生理じゃないのに乳房痛い…乳がんの可能性は?【専門家監修】原因と対処

コクハク編集部
更新日:2024-04-11 06:00
投稿日:2024-04-11 06:00
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、ちょっとした有名人。でもって、タヌキか妖怪の噂も囁かれるなか、健康に関する知識はズバ抜けている――。
 そんなえりのボスのもとにはウワサを聞きつけ、今日も悩みを抱えた女性が、ふらりと立ち寄ったようですよ。

1. 乳房の上部の痛みが気になる、受診の目安は?

 ゆいさん(38歳女性/仮名)からご質問をいただきました。

「最近、乳房の上部がチクチクと痛むんです。『生理が近いからかな?』と思っていたのですが、そうではない気もしてきて。大きな病気の可能性を考えるととても不安です」

「乳房の痛み…それは確かに不安よね」

 えりのボスは心配そうにゆいさんの顔を見つめます。

「先日も、痛みのせいで何となく気が乗らなくて、彼との予定をキャンセルしてしまいました。すると、彼から『もう会いたくないなら嘘つかないでそう言って』と吐き捨てるように言われてしまいました。

 慌てて電話しても出てくれなくて、LINEも既読スルーされてしまいます。彼とのこじれた関係を修復したいのと、からだの不安で、もうどうしていいかわかりません」

 ゆいさんの悩みを受け止め、えりのボスはゆっくりと話し始めます。

「あらあら、これはかなり深刻な内容ね。彼との関係は、いわばただの誤解だから、真摯に向き合えば解決するのは難しい問題じゃないと思うわよ。

 でも、からだの不安はそう簡単にはいかないわ。まずは、原因を知ること、そして症状に向き合い、適切な対処をすること」

「原因と対処ですか…。そもそもこの痛みは何なのでしょうか? もしかして乳がん?」

 不安そうにえりのボスに尋ねるゆいさん。これは放っておけません!

2. 生理じゃないのに乳房の上部が痛くなるメカニズム

「痛みをともなう早期乳がんはとても稀なの。絶対にあり得ないということではないけど、確率としては低いのよ。

 乳房の痛みは、大きく分けて『周期性乳房痛』『非周期性乳房痛』の2つに分類されるの。周期性乳房痛は、月経の黄体期~月経開始頃、だいたい1週間以上痛みが続き、痛みが増えるのが特徴よ。

 女性ホルモンの濃度に応じて乳腺が発達し、血管が拡張して、乳腺が張って固くなるの。これはいわゆる生理に関連する痛みね」

「ええ、でも私は生理とは関連しない痛みで…」

 ゆいさんの言葉に、えりのボスは優しい口調で説明します。

「そう。それは非周期性乳房痛というの。月経周期とは関係なく起こり、閉経後に多くみられるのが特徴だわ。原因はさまざまだけど、ホルモン変化が原因といわれているの」

「なるほど、ホルモンの変化ですか」

「ただし、しこりがあるときや、分泌物があるとき、症状が続くときは専門医に相談するのが一番よ」

3. 肩こりが原因で乳房が痛む?

 実は、乳房の痛みの原因は肩こりということもあります(※1)。

 その理由や、セルフケアの方法について解説します。

3-1. 肩こりは肋骨の間の筋肉を緊張させて痛みを起こすことも

「チクチク、ズキズキとした痛みを感じる」「上半身をひねると痛む」という場合、肩こりが原因の可能性があります。

 肩こりの影響で肋骨の間の筋肉が緊張すると、痛みを感じます。

 また、肋骨の間にある肋間神経が圧迫され、痛みにつながる場合も。

 乳腺が原因の痛みの場合は乳房の真ん中から上外側に痛みが出ますが、肩こりが原因の場合、乳房の外側や下側、もしくはわきの下が痛むという違いがあります。

3-2. 肩こりが原因の場合は、ストレッチや全身浴などで筋肉をほぐす

 肩こりを緩和するには、ストレッチがおすすめです。わきの下の、肩甲骨寄りの肋骨に指先を当て、指先を軽く上下に動かして、優しくマッサージしましょう。

 また、全身浴もおすすめです。血行促進や疲労回復には、半身浴よりも全身浴のほうが適しているといわれています。40℃くらいのお湯に肩までしっかり浸かり、10分ほど入浴しましょう。

 そして、ストレスは万病のもとです。からだの力を抜き、リラックスすることでも肩こりを軽減できます。

 好きな音楽を聞く、気晴らしに散歩する、何もしない時間を設けるなど、自分だけのリラックスタイムを作りましょう。

4. 乳房の痛みを感じたら、まずは病院へ

「えりのさん、ありがとうございました。相談に乗っていただいて、少しスッキリしました」

「いえいえ。まずは、乳房の痛みが乳がん由来のものでないか確認するためにも、一度病院に行きましょう。そして、彼との関係もきちんと修復しなきゃね」

「そうですね。不調のこともきちんと話し合って、これからのことを決めたいと思います」

 ゆいさんは、そう言ってえりのボスに深く頭を下げました。

「また気になることがあったら、いつでもサロンへいらっしゃい」

 優しい表情でサロンを去っていくゆいさんを、えりのボスは笑顔で送り出しました。

【参考】
(※1)京都民医連中央病院「病院報 2016年夏号 Vol.52(ほんとはこわくない『乳房の痛み』)」
https://kyoto-min-iren-c-hp.jp/koho/2016-52/1.html

