勝ち組ママ友が放った屈辱的な一言。私を「一般人」と一緒にしないで!

ミドリマチ 作家・ライター
更新日:2024-08-19 11:57
投稿日:2024-08-19 06:00

セレブなママ友から予想外の一言が

 数日後のある日。

「葵さんのお母さま」

 授業参観で学校を訪れた昇降口にて、由香はつま先でスリッパを揃えていると、背後から声をかけられた。

「あら、鈴華さんの――」

「ごきげんよう」

 由香は時折幼い頃の癖で、足で動作を行ってしまうことがある。はしたない姿を見られたとヒヤヒヤしながら振り向くも、気に留めていない様子の穏やかな笑顔に由香は安心した。

 声の主は鈴華の母。この学園のOGで、夫は五大ローファームに勤務する弁護士だ。いつも姿勢が良く、彼女の腕にはいつも黒のバーキン30が当たり前のように提げられている。もちろん幼稚園から上がってきたママ友だ。

「伺いましたよ。葵さんのお母さま、最近愛舞さんのお母さまと仲がいいんですってね」

 彼女から発せられる不本意な言葉に、由香は慌てて否定した。

「あ、いえ、葵が仲良くて、一度自宅に招待しただけですよ。手土産も持ってこなかったことにびっくりしましたけど」

「まぁ…」

 一瞬、表情がよどんだような気がした。由香にはそれが“来良の非常識さにドン引きしている”ように見えた。

 由香は昂り、思わず感情を共有したくなってしまう。

「しかも、下品なロゴのシャツでいらして。どう思います? 校長様がなぜあのようなご家庭の方とこの学校とのご縁を繋いだのか、私には不思議で不思議で」

 眉毛を八の字に、嫌悪感を表して報告する。愚痴を言いあってスッキリしたい、その一心だった。

 しかし――返ってきたのは予想外の言葉だった。

「お二人は似たような雰囲気ですから」

「よくわかりませんが、お二人は似たような雰囲気ですから、合うと思うんですけどね」

 その表情は、いつにも増して穏やかだった。由香はわけがわからない。

「似たような…って、どういうことでしょう?」

 先日、来良にも同じことを言われたことを思い出し、由香は尋ねてしまう。

 彼女は言葉を選んでいた。

 モナリザを思わせる意味深な笑顔を伴って。そして、やっと回答を得る。

「強いて言えば、負けず嫌いなところでしょうか」

 皮肉を羽毛で包んだような遠回しな苦言だ。

 それは、直接的な嫌味よりも由香の心に深く刺さった。

#3へつづく:「負けず嫌い」に含んだ意味を理解した由香は…】

ミドリマチ
記事一覧
作家・ライター
静岡県生まれ。大手損害保険会社勤務を経て作家業に転身。女子SPA!、文春オンライン、東京カレンダーwebなどに小説や記事を寄稿する。
好きな作家は林真理子、西村賢太、花村萬月など。休日は中央線沿線を徘徊している。

ライフスタイル 新着一覧


パワースポット真鶴・琴ヶ浜で癒しの休日 2022.9.15(木)
 先日、会社の先輩から青春18きっぷをいただいたので、電車の旅に出かけました。  青春18きっぷとはJR全線の普通...
ヅラ柄と白“たまたま”に萌え♡悩殺ポーズの個性派にゃんたま
 きょうは、強烈な個性でニャンタマニアをじわじわ虜にする、にゃんたま君にロックオン。  悩ましいポーズ、磨きのかか...
「敬老の日と賀寿の祝い」ジィジとバァバにどんな花を贈る?
 猫店長「さぶ」率いる我がお花屋さん、神奈川のカントリー風情たっぷりの立地にあるせいか、お客様はいわゆる“昔のお坊ちゃま...
「チェオ(CEO)!?」田舎の親と都会の娘、ギャップ痛感LINE
 田舎から東京に出てきて数年経つと、嫌でも都会に染まってしまうものです。でも、都会での生活の中、突然届く実家の親とのLI...
残暑に負けるな! 節電も暑さ対策もバッチリなテクニック4選
 暑く湿度の高い夜が続いています。世界情勢による電力・ガスの値上げや地球環境も踏まえて、できれば残暑は節電しながら賢く乗...
悪口大会にうんざり!ママ友が「めんどくさい」と感じる瞬間
 人付き合いは、難しいもの。特に子供を通した関係、ママ友との付き合い方に苦労している女性は多いのではないでしょうか。子供...
“たまたま”とお顔を一緒にパチリ!実はレアな瞬間なんです
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
「話を聞かない人」への5つの対処法 イラついてもしゃーない
 職場の人間関係に悩んでいる人は、意外と多いです。話を聞かない相手に、どう接したらよいか頭を抱えている人も少なくありませ...
同性に嫌われる人が無意識にとる行動 原因は「嫉妬」じゃない
 みなさんは、自分は同性ウケがいい方だと思いますか? まあ比較的、悪くはないかなと思えればいいのですが、中には「めちゃく...
“たまたま”がまったり会議♡ 尻尾の“横逆S字”曲線美にも注目
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
ダイソー食器棚は驚異!めちゃスゴ100均グッズでお花生活<2>
 前回に続いて、100均グッズでございます。  猫店長「さぶ」率いる我が花屋の周辺には、いくつもの100均ショップ...
「梅仕事と針仕事と…」自称“丁寧な暮らし”派のあるあるLINE
 自然派思考が高まる昨今、当たり前の小さな日々の繰り返しに手間と時間をかける「丁寧なくらし」を意識する人も増えていますよ...
あざとかわいい“たまたま”♡チロっと出た舌はリラックスの証
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
壺じゃなくてブレスレット♪ 友達をやめたきっかけLINE3選
 顔を見ないで気軽に連絡し合える便利ツールのLINE。でも、気軽だからこそあまり深く考えずに送った言葉に、人の本性が現れ...
夫の実家帰りすぎ問題!なんで、うちだけ?理由4つと解決策
 夫婦間に問題があるわけではないのに、夫に対して実家に帰りすぎ……と感じたことはありませんか? もしかすると、あなたの夫...
「おニューってブランド?」若者キョトンな昭和あるあるLINE
 愛すべき昭和の時代に生まれた女性は、平成、令和と3つの時代に順応しながら生きています。でも、やっぱり幼い頃に体に染み付...