「カリカリしちゃダメよぅ」と絡まれた中年男に再び遭遇。男性の“更年期障害”ってどんな感じ?

小林久乃 コラムニスト・編集者
更新日:2025-03-19 06:00
投稿日:2025-03-19 06:00
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まった老化現象についてありのままに綴ります。第22話は「男性にも更年期がある」。

男性の更年期について聞いてみた

 先日、面白い再会があった。10年以上前、まだ更年期という言葉とは全く縁がなかったときだ。カウンター席で酔っ払ったスーツ姿のサラリーマンに妙な絡まれかたをしてしまい、「や~い、更年期おばさん。カリカリしちゃダメよぅ」と言われた。私は馴染みの店員に止められていなければ、飲んでいた酒を相手に引っ掛けるところだった。名前も知らない人間に暴言(と、私は解釈)を吐かれたこと、相手の顔はいまだに覚えている。ちなみに私は記憶力がめちゃくちゃいい。

 そして先日、同じ町のコーヒースタンドにて、偶然あのサラリーマンを目撃した。確実に老けてはいたが陰湿そうな雰囲気は変わらず。列に並びながら男の姿を見かけたときは「あいつだ!」と一発で察知。私の海馬はまだ絶好調だ。

「あのさあ、俺、ずっと並んでんのよ? それで後ろの客が俺よりも商品が早いっておかしいじゃない?」

この中年男こそ、更年期?

 恥ずかしげもなく大きな声で、女性スタッフに詰め寄っていた。私は男の隣のレジに並びながら「カリカリしちゃダメよぅ」と腹の中で叫び、ニヤニヤしながら視線を送った。男の無様なヒステリックな姿を見ながら思ったのは「この中年男こそ、更年期では?」。ホルモンバランス、生殖機能の違いなどによって、女性ほどフィーチャーされていないけれど、男性にも更年期はある。いつまでもホルモン満タンでいられるわけがない。だとしたら、どんな症状なのだろうか。そんな小さな疑問が浮かび、50代の男性の友人にリサーチをしてみた。

【こちらもどうぞ】更年期、それはある日突然に…45歳女の体が『倦怠感で満タン』になった

イライラ、カリカリは男女共通か

「更年期? 今もそうだと思うよ。最近、意味なくカリカリしてんの、俺。妙に怒りの感情が抑えられなくなったというか。30~40代はそんなことなかったからなあ」

 そう言っているのは某テレビ局員のAさん、52歳。まだバリバリの現役プロデューサーである。同い年の奥様も更年期真っ最中で、互いに「あ、(更年期の)症状が出てる」と気づくと家庭内では自然と距離を取るようになったとも。

「カミさんが婦人科で、俺は泌尿器科に行ってるよ。たまにホルモン治療もしてる。他にも疲れが取れないとか、朝からだるいとかもあるけど、年齢もあるしね。毎日どっか不調だなって割り切ってる」

 気分的な症状で言うと、Aさんと同い年で出版社勤務のBさんはこんな意見もあった。

「更年期の症状? それはないなあ。というか、40代がずっと雑誌の編集長だったから毎日仕事に追われていて、当時はイライラしっぱなしだったの。家族の前でもそうだったみたい。でも今、現場からは離れたけれど仕事が緩やかになって、精神的にも落ち着いてるし、体調もいいのよ。ひょっとしたら俺は40代が更年期だったのかもしれないって思う(笑)」

 現在のBさんといえば「堺雅人か!」と突っ込みたくなるくらい、万年笑顔。今、仕事も一緒にしているけれど、とても穏やかで絶頂更年期の私をうまく扱ってくれている。彼がイラついている姿は想像がつかないので、編集長時代に仕事をしなくて良かったとしみじみ。我が身を振り返っても30代、40代前半は更年期なんて全くないのにずっと眉間にシワを寄せて、周囲に圧をかけながら仕事をしていた気がする。そして今も脈々と続いているような…。

ホトフラ、男性にも

 更年期の症状…といえばホットフラッシュ、のぼせなど自律神経の乱れによる症状が一般的だ。私も滝のような汗と暑さと闘うことになる、夏の到来が心底怖い。さてこの症状、どうやら男性にもあるらしい。

「更年期ねえ、あったあった。ってか、今、俺、57歳だからあるある。寝てるとね、足の裏がカーッと熱くなってくるんだよ。それがそのまま上半身まできて、結局全身が熱くなるなる。イライラすることもあったなあ。自分で自分の感情がコントロールできないっていうのかな。つらいよねえ」

