全SNS利用者が読むべき太宰治に学ぶ【恥】リスクヘッジとは?

小悪魔ドルチェ寿司 編集者
更新日:2019-08-05 18:08
投稿日:2019-07-26 06:00
 48歳差の激しすぎる恋――男は何歳まで男なのか、81歳との恋愛模様とはいかなるものなのか。ホットなイットボーイというより、じわじわ低温やけどさせる現役引退系脳みそ性器。そんな男を好いて惚れ尽くしたわたしとひろしですが、今回は太宰短編における《恥》の話をしたいと思います。

昔「祭り」→今「炎上」

【vol.23】

 前回、古代のギリシア哲学のなかにおいては、失われた自らの片割れを探す《エロス》というものは“本来の自然な姿の自分に戻ろうとする本能”であり、ひたすら原始的で、人間本来の発端である、という話をしました。だからこそ、自らの片割れは同性同士の組み合わせも、異性同士の組み合わせもあり、当然そこには優劣も欺瞞も悲哀もナルシシズムもないわけで、ナチュラルに世界の仕組みの一環として同列にとらえられていたわけです。

 しかもむやみやたらに注釈を入れまくっていたので、相当読みにくかったのでは……と思うのですが、どうですか、そうですか、別に読んでない、と。テヘ。

自分の意思に関わらず同じ土俵

 とにかくこの現代のデジタルトゥゲザーのなかにあっては、センシティブな話題に触れようとすれば、とりあえず注釈、取り急ぎ留意点、いったん注意事項というリスクヘッジが必要になってきます。猫も杓子もセレブも大統領もインターネットという土俵に立てば、階級、社会的地位、年収、居住地、すべてを飛び越えて同じ土俵に立てることができる。というか、望むと望まざるとにかかわらず、立ってしまうのです。

 個別にアポ入れしたら絶対に会ってもらえないような人に、SNSで簡単にモノ申すことができるため、勘違いして同じステージどころか、同じステータスだと思ってしまう人たちが騒ぐ(=炎上)ことが、多すぎる昨今。【昔“祭り”、今“炎上”】として、各々の正義感の怖さが日々の炎上案件を生み、さまざまなクリエイティブが攻撃され、また、破棄されています。

 昔の“祭り”は愛も粋も面白さもあったのですが、今の“炎上”は草木も生えない状態にさせるというか、古代ローマにおけるコロッセウムでの殺りく見世物にやんやの喝采状態です。古今東西みんな人が傷つくのを見るのが大好き。

炎上研究部員・小悪魔ドルチェの考察

 なにがいいたいかというとですね、炎上研究部員としては毎度の案件を見るたびに、攻撃して叩いている全員が太宰治の短編『恥』に出てくる和子に見えて仕方ないのです。

 この短編、ネットで調べればすぐ出てくる上、5分で読むことができるので是非読んでいただきたいのですが、会ったこともない相手を自分より下に見て盛大な勘違いをし、ことごとく自分の正義で突っ走るさまが、どう見ても、今の炎上加害者なわけです。

 幸いにも最後の最後で和子は、リアルを知ることができたのですが、そのときの和子の気持ちを引用してみます。

~私は泣きたくなりました。私は何というひどい独り合点をしていたのでしょう。滅っ茶、滅茶。(中略)顔から火が出る、なんて形容はなまぬるい。草原をころげ廻って、わあっと叫びたい、と言っても未だ足りない。~
引用:「太宰治全集4」ちくま文庫、筑摩書房 1988年12月1日第1刷発行

“和子”になれる?

 しかし和子のようにこのリアルを知ることができない現代の炎上加害者は《恥》を知らぬまま、日々ひたすら火の元を見つけて徹底的に叩くことを生きがいとしています。振り上げては下ろし方を知らない拳と、行きどころのない正義の“脂肪燃焼”をさせるために見も知らぬ相手と徒党を組んでは、憂さ晴らし……。

批判だらけのナンセンス

 古今東西変わらない図といえば図です。しかしなにも創り出すこともせず、できず、批判するしかできない人びとのために注意書きまみれにするというのは、そろそろやめたほうがいいのでは、と思うのです。

 120年前に書かれた尾崎紅葉『金色夜叉』の名場面、心変わりした婚約者「宮」を「貫一」が蹴り飛ばす場面で、大量の注釈を入れなくてはいけなくなりそうな近未来。今でさえ、昔の注釈に「現代にそぐわない表現もありますが時代背景を考え」云々と、書かれてありますもの。

 なにがいいたいかといいますと(えー本稿2回目)、前回のアンドロギュノス的ジェロントフィリアと、今回の注意書きまみれの令和元年を太宰でリスクヘッジして、次回はひろしの帝王学的エロスと女についてお話したいという、布石でした! 来週(8/2)、回収できるのかな…!? こうご期待!