★サロン「コクハク」のオーナー えりの

 顔と口調は若いものの、年齢不詳。タヌキか妖怪の噂も囁かれる謎めいた主人だが、ココロやカラダ、健康に関する知識はズバ抜けており、何気にハイスペック。ムスメ時代に苦労してるため、自分より“後輩”の女にはしあわせになって欲しいと願っている。愛称は、えりのボス。

(漫画/腹肉ツヤ子

  ◇  ◇  ◇

<この記事の監修者>

あんしん漢方薬剤師 中田 早苗(なかだ・さなえ)

 デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘルス-youtubeチャンネルでは、お薬最適化薬剤師として「無駄な服薬はお財布と体の敵!」をモットーに薬の最適な選び方を解説する動画を公開中。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。

「あんしん漢方」を詳しく見てみる

YouTube「Medical Health CH」

コクハク編集部
記事一覧
コクハクの記事を日々更新するアラサー&アラフォー男女。XInstagram のフォローよろしくお願いします!

ビューティー 新着一覧


寝癖ヤバッ!ごまかす方法&防止策をマスターして優雅な朝を
 朝起きてひどい寝癖がついていると焦りますよね。ギリギリまで寝ていたら、寝癖直しに時間がかかって大ピンチに! そんなとき...
2023-02-28 06:00 ビューティー
40代の体はまだ軽くなる! 脱プチ不調・お守りアイテム3選
 アラフォーをすぎると、仕事を休むほどの不調ではなくても、なんとなくやる気が出なかったり頭が働かなかったり……と、ちょっ...
天然パーマを直すのは無理?頑固な癖毛を扱いやすくする3TEP
 地毛がくるんとカールしてしまう天然パーマに悩んでいる人は多いのではないでしょうか? 実際に、天然パーマだと「髪の毛がま...
在宅ワークで眉毛迷子に…流行りのアイブロウアイテムに刷新
 在宅ワークで、人に合わない日々を過ごして3年弱。オシャレの手を抜いて、服や化粧品を購入する機会も減っていました。が、こ...
世にいうおしゃれ更年期!? 去年の服が似合わない原因&5つの対処法
 衣替えをするのは大変ですが、「そうだ、これ買ったんだ!」なんて忘れていた洋服と再会することもあり、ちょっぴり楽しい時間...
不安定な生理や閉経前こそ月経カップ!基本的な使い方【専門家監修】
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
非モテ認定待ったなし! 男に誤解されやすい地雷系メイク3選
「地雷系女子」とは、見た目は可愛いのに、性格が自分勝手で自己中心的だったり、情緒が不安定で感情をコントロールできなかった...
お腹がすいた、我慢無理!おすすめの「太りにくい夜食」4選
 仕事が遅くなってしまった時や、夜中に資格取得の勉強などをしている時、どうしても夜食が食べたくなってしまう時ってあります...
冬に毎日シャンプーするのはNG? 寒い季節の正しいヘアケア
 汗をかきやすい夏は、毎日シャンプーをしている人がほとんどでしょう。でも、「汗をかかず、乾燥しやすい冬にも毎日シャンプー...
尻のおできは踊り子の職業病?穴開きクッションの世話になる
 書店員として本を売りながら、踊り子として舞台に立つ。エッセイも書く。“三足の草鞋をガチで履く”新井見枝香さんの月イチ連...
40代の疲れ顔を解消!ケバくならない「お呼ばれメイク」ポイント7つ
 結婚式やお祝いなどお呼ばれの席では、服装や雰囲気に負けない華やかな「お呼ばれメイク」をしていきたいですよね。でも「お呼...
更年期予防&若さを保つにはホルモンの一種「ビタミンD」【専門家監修】
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
実はカロリーお化け!意外に高カロリーな食材&食べすぎ時の対処法
 ダイエットの大敵といえば、「おいしい食べ物」ですよね。でも、完全に我慢するのは逆にストレス……。多くの人はできるだけ低...
シリコン製グッズを制する者がしっとり肌に!手持ちの化粧品も使える
 しっとりとした肌を育むために、どんなことをしていますか? 乾燥が気になる秋冬シーズンには、普段より高保湿のコスメに変え...
毛穴詰まりが怖くて躊躇…ナイトパウダーってどうなのよ?
 みなさんは、ナイトパウダーを使っていますか? ネットでも話題になっているので、気になっている人も多いはず。でも中には「...
イジらなくても魅力増す「40代のチャームポイント」見つけ方
 年齢を重ねると、見た目の差がだんだん大きくなってきますよね。実は、40代を超えてからも綺麗で可愛らしい女性の多くは、「...