんだね~といった不思議な話を聞いたことがあります。

 仏壇にはお供物を絶やしちゃダメだーって思いましたわ。信じるか信じないかはアナタ次第w。

仏教と蓮の花

 閑話休題。お釈迦様や観音像が座っている台座は「蓮華座」といい、「南妙法蓮華経」の言葉に表れているように仏教と蓮の花とは密接な関係があります。

 蓮の花は泥の中から美しい花を咲かせますが、泥を「俗世」や「煩悩」に見立て、泥水から浮かんで美しい花を咲かせる蓮は、汚れた俗世をくぐり抜け仏教の悟りを開く教えに似ています。

 蓮の花の季節「夏」にあるお盆に、蓮の花や葉が欠かせないお供物になっているのは、そのためなのでございますよ~。

 日本は国土の狭い国ですが、仏花ほど地方色が出るものはないかなと感じます。同じ神奈川でも、ワタクシの実家のある西とお店のある県央でも違います。西の城下町は昔から花ではなく、密教に関係の深いシキミ(樒)という香りの強い木が仏花として好まれております。

斑目茂美
記事一覧
開運花師
半導体エンジニアを経て花業界に転身。イベント・ホテルなどの装飾も手がける生花店を営む傍ら、コンテストで優勝・入賞を重ね、雑誌・新聞等に作品を発表する。神奈川各所にて花教室を開催。障害者支援も花で実践。悩ましくも素敵なお客様を「花」で幸せへと導く道先案内人。ブサかわ猫店長「さぶ」ともに奮闘中。Facebookやってます。

ライフスタイル 新着一覧


竜宮城はこんな感じかな 2023.7.17(月)
 海の生き物に夜の街の光が重なって、にぎやかで涼しげな世界。  竜宮城はきっとこんな感じかな。  そういえば...
納涼★にゃんたまシリーズ!雪ん子“たまたま”のクールな視線
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
急に生理! 気分最悪の流血事件を防ぐ対処法&“即席ナプキン”の作り方
「ナプキンをしていないのに生理が来ちゃった……!」女性として数十年生きていれば、こんなこともありますよね。今回は、急に生...
もうさ、スタコラサッサと逃げ出そうよ? 2023.7.16(日)
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
30代女が感じたApple Watchのメリット3つ 2023.7.15(土)
 街を歩いていると、スマートウォッチを付けている人が多いですよね。運動しない人にもメリットがあるのでしょうか?  ...
動物のゆるキャラ漫画/第53回「ぼくらのこだわり」
 ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、突然「コクハク」に登場! 生きものたち、その生きものたちをこよな...
“うちの自慢の嫁”に徹しなきゃだめ?「旦那の実家に行かない方法」5つ
 夏休みが近づいてくると浮上するのが、「旦那の実家に行きたくない」問題。旦那の実家への帰省が嫌というのは、あなただけでは...
親友でも彼ができた途端、ハブ攻撃開始! げに恐ろしき女の世界LINE3選
“女の世界”という言葉を聞くだけで、どこかゾッとするような怖さを感じませんか? 女には裏の顔があるもの。それはLINEに...
女性だけじゃないYO!「スマホ&パソコン童貞」60代オヤジの幸福論
 コミックや書籍など数々の表紙デザインを手がけてきた元・装丁デザイナーの山口明さん(63)。多忙な現役時代を経て、56歳...
この世の最凶生物はナチュラルマウントさん!距離をとる以外に対処法ナシ
 みなさんの周りには、いまだにマウントをとってくる人はいますか?  明確に「マウントをとってやろう!」と思って来てく...
なんでもない日、子どもらしさが愛おしい 2023.7.14(金)
 自分にも、あの人にも、知らないどこかの誰かにだってこんな時代があった。  僕らみんなが子どもだった。誰もが通る道...
40代への「貫禄がある」は悪口とは限らない!5つの“褒められ”特徴は?
 貫禄というと「老けている」といった、マイナスイメージを持つ人もいるでしょう。けれど、そもそもは品格や風格、威厳を表す言...
“たまたま”探しの猫旅へ!素敵な「ねこの島」が見つかるかも
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
タイパ重視!? いしだ壱成、田口淳之介…有名人のホスト化が止まらない
 いしだ壱成さん、押尾学さん、田口淳之介さん、そしてついに羽賀研二さんまで。最近、芸能人や有名人のホスト化が止まりません...
近所付き合いってめんどくさい! “鉄則5カ条”だけ守ってイライラ回避
 家族と暮らしていてもひとり暮らしでも、多少の近所付き合いはあるものです。「マンションの隣の部屋にどんな人が住んでいるか...
イライラ虫よサヨナラ! 夏を快適にする「虫除け植物」おすすめ6選
 うるさいコバエや蚊にイライラが募るシーズン突入でございます。猫店長「さぶ」率いる我が愛すべきお花屋の店先は、ほぼワタク...