人生64年ずっと実家暮らしですが何か? 介護に看取り…「子ども部屋おじいさん」が至った境地

山口明 プロ童貞・現代アーティスト
更新日:2024-12-14 06:00
投稿日:2024-12-14 06:00
 コミックや書籍など数々の表紙デザインを手がけてきた元・装丁デザイナーの山口明さん(64)。多忙な現役時代を経て、56歳の時に仕事中心で働く生き方をドロップアウト。現在は悠々自適な老後(?)を送りながら、還暦過ぎの童貞として注目を集めています。

実家暮らしは「半人前」なのか?

 最近、中年になってもずっと実家で暮らしている人は“子ども部屋おじさん”とか呼ばれて、世間的にはネガティブなイメージがあるみたいだね。

 そんな空気に逆行して(?)堂々宣言させてもらうと、オレは生まれたときから現在まで実家以外で暮らしたことのない、実家暮らし歴64年の超ベテラン! おじさんどころか“子ども部屋おじいさん”だよ(笑)。

 まだ若かった頃の話なんだけど、作家の丸山健二さんが雑誌で「一人暮らしの人は自分より若くても“さん付け”で呼ぶけど、実家暮らしの人は一人前ではないので“くん付け”で呼ぶ」みたいなことを語っているのを読んだことがある。

【こちらもどうぞ】自分を「幸せじゃない」と思う人に62歳の童貞が伝えたいこと

 当時すでに就職していたんだけど、ちゃんと働いて仕事でお金をもらっていても、実家で暮らしている限りは「世間的に自分は半人前なのか…」と思った記憶があるよ。

 その後、村上龍さんも雑誌の連載エッセイで「いい年して実家で暮らしている人は気持ちが悪い」と言っていたし、改めて自分は「半人前」かつ「気持ちの悪いヤツなんだ」と言われた気がしたんだよね。

 まぁ、その当時の世間の人が抱く「いい年して実家で暮らしている人物」のイメージも、きっと作家先生たちと似たような感じだったんだろうな。オレなんか「いい年して童貞」まで加算されちゃうから気持ち悪さは倍増だね!

――あら、自分で言っちゃいましたね(笑)。

それでも一人暮らしに憧れたことはない

 そこまで言われても、なぜオレは実家を出なかったのか。

 小学生の頃から住んでいる地元(千葉県松戸市)が「大好きだから」というのも大きいけれど、オレが働き始めた1980年代初頭の東京の一人暮らしって、四畳半一間でトイレは共同、風呂も電話もないアパート暮らしがポピュラーだった。

 あの時代を知らない若い人は「それって貧乏学生の話じゃない?」と思うかもしれないけど、当時は普通に働いている若者もそんな感じだったよ。

 だいたい、ユニットバス付のワンルームのマンションなんてまだない時代だからね。当時のオレはそんな不自由な一人暮らしには憧れを持てなかったんだ。

――その点、実家なら最初からいろいろ揃っていますしね。

 そうそう、だから実家暮らしを続けたもうひとつの理由は、正直なところ「ただ楽だったから」に尽きる。

 家事が一切できなかったし、やる気もなかったから、社会人になっても相変わらず母親のつくった料理を食べて、洗濯とかも任せていた――というより(介護が必要になった)父親の世話を含め、日常の煩わしいことをすべて母親に押し付けていたんだよ。

 そうやって母親が面倒ごとを引き受けてくれたおかげで、20代のオレは“日常”というモノから解放されて、バンドもやってないのにまるでロック・スターみたいなファッションに身を固めて、生活感のない非現実的なふざけた日々を送り続けることができた。

 35歳で会社を辞めてフリーになってからは、マンガ関係のデザインの仕事がメインになり、編集者と毎日のように神保町とかの喫茶店で奇天烈な話ばかりして、さらに日常とか現実から遠ざかって行ったんだよね。

 実家暮らしで生活感がなく非日常的。今にして思えば、そんな人間だからこそ仕事がいただけていた面があるかもしれない。漫画家さんにも当てはまると思うけど、マンガに関わる人間が「地に足がついた生活」をしている必要はないからさ。

