保険はやっぱり必要? 子宮頸がんの治療にはいくらかかるのか

コクリコ 編集者
更新日:2019-10-06 11:53
投稿日:2019-07-23 06:00

がん保険の落とし穴

治るがんは“適応外”の場合も

 これがいちばん問題です。「がん保険に入っていれば安心」というわけではないのです。たいていこういうものを契約するときは元気なので、たいして考えもせずに契約してしまうのですが、契約前によーく見てください。パンフレットのものすっごく小さい字や約款も読んでください。たいてい、がん保険がおりるのは「浸潤がん」に対して「※上皮内がんを除く」と書いてあるはずです。

「上皮内がん」とは、がんが上皮である粘膜層にとどまりその奥の基底膜まで浸潤していないがんを指します。浸潤がんではないということなのですが、一般的にこの状態で治療を行うと転移や再発の可能性はほとんどないとされています。つまり治るがん。治るがんに対しては給付金が支払われなかったり、支払われる場合も減額されたりします。

 もうひとつ、「境界悪性腫瘍」という診断があります。これは良性腫瘍と悪性腫瘍の中間的な性格を示すもので、多くの場合、予後は悪性腫瘍に比べて良好で、手術のみで完治が望めるそうです。ところが、そうでない方もいらっしゃいます。

 Twitterでお見かけした方の例なのですが、この方の場合は「境界悪性腫瘍」の診断ながらリンパ転移もあったそうで、手術と化学療法でがんとまったく同じ、苦しい治療を続けていました。治療費用がかさんでいくなか、それでも「がん保険があるから大丈夫」と安心していたのに……がんでいうところのステージ3でも「境界悪性腫瘍」との診断されてしまった結果、保険はおりなかったそうです。

 ちなみに私は浸潤がんでしたので、がんに対する保険金(正しくは、がんを診断されたら保険金が生前給付される生命保険)がおりましたが、「治るがん」ではないといわれたような気がして、それはそれで複雑ではあります。

診断書の内容は必ず確認する

 しかも病院が病理結果を間違えて記載していて、病院から取り寄せた保険会社提出用の診断書には「上皮内がん」と書いてありました。ジーザス! これって保険がおりないがんじゃないの!? 個室料すごかったのにどうしたら……とパニックになりましたが、後日主治医に渡して目の前で書き直してもらいました。セーフ!

 病理結果は退院前に主治医から渡していただいていたので、すぐに違うと分かったのですが、保険会社に提出する前に自分でしっかり確認しないと危ないですね。

 がんが確定してすぐ、入院前に保険会社にその旨を連絡しましたが、いちばん最初に「浸潤がんかどうか」を聞かれました。がん保険が必要か、必要じゃないか。元気なうちにそれを考えておくことが大切なんだと思います。

 次回(7/30公開予定)は、見落としがちだけれど知っておきたいプラスαについてお話します。

コクリコ
記事一覧
編集者
実用書の編集者(社畜)。アラフォー未婚のがんサバイバー2年生(進級しました!)。2018年、子宮頸がんにて広汎子宮全摘出術を受ける。現在ホルモン補充療法をしながら経過観察中。SNSをパトロールするのが趣味。“Twitter探偵”とも呼ばれる。でも幸せになりたい。

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


「花粉症の人」「そうじゃない人」の深い溝 2023.3.5(日)
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
能町みね子は思う 愛猫の小町は「血のつながった我が子」
 私は、もう一生、海外旅行には行けないかもしれない。うちで、かわいいかわいい猫の「小町」が待っているからです。──そうは...
“胃腸弱すぎ”アラフォーを救う神メニュー3選 2023.3.4(土)
 またしても胃腸をぶっ壊しています。記憶をさかのぼると、昨年もこんな記事を書いておりました。定期便レベルで腹痛に見舞われ...
辛酸なめ子さん「猫奉仕入門」人より高貴な存在に奉じる幸せ
 猫様、神様、仏様!! ネコの前では誰もが下僕……。猫は迷える人間をいつも導いてくれているのです。
昼と夜で違う顔 ガード下で見つけた芸術作品 2023.3.3(金)
 暗闇をバックに造形が際立つ、まるでガード下の芸術作品。  明るい時間にはなんてことない風景なんだけど、まったく違...
イジリとイジメの違いは?関西出身者は思う「わからん人は使用厳禁!」
 みなさんの生活圏には「イジる文化」はありますか? 私は関西出身なので、お笑いの文化が身近にあり、小さな頃からイジリ慣れ...
プレゼン怖い問題 緊張しない5つの方法で苦手意識をなくす!
 会社でのプレゼンや学校での保護者会など、人前で喋るときに緊張して本領発揮できなくなってしまう人はよくいます。たしかに、...
にゃんたま撮影=合法! プリプリな美少年“たまたま”に大注目
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
職場にひとりはいる!? 驚くほど「働かないおじさん」対策法
 会社で働いていると、びっくりするほど仕事をしないおじさんっていませんか?  働き盛りのアラサー、アラフォー女性にとっ...
三匹寄れば文殊の知恵 2023.3.1(水)
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
超絶かわいい! 春の花「シレネ サクラコマチ」最強の飾り方
「へー!」  以前なにげなく見ていたNHKの特集番組で、思わず声が出たことがございました。なぜテントウムシは自然と...
写真の黒枠は要注意! 40代なら知っておきたい年賀状マナー
 年々、デジタル化が進む現代では、年に一度、心を込めて書く年賀状の意義も大きくなっていますよね。でも、実は年賀状には意外...
BiSHセントチヒロ・チッチ「ハクと坊のきょうだい猫は人を虜にする」
 私、このコたちを我が家に迎える前から、ふたりのファンだったんです。 「セントチヒロ・チッチ」の名前の通り、私はジ...
「新井モーニング」からのストリップ劇場へ 2023.2.28(火)
 書店員でエッセイストで踊り子。コクハクで連載中の新井見枝香さんが出演するストリップを観に行ってきました。ストリップ初心...
自分を追い詰めないで アラフォー女性管理職5つの悩み&解決法
「課長に昇進したのはいいけど、意外とツラい〜!」そんなアラフォー女性、増えています! 豊富な経験から職場で責任あるポジシ...
日光浴&岩盤浴♡ くるんとしたポーズで“たまたま”をチラリ
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...