「腹の子のDNA鑑定もする!」妻の不倫に怒号する夫。鑑定の結果は… 35歳英会話講師の不倫欲 #3

蒼井凜花 官能作家・コラムニスト
更新日:2024-10-18 06:00
投稿日:2024-10-18 06:00

お腹の子供のDNA鑑定へ

「最も恐れていたことが起こりました。夫は『子供のDNA鑑定をする。昨日クリニックを調べた』と言って私を助手席に座らせ、車を飛ばしたんです」

 車は都内北部にあるレディースクリニックに停まった。

「クリニックに着くと、診察室に呼ばれてすぐに検査が始まりました。私は採血をし、夫は内頬の粘膜を綿棒で採る簡易な流れです。結果は5日~7日間で分かるそうです。その日のことは思い出したくありません…。

 午前中に宗太郎さんが訪れて謝罪し、二度と逢わないと念書を書かされ、息をつく間もなくDNA鑑定…自分が蒔いた種とはいえ、もう呼吸することすら苦痛で…。でも、こうしている今もお腹の子は成長していく。両親の家では可愛い娘が待っている。

 以前の自分なら何のためらいもなく『自分は根っからの不倫体質。女の悦びを満喫しなきゃ』と笑っていたのに、人生の歯車はこうも呆気なく狂ってしまうのかと生きる気力を失いましたね。すべて私が悪いのですが…鑑定結果が出るまで、夫も相当苦しんだと思います」

お腹の子の父親は夫だった

 6日後、DNA鑑定の結果が出た。

「99.99%夫の子供でした。夫は『よかった』と男泣きし、私を抱きしめたんです。私もあふれる涙を抑えきれず、夫にすがりつきました。何も知らない娘だけが『パパ、ママ、どうして泣いてるの?』と無邪気に聞いてきて…。

 その夜は久しぶりに安心して眠れました。でも、私の心の中で、どうしても忘れられない甘美な思いがよみがえってきたのも事実です」

 由奈さんは宗太郎さんへの思いを断ち切れずにいた。結果、2人はひそかに連絡を取り合う関係に戻った。

「彼に逢えない寂しさに我慢できず、私のほうからLINEをしたんです。宗太郎さんは『念書まで書いたんだ。もう無理だ』と拒んできたのですが、私が逢いたいと懇願して…。

 そして、再び『英会話のレッスン』と偽り、大きなお腹のままホテルで抱かれました。お互い涙を流しながら、どうしようもない愛欲をぶつけあうように、抱き合ったんです。宗太郎さんとはやはり離れられないと確信しました」

人生で最大のウソ

 この時、由奈さんはさらに罪な事をしてしまう。

「宗太郎さんが、念を押すように『お腹の子供は僕の子だよね?』と聞いてきたんです。少し考えて、『そうよ。夫は勘違いしているみたいだけど、間違いなくあなたの子』と告げたんです。彼、今まで見たこともないくらい優しく目を細めてお腹を撫でてくれました。宗太郎さんと離れたくないがために、人生で最大のウソをついてしまって…」

 由奈さんは「出産後は子連れで英会話のレッスンをすると宣言しているので、生徒さんも楽しみにしてくれているんです」と微笑んだ。

 その表情からは幸せとともに、いくばくかの不安や懊悩(おうのう)も垣間見えた気がした。

 だが、彼女ならきっと大丈夫だろう。2人の男を翻弄し、苦しみながらも不倫愛を貫く彼女が、どこかまぶしく、そして逞しく思える筆者だった。

(了)

蒼井凜花
記事一覧
官能作家・コラムニスト
CA、モデル、六本木のクラブママの経歴を持つ異色の官能作家。近著に「CA、モデル、六本木の高級クラブママを経た女流官能作家が教える、いつまでも魅力ある女性の秘密」(WAVE出版)、「女唇の伝言」(講談社文庫)。
オフィシャルサイトYouTube