 むしろ「いい年して実家暮らし」だったからこそ、デザイナーとしてはそこそこ成功できたんだと思う。こんな息子を支えてくれた両親サマサマだよ。

山口明
記事一覧
プロ童貞・現代アーティスト
1960年生まれ。プロ童貞しかし、あるときは現代アーティスト。そしてまたあるときはオナニストにして予言者。しかし、その実体は無職のオシャベリ・クソジジイ。毎日、地元MAD CITY(松戸市)の平和を守る為、猫背&早歩きでパトロール。本日も童貞戦線異状なし!!
著書の「ワイルドチェリーライフ山口明 童貞力で一億総クリエーター時代を生きる」が発売中。代理人による公式Xも更新中。

ライフスタイル 新着一覧


カギは後輩にあり!あなたが良い先輩なのかを簡単に知る方法
「自分は先輩としてちゃんとやれているのか」と考えたことはありますか?私は後輩がいる時は常に気になっていたし、考えていまし...
防波堤でほっこり"にゃんたま”君の視線の先には何がある?
 きょうは、お日様で温まった防波堤のコンクリートにぺったりお腹をつけ、ほっこりのにゃんたま君。  お饅頭みたいな平...
“母の日”にもらったカーネーション鉢を長持ちさせる6つの秘訣
 毎年母の日が過ぎて1週間ほど経ったころ、花屋には電話やご来店などでご相談にやってくる方がポツポツいらっしゃいます。「花...
スーパー&コンビニでGet!ご馳走ビール3選 2021.5.11(火)
 ビールが好きです。根っからのビール党です。「ビールはお腹がいっぱいになるから苦手」という意見がわかりません(笑)。むし...
敬遠されがち…思い込みが激しい人の5つの特徴&脱け出す方法
 何気ない人の言葉や行動に傷ついたり、落ち込んだりすることってありますよね。実は、そんな人の中には、思い込みが激しい人も...
フェチ心をくすぐる1枚! "にゃんたま”の毛繕いにドキドキ
 きょうは、毛繕い中に失礼します。視線はにゃんたま様の見事なωに一点集中。  ポロリ(こぼれ落ちる様)やチラリズム...
やりたいことがわからない…自分の「好き」を見つけるには?
 好きなことで生きていく……なんて言葉がもてはやされる昨今。そんなこと言われても、好きなことなんてわからないよ!という人...
満月と東京スカイツリーの話 2021.5.9(日)
 4月27日の満月は、ピンクムーン(Pink Moon)でした。  アメリカでは4月の満月を「ピンクムーン」と呼ぶ...
母の日に読み返したい!お母さんの天然すぎて可愛いLINE5選
 連絡ツールとして年代問わず多くの人が使っているLINEアプリは、家族間の連絡にも重宝しますよね。買い物の連絡など、いろ...
「猫の誤飲」疑惑!病院に行くべき?お家でできる確認法は?
 さて、わが家のおてんば猫・虹ちゃんですが、クローゼット閉じ込め以外にも何度も事件や事故を起こしています。  うち...
次に活かせばそれで良し!心をすり減らさない“反省のルール”
 仕事でのミスや人との会話でやらかしたことって、すぐに忘れられますか? 私は何回も反芻してしまい、どんどん凹むタイプです...
真似したい! ストレスフリーな人の5つの特徴&目指す方法
 あなたの周りに、どんな時でも疲れを感じさせないストレスフリーな人はいますか? ストレス社会とも言われる時代ですが、意識...
おいしい晩ごはんが待ってるにゃ♪ 家路を急ぐ“にゃんたま”
 にゃんたま君の住む町は、夕方5時になると町の放送スピーカーからドヴォルザーク作曲「新世界より」第二楽章(邦題は「家路」...
ダジャレが可愛い!鳩サブレーグッズの世界 2021.5.5(水祝)
 全国的かつ国民的銘菓といっても過言ではない鎌倉名物・豊島屋の「鳩サブレー」。我が家もおやつ貯蔵庫に常備しております。子...
モフモフが魅力!「フランネルフラワー」を長く楽しむ方法
 ワタクシがまだ、若かりしころ。習っていたお花の教室のお師匠さんは、控えめで物腰が柔らかい、とても美しく静かな女性でござ...
ママ友LINEで唖然!トラブルにお節介…ドン引きした内容
 子どもが保育園や幼稚園に入園すると、避けられないのがママ友とのお付き合い。気の合うママだけと付き合えれば良いのですが、...