すわ、嫁姑戦争勃発か!? 月のもので結束力まで描く脚本の妙

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2024-04-19 15:50
投稿日:2024-04-19 15:50

NHK朝ドラ「虎に翼」~第3週「女は三界に家なし?」#15

 実際の事件を調べるため、まんじゅうを作ってみることにした寅子(伊藤沙莉)たち。すると涼子(桜井ユキ)が急に謝罪したいと言い出す。

 涼子が調べたところ、学長(久保酎吉)が元の事件を脚色し、かわいそうな女性を女性たちが弁護しているように見えるよう改変していたらしい。

 事実を知り、憤慨する寅子やよね(土居志央梨)たち。一方、花江(森田望智)も抱えていた思いを吐き出す。

【本日のツボ】

「月のものに効くツボだ」(よね)

 ※※以下、ネタバレあります※※

「どうしても、作ってみたかったの、おまんじゅうを。…私を特別扱いなさらない皆さんと一緒に」

 法廷劇「毒まんじゅう事件」を学長が改ざんしていたことを知っていながら、すぐにみんなに言わなかったのが、そんな理由だったとはいささか拍子抜けでしたが、涼子がいかに窮屈に生きてきたかがわかるエピソードでした。

「帰る。無駄な時間を過ごしただけ」と言うよねに、「それは違います」と寅子の母・はる(石田ゆり子)。

「今日があったから、法廷劇に納得がいかないあなたたちが正しかったとわかったわけでしょ。おまんじゅう1個にさまざまな考えを巡らせることができたのも、先生方の無意識に私たち女を舐めてる考え方も、おまんじゅう作りを楽しむことができたのも、今日があったからでしょ」と諭す。

「少なくとも私は娘があなたたちと一緒に学ぶことができてよかったなと思えました。志を同じくする仲間を得られたんだなと思えた」と。さすが、はるさん、言いことをおっしゃる。

まんじゅう作りが生み出したもの

 女子部の仲間たちの団結が深まるのとは対照的に、疎外感を抱いていた花江は泣き出し、ついに心の中のモヤモヤを吐き出しました。

「寅ちゃんたちみたいに優秀で強い人には、わたしのつらさが、さみしさがわかりっこないのよ」

 そこで、よねが思わぬ行動をとり、「この人は家事や育児をしながら学んでいる、この人は…」とみんなのつらさを代弁します。寅子の月のものがつらいことも。そして、「これだけは言える。つらくない人間なんていない」と。

 花江の涙のおかげで、よねの変化、仲間を思う心がわかり、じんとしました。

桧山珠美
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TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。読売新聞「アンテナ」、放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

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