関連キーワード

ラブ 新着一覧


真心を感じられない…感情的な女性の扱いに苦心する熟年男性
「冷酷と激情のあいだvol.43〜女性編〜」では、婚活中に出会った年上男性にしつこくアプローチされていると言う女性・Oさ...
並木まき 2021-06-19 06:00 ラブ
運命の人だと思ったのに違った…7つの共通点&見極めるコツ
 彼と出会った時、一緒にいて落ち着いたり、偶然の共通点が多かったりすると「思わず運命の人なのかも!?」と思ってしまいます...
恋バナ調査隊 2021-06-18 06:00 ラブ
離婚を後悔しがちな5つの理由&後悔しないための確認ポイント
 どんな夫婦でも、結婚が決まった時は明るい未来を想像し、お互いに幸せを感じていたでしょう。しかし、年月が過ぎ、さまざまな...
恋バナ調査隊 2021-06-17 06:00 ラブ
ここに来て注目…すぐに会える安心感「ご近所恋愛」のススメ
 コロナ禍は、多くの遠距離カップルを引き裂いてしまいました。会えない期間が続くと、愛情を持続させることはかなり難しくなっ...
内藤みか 2021-06-17 06:00 ラブ
レスの彼との未来はある? 乗り越えるためのおすすめ解消法
 友達同士でもなかなか語り合えない「セックスの頻度」。皆さんはどれくらいでしょうか? パートナーとの夜の営みがない期間が...
若林杏樹 2021-06-16 06:00 ラブ
愛され女子のほっこりLINE♡ 彼氏の仕事の疲れを癒す内容5つ
 仕事が忙しくて、なかなか会えない彼氏……。そんな時には、「なんで会えないの!?」なんて拗ねたLINEよりも、彼氏を癒す...
恋バナ調査隊 2021-06-16 06:00 ラブ
いくら美形でも…付き合いたくないモンスターイケメン体験談
 外見の良さは、人から評価されやすいものです。しかし、あまりに外見でちやほやされすぎると、コミュニケーション能力の欠如し...
ミクニシオリ 2021-06-15 06:00 ラブ
冷凍ごはん絶対NG?ホント無理!彼のこだわりに打ち勝った日
「何歳からでも夫婦になるのは遅くない」とお伝えする本連載。インタビュアー・内埜(うちの)さくらが、40歳以上で結婚した男...
内埜さくら 2021-06-15 08:28 ラブ
美魔女はモテる?モテない?年齢に負けずちやほやされるコツ
 少し前に流行った、「美魔女」という言葉をご存知ですか? 一般的な定義としては、“35歳以上の才色兼備の女性”のを指すよ...
恋バナ調査隊 2021-06-14 06:00 ラブ
現実と向き合って!夫婦の問題から逃げるパートナーとの末路
 結婚って幸せの入り口だと思っていたのに……結婚生活を重ねるほどに浮上してくる、現実的な問題の数々。もしパートナーがこの...
七味さや 2021-06-14 06:00 ラブ
すぐに実践♡ 男性を虜にする効果抜群の恋愛テクニック8選
 気になる男性ができた時、「誰にでも効果のある恋愛テクニックがあればいいのになぁ」と感じたことはありませんか? 今回は、...
恋バナ調査隊 2021-06-13 06:01 ラブ
冷え切った関係なのに…夫に離婚を認めてもらえない妻の悲嘆
 男女の関係では、交際相手や配偶者の態度に悩む人も少なくありません。愛し合っている男女間でも、価値観や物事の判断には個人...
並木まき 2021-06-12 06:09 ラブ
別居してお互い自由にしているし…離婚に応じない夫の言い分
「冷酷と激情のあいだvol.42〜女性編〜」では、別居をして何度も離婚の話をするも、夫が合意してくれない女性・Sさんの苦...
並木まき 2021-06-13 22:12 ラブ
妻一筋で不倫しません! 夫を虜にする妻が持つ“4つの共通点”
 男女問題研究家の山崎世美子(せみこ)です。芸能人の不倫スクープが山ほどクローズアップされ、今や“女遊びは芸の肥やし”と...
山崎世美子 2021-06-12 11:11 ラブ
もはや誤変換の神! 彼女から届いた笑える可愛いLINE5選♡
 恋人同士の連絡ツールであるLINEには、2人のいろいろな物語が詰まっています。今回はその中でも、愛しい彼女から届いた、...
恋バナ調査隊 2021-06-12 06:00 ラブ
キスは何回目のデートで?最適なタイミング&男性のサイン♡
 待ちに待った初デート♡「もしかしてキスされるのでは?」と、ドキドキしてしまいますよね。でも、それと同時に何度目のデート...
恋バナ調査隊 2021-06-11 06:05 ラブ