彼氏やペットとの生活が幸せすぎて怖い…要因はホルモン?【専門家監修】

コクハク編集部
更新日:2024-02-09 15:30
投稿日:2024-02-08 06:00
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、ちょっとした有名人。でもって、タヌキか妖怪の噂も囁かれるなか、健康に関する知識はズバ抜けている――。
 そんなえりのボスのもとにはウワサを聞きつけ、今日も悩みを抱えた女性が、ふらりと立ち寄ったようですよ。

1. 彼氏とのスキンシップが幸せすぎて怖い!

 本日のご相談は、小雪さん(35歳女性/仮名)から。

彼氏とのスキンシップが幸せすぎて…なんだか逆に心配になってしまうんです」

 物憂げに溜息をつく小雪さんに、えりのボスが問いかけます。

「あら。大好きな彼とのスキンシップが幸せなのは、自然なことだと思うわよ? でも、不安を感じてしまうのね?」

「はい。彼に依存しすぎているのかな…とか、私の愛情が重すぎて彼に迷惑をかけているんじゃないかな…とか。いろいろ気になってしまって

 ふむふむ、とえりのボスはうなずきながら小雪さんの話を聞いています。

「彼氏とハグをするだけで幸福感が込み上げてきて、理屈抜きで心のなかがホッとするんです。でも、これって彼への依存なんでしょうか?」

「うふふ、そんなことはないわよ」

 にっこり笑って、えりのボスは答えました。

大好きな人とのスキンシップで幸福感が込み上げてくるのは、幸せホルモンの影響よ。決して愛が重いというわけではなくて、自然な現象なの。それじゃあ、今日は幸せホルモン『オキシトシン』について説明しようかしら」

「幸せホルモン? はい、ぜひ詳しく教えてください!」

 前のめりの姿勢で聞き入る小雪さん。これは放っておけません!

2. 幸せに感じるのはオキシトシンが関係していた!?

「愛するパートナーや子どもと抱きしめ合ったり、手をつないだりすると、脳の下垂体からオキシトシンというホルモンが分泌されるの。

 オキシトシンは幸せホルモンや愛情ホルモンと呼ばれていて、分泌されると心が安らぎ、じんわりとした幸福感に満たされるといわれているわ」

 小雪さんは、驚いた様子で目を見開きました。

「へぇ…。幸せホルモンって、好きな人と触れ合うだけも分泌されるものなんですね!」

「ええ。オキシトシンは妊娠・出産や授乳時の母乳分泌などにも関与するホルモンなのだけれど、近年の研究では性別や年齢を問わず、スキンシップによってオキシトシンが分泌されることがわかってきたのよ」

 小雪さんは真剣な表情で、えりのボスの説明を聞いています。

「それを聞いて安心しました。仕事で疲れて気持ちが落ち込んでいる日でも、彼氏と触れ合っているとすぐに気持ちが安らいで、とてもリラックスできるので。

 彼氏といるだけでこんなに幸せになれるのは、裏を返すと自分のメンタルが不安定すぎるせいなんじゃないかと思っていました」

 えりのボスは明るく笑って、首を振りました。

「心配しないで大丈夫だから、大切な人とのスキンシップを思いきり楽しんでね! ちなみにペットとの触れ合いや、自分で自分のからだを撫でるセルフタッチでもオキシトシンを分泌させることができるわよ」

「たしかに、ペットを抱っこしたり自分の手をマッサージしたりしているときも、ホッとする気がします」

「せっかくだから、オキシトシンが分泌されると得られる、幸福感以外の効果についても解説しておくわね」

「お願いします!」

3. オキシトシンの分泌で得られるプラスの効果!

 オキシトシンが分泌されると、心が安らいで幸せに満たされます。ここでは、幸福感以外にもあるオキシトシンの『嬉しい効果』について解説します!

3-1. ストレスが和らぐ

 オキシトシンは不安を和らげて気分を安定させるホルモンであり、ストレスを緩和してストレス耐性を高める作用があります。

 ストレス社会と呼ばれる現代、慢性的なストレスで心身の健康を損ねる人が少なくありません。

 ストレスに負けない心とからだを保つためにも、大切な人とのスキンシップを楽しみましょう。

3-2. 記憶力がアップする

 オキシトシンが分泌されると、記憶力が向上するという報告があります。

 相手を認識して記憶することを「社会的記憶」と呼び、オキシトシンはこの社会的記憶に関係するホルモンだと考えられているのです。

 社会的記憶の能力は、人間関係を良好にするうえで重要な役割を果たします。

 相手の性格や価値観、好きなもの・嫌いなものなどをきちんと覚えていれば、相手は「この人は自分に関心があるのだ」と感じてくれるため、良好な人間関係を築きやすくなるでしょう。

 社会的記憶力を高めるためにも、大切な人と触れ合う機会を増やしてオキシトシンの分泌を促すのがおすすめです。

3-3. 他者との信頼感が深まる

 オキシトシンには他者への共感性を高め、信頼感を深める効果があることが知られています。

 赤ちゃんがママのおっぱいを吸ったり抱っこされたりすると、赤ちゃんとママの脳からオキシトシンが分泌されてお互いへの信頼感が深まります。

 オキシトシンは赤ちゃんとママだけでなく、性別・年齢を問わず人と人との信頼関係を深めてくれるのです。

 大好きなパートナーとのスキンシップでオキシトシンの分泌を高め、絆をさらに深めていきましょう。

4. 幸せなスキンシップでオキシトシンを分泌させよう!