小悪魔ドルチェ寿司
記事一覧
編集者
出版社で勤務のかたわら、現場主義のスケベライフを送っている最中に81歳と恋に落ち同棲生活開始。

関連キーワード

エロコク 新着一覧


毒親育ちの彼は“宿敵”大御所男性カメラマンとも肉体関係に#6
「毒親育ちの会」で長身の美青年と知り合ったC子さん(28歳公務員/独身)。紆余曲折を経て彼との恋に酔いしれ、とろけるよう...
蒼井凜花 2022-02-25 06:00 エロコク
ギフトにピッタリ♡ カップルで振動をシェアできるローター
 カップル間でギフトを贈り合う機会が多いこの季節。私はずっと以前から、ラブグッズを選ぶ人がもっと増えてくれないかなぁと思...
桃子 2023-01-21 17:34 エロコク
毒親育ちの彼と鏡の前でした甘美なセックスと驚愕の動画!#5
「毒親育ちの会」で長身美青年の素敵な男性と知り合い、付き合いが始まったC子さん(28歳公務員/独身)。幸せな日々が続いて...
蒼井凜花 2022-03-03 22:46 エロコク
幸せなセックスから一転、毒親育ちの彼がリストカットを…#4
「毒親育ちの会」で、長身の美青年と出会ったC子さん(28歳公務員/独身)。互いに親からの愛に飢えていた二人は急速に惹かれ...
蒼井凜花 2022-03-04 13:03 エロコク
コンパクトなボディーが繰り出すヘビーな振動に即昇天♡
 ここ数年、勢いが止まらない人気メーカー「P×P×P」が放つ“完全防水”シリーズ。新作を出すペースが速くて、付いていけな...
桃子 2022-02-06 06:00 エロコク
「毒親育ち」の彼の強引なフェラチオと甘美な愛撫に溺れて#3
「毒親育ちの会」で長身の美青年と知り合ったC子さん(28歳公務員/独身)。意気投合した二人は毎日LINEで連絡を取るよう...
蒼井凜花 2022-03-03 22:34 エロコク
SDGsを極めたローター! 1台あれば長く使えること間違いなし
「ラブ・ノット・ウォー」ーー。争いではなく愛を。そんなすてきなブランド名とともに、いますぐ手に取りたくなる6アイテムが上...
桃子 2022-01-30 06:00 エロコク
驚愕! 恋焦がれた「毒親育ち」の彼はリストカッター?#2
 中学校教師の厳格な両親を持ち、自らを「毒親育ち」と称するC子さん(28歳公務員/独身)。そんな彼女が「毒親育ちの会」な...
蒼井凜花 2022-03-03 22:36 エロコク
経験上間違いなし! 男が高確率で手を出してくる魔法の言葉
 彼氏ほしいですか? きれいごとはいらないので、率直に、欲望のまま、とりあえず男性とエッチしたいですか? したいならした...
「毒親育ちの会」の彼、ほろ酔いの抱擁から全てが始まった#1
「毒親」「親ガチャ」という言葉が使われるようになって久しい。そんな中、「毒親育ち」の男女が集う会で、運命的な出会いを果た...
蒼井凜花 2024-08-22 17:25 エロコク
デリケートゾーンの潤い守る!くすみ対策の植物由来成分も♡
 乾燥が気になる季節です。いえ、正確には乾燥って年中、気になりませんか? 冬は空気が乾いていますが、夏も汗をたくさんかく...
桃子 2022-01-16 06:00 エロコク
手なずけられているのはどっち? 不倫続行を選んだ男の決意
 スポーツジムで出会ったことをきっかけにダブル不倫に落ちたビジネスマンWさん(45歳・大手スポーツメーカー・妻子アリ)。...
蒼井凜花 2022-01-14 06:00 エロコク
ローター&バイブ&カップルバイブ…1台で3役こなす多機能系
 何事も「見た目から入る」タイプの人はいますよね。「ザロ」というブランドは、グッズもパッケージもロココ調。グッズ界でほか...
桃子 2022-01-09 15:21 エロコク
匂わせ女子がまさかの逆上…セックスで飼いならすことを決意
 スポーツジムで出会い、ダブル不倫に落ちたビジネスマンWさん(45歳・大手スポーツメーカー・妻子アリ)。相手の女性は容姿...
蒼井凜花 2022-01-07 06:04 エロコク
縦横無尽に刺激しまくり! 注目の“吸盤系”ピンクローター
 一見するとオーソドックスなピンクローターのようですが、「オルガトーン」はローター部分がとても個性的。聴診器のような吸盤...
桃子 2022-01-15 14:11 エロコク
驚愕! 不倫中の匂わせ女子が妻に接近…インスタに写真まで
 ついにラブホテルでダブル不倫にいたってしまったYさん(45歳・大手スポーツメーカー・妻子アリ)。インスタ好きな相手の女...
蒼井凜花 2021-12-31 06:00 エロコク