 そう教えてくれたCさんは確か57歳で、自営業をしている。今回はたまたま会う人、数人の男性に聞いたけれど、症状が皆無ということはなかった。何かしらからの変化、不調を感じている。それが更年期なのかどうか判別がつかないのは、女性ほどダメージがひどくないせいかもしれない。これも人によって千差万別だけど、私の印象としてはやはり女性のほうが症状は顕著だった。またこの“更年期こそっとインタビュー”は続けていくので、皆様のご参考になれば幸いです。あなたのパートナーも、実は悩んでいるかもしれません。

小林久乃
記事一覧
コラムニスト・編集者
出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にてデビュー。最新刊はドラマオタクの知識を活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」(青春出版社刊)。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディアの構成と編集、プロモーション業が主な仕事。正々堂々の独身。最新情報は公式HP

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


僕も!? 去勢手術のしらせに固まるお兄ちゃん“にゃんたま”
 きょうは前回のにゃんたま君と兄弟、いつもべったり一緒のにゃんたまωお兄ちゃんです。 「去勢日が間近」と知ってショ...
スマホに振り回されてない? SNS疲れの7つの原因&対処法
 あなたは、1日にどれくらいスマホを触っていますか? SNSをしている人の多くは、時間ができるたびにスマホをチェックして...
コロナ禍の今だからこそ…オトナ女子が見直したい3つのこと
 男女問題研究家の山崎世美子(せみこ)です。TVやネットニュース。世間はコロナウイルスの話題ばかりで、精神的にも経済的に...
お家にいる時間が長い今こそ「布ナプキン」デビューのススメ
 10年前から布ナプキンをたまに使っていたのですが、この外出できない状況をきっかけに、布ナプキンと布ナプキンショーツを買...
もうすぐ去勢手術…やんちゃ盛りの“にゃんたま王子”に悲報
 見て見て!カッコイイにゃんたまωでしょう!  にゃんたま君は青空の下に生まれて、優しいお姉さんに保護されました。...
幸運の「桜」で不安もストレスも軽減!自宅でお花見をしよう
 今年も、桜の季節がやってまいりました。  東北、北海道ではこれからがシーズンなのでしょうが、ワタクシの住む関東圏...
もはや投薬では制御不能に…手術に向けて「絶対安静」の日々
 潜在的な患者も含めるとおよそ30〜60人にひとりの女性がかかると言われている甲状腺疾患。バセドウ病は、甲状腺機能が亢進...
愛に性別は関係にゃい?草むらに消えた仲良し“にゃんたま”
 あれれれ?  にゃんたまω君がにゃんたまω君に乗っかってる!?  これってもしかして……ボーイズラヴ?...
夫婦双方が在宅ワーク…喧嘩やストレスを減らす3つのコツ
 リモートワークが続き、朝から晩まで夫婦が同じ家の中で一緒に過ごすことによるストレスを感じている人も少なくありません。 ...
コロナ鬱にならないように…自宅でストレス発散する方法4選
「いろんなことが不安要素になってきて、暗い気持ちになる……」  一向に収まらない新型コロナウイルス騒動。人と会わない...
我が子を可愛いと思えない…悩む母親への克服エピソード3つ
 子どもが可愛い!子どものためなら何でもできる!と語るお母さんの姿を見ると、“母は強し”と感じることはよくあります。しか...
マンションを購入したいと思ったら…どこで探せばいいの?
 マンションを購入したいと思ったら、何かと忙しいオトナ女子はどこで探すのがベストなのでしょうか。  マンション探し...
素敵!国宝級のふわふわ“にゃんたま”を惜しげもなくアピール
  チャームポイントを見せてください!のリクエストに 「ハイ♪ にゃんたまω!」と、気前よく見せてくれたにゃんたま君。 ...
外国では急増…外出自粛中にパートナーのDVから身を守る方法
 家にいる時間が長いと、同居のパートナーと顔を突き合わせる時間も増えます。相手とラブラブならばむしろ幸せに感じるかもし...
呪文で周囲と分断し過去を否定させる…優紀さんのケース#4
 ほとんどのモラハラ男は、彼女や妻にモラルを押し付けていることを自覚していません。 「これは恋愛相手にモラルが欠如して...
水でも保冷材でも改善されず…突然襲いかかる謎の火照り
 潜在的な患者も含めるとおよそ30〜60人にひとりの女性がかかると言われている甲状腺疾患。バセドウ病は、甲状腺機能が亢進...