 小雪さんは、幸せそうな笑顔でえりのボスにお礼を言いました。

「えりのさん、今日はいろいろ教えてくれて、本当にありがとうございました! これまでは彼と一緒に過ごしているときも、『私って愛に溺れているんじゃあ…!?』と気になっていたんです。でも、えりのさんのおかげで安心しました」

「役に立てたみたいで、私も嬉しいわ! 彼とスキンシップをしてあなたが幸せを感じているとき、きっと彼もあなたと同じように幸福感に満たされているはずよ」

 小雪さんは、少し照れた様子でうなずいています。

「幸せホルモンのオキシトシンには他者との信頼関係を深める働きもあるから、これからも彼との触れ合いを大切にね。また気になることがあったら、いつでもサロンにいらっしゃい」

「はい。ありがとうございます!」

 丁寧にお辞儀をしてから晴れやかな様子でサロンを去っていく小雪さん。

 えりのボスは幸せいっぱいの笑みを浮かべて、小雪さんを送り出しました。

★サロン「コクハク」のオーナー えりの

 顔と口調は若いものの、年齢不詳。タヌキか妖怪の噂も囁かれる謎めいた主人だが、ココロやカラダ、健康に関する知識はズバ抜けており、何気にハイスペック。ムスメ時代に苦労してるため、自分より“後輩”の女にはしあわせになって欲しいと願っている。愛称は、えりのボス。

(漫画/腹肉ツヤ子

  ◇  ◇  ◇

<この記事の監修者>

あんしん漢方薬剤師 中田 早苗(なかだ・さなえ)

 デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘルス-youtubeチャンネルでは、お薬最適化薬剤師として「無駄な服薬はお財布と体の敵!」をモットーに薬の最適な選び方を解説する動画を公開中。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。

「あんしん漢方」を詳しく見てみる

YouTube「Medical Health CH」

コクハク編集部
記事一覧
コクハクの記事を日々更新するアラサー&アラフォー男女。XInstagram のフォローよろしくお願いします!

ビューティー 新着一覧


顔より目立つ!? 手の老化防止法3つ、しわしわおばあちゃんにはまだ早い
 40代女性で、顔に対してのアンチエイジングはしっかりしていても、手のケアを怠っている人は多いはず。でも実は手は人の目に...
朝起きたら髪の毛ボンバー!「ヘンテコ分け目&ガンコな寝癖」の直し方
 朝起きたら、髪の毛の分け目がおかしいうえに寝癖でグシャグシャ。そんなときに簡単&時短でできる、分け目と寝癖の直し方を紹...
UNIQLOよりお高めだけど?「ココピタ」で“靴下ズレ不快”は解消なるか
 話題のコスメや、広告でよく見かける化粧品や日用品。「webでよく見るあの商品、本当にイイの?」「買ってみたいけれど、口...
漢方薬の副作用!? 体調崩し気味で心配…飲み続ける目安は【薬剤師監修】
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
身に着けたらワクワクする? 40代で捨ててよかった服と手放す判断基準
 クローゼットにはたくさんの洋服があるのに、なぜか着る服がなくて困っている人は多いですよね……。  着ない服は捨てれば...
40代、加齢を受け入れ生まれた心の変化…トシを重ねるのはつらいだけ?
 人は、トシを重ねるごとに加齢による変化に向き合わなければならなくなります。でも、加齢を受け入れるのが難しいのも事実。「...
自分の“化けた顔”に飽きました…メイクが同じになるマンネリ回避の裏技
「20代の頃は色々なメイクを試していたのに、ここ数年ずっと同じメイク。 さすがに飽きてきたな……」と感じているオトナの女...
下まつげどうしてる? “痛ケバ”40代を回避するマスカラの塗り方&選び方
 女性に欠かせないメイクは、年齢によってだんだん変化していきますよね。特に40代女性の頭を悩ませるのが「下まつげ」のメイ...
巨乳より本当は胸を小さく見せたい!着痩せも狙える“盛らない”テク4つ
 巨乳の人の切実な願いといえば「胸を小さく見せたい」ですよね。実際に胸が大きいと、いろいろな苦労や悩みがあるものです。そ...
朝の洗顔から差がつく! 夏老け・日焼け対策にプチプラスキンケア3選
「夏老け」といった言葉があるように夏の強い紫外線ダメージで、秋になると一気に老けたように感じてしまいます。  さら...
歯ブラシちっくで毛穴掃除!韓国の洗顔ジェルクレンザーでゴッソリ叶う?
 話題のコスメや、広告でよく見かける化粧品や日用品。「webでよく見るあの商品、本当にイイの?」「買ってみたいけれど、口...
「レチノール」って大丈夫? シミ・シワに“ほどほどケア”で取り入れたい
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
今すぐお腹の肉を隠したい! “部分ぽっちゃり”を撃破する6大アイテム
 若い頃にほっそりしていた人も、食生活をまったく変えていない人も、なぜか40代になるとだんだん代謝が落ちてふっくらしてく...
無自覚のスメハラは不本意…「香水つけすぎた?」判断法と匂いの落とし方
 いい香りを身にまとえる「香水」は、年代問わず多くの人が使っていますよね。でも、時には香水をつけすぎたことに自分で気がつ...
アラフォーこそ挑戦!ピンクとツヤ感“命”の「純欲メイク」やり方&コツ
 SNSで話題の「純欲メイク」。若い人にしかできないと諦めていませんか? 実は、純欲メイクは40代女性の魅力を最大限に引...
好きでも似合わない色ってありますよね…上手に取り入れる2STEPの方法
 ファッションを楽しむ上で知っておきたいのが「自分に似合う色」。とはいえ、好きだけど周囲の人には「似合わない色」と言われ...