そんなえりのボスのもとにはウワサを聞きつけ、今日も悩みを抱えた女性が、ふらりと立ち寄ったようですよ。
1. 2時間くらいでタンポンから経血モレが…!
今回は、あかりさん(38歳女性/仮名)からのご相談です。
「実は最近、経血モレのことで悩んでいて…」
あかりさんは、深刻そうな表情でえりのボスに相談を始めました。
「勤務は立ち仕事がメインで、なかなかお手洗いに行く時間もないので生理中はタンポンを使っています。タンポンなら安心だと思っていたんですが、先日仕事中に同僚から『生理がモレているよ』と言われてしまって…」
あかりさんは、恥ずかしそうにうつむいてしまいました。
「慌ててトイレに駆け込んだら、本当にモレていて。とても恥ずかしかったです」
「それは災難だったわね…。着替えも大変だったでしょう」
「はい。まだ2時間くらいしか使っていなかったのに、まさかモレてしまうなんて」
うなずきながら耳を傾けるえりのボスに、あかりさんは言いました。
「経血量が増えたせいでモレたのかな? と思ったんですが、量は変わっていないようでした。試しにタンポンからナプキンに変えてみたんですが、経血量は以前と同じくらいだったので」
「なるほど。経血量はあまり変わらず、長時間挿入していたわけでもない…ということね」
「そうなんです。どうしてモレたのか、原因がわからなくて困っているんです」
しばらく考え込んでいたえりのボスは、あかりさんに言いました。
「もしかすると、膣のゆるみが関係しているかもしれないわね」
「膣のゆるみ?」
「ええ。膣がゆるむとタンポンから経血モレが起こりやすくなったり、尿漏れが起きたり、性交時に満足感を得にくくなったりと、いろいろ困ることがあるのよ。
それじゃあ今日は、膣のゆるみのチェック方法や対策を教えましょうか」
「ぜひ詳しく聞かせてください、えりのさん」
真剣な表情で目を輝かせるあかりさん。これは放っておけません!
2. タンポンからの経血モレは膣のゆるみのせいかも!?
「タンポンから経血モレが起こる原因は、おもに4つ。『使用方法の間違い』『経血量に合わないタンポンの使用』『長時間の使用』そして『膣のゆるみ』よ」
えりのボスの説明に、あかりさんは聞き入っています。
「つまり、挿入位置がずれていたり、経血量が多い日に「軽い日用」のタンポンを使ってしまったりするとモレやすくなるの。
使用時間は一般的には4~8時間が目安とされているわ。あかりさんの場合は、使用方法や使用時間などは問題なさそうね」
「とすると、私の場合は膣のゆるみが原因かもしれない…ということでしょうか」
「その可能性はあると思うわ。運動不足や便秘、座りっぱなしの生活などで骨盤底筋が衰えると膣がゆるみやすくなるのよ。
そのほかにも加齢や出産、更年期の女性ホルモンの分泌低下なども膣のゆるみの原因になるわ」
「私はほとんど運動していないし、便秘気味です。年齢はまだ30代だから、更年期ではありませんけれど…」
「更年期は40代半ば~50代半ばの期間だけれど、30代半ば~40代半ばのいわゆる『プレ更年期』も女性ホルモンの分泌が乱れやすくなるから、膣のゆるみが生じる可能性はあるわね」
えりのボスは、にっこり笑って言いました。
「次のチェックリストで、膣のゆるみを調べてみてね。気になる場合は、膣トレでゆるみ対策をしてみましょう!」
3. 膣のゆるみを確認する方法
膣のゆるみがあると、次のような症状が出やすくなります。
<膣のゆるみチェックリスト>
□タンポンが漏れやすい、ずれやすい
□膣のしまりの悪さを自覚している
□入浴時、膣からお風呂のお湯や空気が出る
□性行為で満足感を得にくくなった
□座ったとき膣に空気が入って、おならのような音(膣ナラ)が出る
□咳やくしゃみをすると尿が漏れる
当てはまる項目がいくつかある場合は、膣がゆるんでいる可能性があります。
正確な膣圧を測定するには膣圧測定器のある婦人科クリニックなどで計測してもらう必要がありますが、自分の指を膣内に挿入して簡単なチェックを行うことも可能です。
清潔にした中指・人差し指の第二関節まで膣内に挿入してから指を45度の角度に開き、膣に力を込めても指に圧力を感じないようならゆるんでいる可能性が高いといえます。
4. 膣のゆるみ対策には膣トレがおすすめ!
膣のゆるみを本格的に治療するには、美容婦人科・婦人科形成などの医療機関で「膣ハイフ」という施術や、手術などを受ける必要があります。
しかし、膣のゆるみが気になる人は、まずは膣トレ(膣トレーニング)を始めてみましょう。
膣トレは子宮や子宮を支える「骨盤底筋群」を鍛えるトレーニングのことで、膣のゆるみや尿漏れの対策として効果的です。
膣に挿入して用いる膣トレ専用グッズもありますが、グッズを使わなくても手軽に膣トレを始めることができますよ。
<膣トレの方法>
(1)両足をそろえ、背筋を伸ばして立つ。
(2)ゆっくり10秒かけて、息を吐きながら膣・尿道・肛門を引き上げるように締める。
(3)ゆっくり10秒かけて、息を吸いながらゆるめていく。
(4)(2)、(3)を3回程度くり返す。
膣トレは毎日続けることが大切です。仕事や家事の合間のちょっとしたすきま時間にもとり入れることができるので、1日数セット行うことを習慣にしましょう。
5. 膣のゆるみケアを始めよう!
「えりのさん。今日は膣のゆるみについて教えてくれて、本当にありがとうございます」
あかりさんは、明るい笑顔でえりのボスにお礼を言いました。サロンに来たときは暗かった表情も、今は安心した様子でとても朗らかになっています。
「お役に立ててうれしいわ。膣トレを毎日続けると、3カ月くらいで効果を実感できる人が多いといわれているの。
焦らず気長にチャレンジしてみてね。あと、お仕事の都合もあって難しいかもしれないけれど、生理中はできるだけトイレの時間を作って生理用品を替えるようにね」
「そうします。運動不足や便秘も、無理のない範囲で解消していきたいなと思います。そのほうが、健康的ですものね!」
「ええ。また気になることがあったら、いつでもサロンへいらっしゃい」
晴れやかに笑ってサロンを去っていくあかりさんを、えりのボスは笑顔で送り出しました。
★サロン「コクハク」のオーナー えりの
顔と口調は若いものの、年齢不詳。タヌキか妖怪の噂も囁かれる謎めいた主人だが、ココロやカラダ、健康に関する知識はズバ抜けており、何気にハイスペック。ムスメ時代に苦労してるため、自分より“後輩”の女にはしあわせになって欲しいと願っている。愛称は、えりのボス。
(漫画/腹肉ツヤ子)
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<この記事の監修者>
あんしん漢方薬剤師 中田 早苗(なかだ・さなえ)
デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘルス-youtubeチャンネルでは、お薬最適化薬剤師として「無駄な服薬はお財布と体の敵!」をモットーに薬の最適な選び方を解説する動画を公開中。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。
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