乳房と卵巣を失った40代主婦「愛されたい…」マチアプで男漁り #2

蒼井凜花 官能作家・コラムニスト
更新日:2024-02-21 20:26
投稿日:2024-02-09 06:00

「癒し=セックス」と知り…プロフで前面にアピール

 サイト登録時には、髪の毛がショートヘアまで伸びていたので、私はヘアメイク後に自撮りをして、ボカシをかけたんです。

 乳房を失った件は、どのタイミングで打ち明ければいいのか迷いましたが、『まずは男性とマッチングすることが優先』と言い聞かせ、プロフィールは以下のように書いたんです。

『香織、49歳。身長158センチ。やや細身の専業主婦です。恥ずかしいのですが、周囲からは可愛い奥さま系と言われることが多いでしょうか。不倫の失恋をきっかけに、思いきって登録しました。マッチングサイト初心者です。癒してくれる優しい男性募集中。よろしくお願いいたします』

 無難なプロフィールですが、マッチングサイトにおいて、『癒し』は『セックス』を意味する隠語だとネットで知りました。つまり、私はセックスしたい旨を前面にアピールしたんです」

続々と増える「いいね」に興奮

――まさか「癒し」が「セックス」とは知りませんでした。続けてください。

「新参者はサイト側も率先してアピールしてくれるのか、顔写真をボカしているにもかかわらず、すぐに数名の男性から『いいね』がついたんです。

 つまり『君のことを気に入ったよ』という意味。そして、もらった『いいね』に対し、女性には2つの選択肢があります。

 ひとつは『いいねを返す(マッチング成立)』、もうひとつは『ごめんなさいする(断る)』です。

 返信に困惑している間にも、次々に『いいね』が増えて、私はドギマギするばかりで…。

(会ったこともない男性が私を求めてくれている。私を抱きたいと欲している)

 私はスマホを見ながら興奮しました。

 失ったはずの乳首の先がジンと疼く感じ…ご理解いただけるでしょうか? そして、卵巣を失った下腹もざわめいているんです。

(私…欲情してる)

 すでに心はセックスに支配されている気がしてなりません。『女から性的アピールをすれば、いくらでも需要がある』と、この時点で思ったんです」

目に留まった1人の男性

――続けてください。

「登録から1時間もしないうちに20名もの男性が『いいね』をつけてくれたんです。中には、メッセージ付きで『まずはメールのやり取りから始めて、気が合えば会いませんか? 僕も香織さんと癒し癒されたいです』という熱烈なものもあって…困惑というか、驚きましたね。

 その中で、1人の男性が目に留まりました。

 純也さん(仮名・56歳金融業/子供アリ)という方です。お写真は、首から下のダークスーツ姿ですが、画面から長身でダンディさがうかがえました。

 彼からのメッセージは以下のような、丁寧なものです。

――香織さん、初めまして。

 小柄でショートカットの可愛い系の女性がタイプなので、メールさせていただきました。ボカしたお写真でも、香織さんのキュートさが伝わってきます。

 僕は身長180センチあり、学生時代はバスケに夢中でした。現在は金融の営業をやっておりますので、身だしなみも気遣っています。

 手前味噌ですが、性格は穏やかでマメで決断力があります。仲良くなれたら食事をご一緒させていただければと思います。

 よかったら、メールから始めませんか? 楽しいひとときをお約束します。ご返信、お待ちしています。

蒼井凜花
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官能作家・コラムニスト
CA、モデル、六本木のクラブママの経歴を持つ異色の官能作家。近著に「CA、モデル、六本木の高級クラブママを経た女流官能作家が教える、いつまでも魅力ある女性の秘密」(WAVE出版)、「女唇の伝言」(講談社文庫)。
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