「あんぱん」最後まで毒親だった登美子(松嶋菜々子)。去っていく彼女に問うてみたいこと

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2025-04-26 12:50
投稿日:2025-04-26 12:45

第4週「なにをして生きるのか」#20

 受験したのぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)の明暗が分かれる。静まり返った柳井家で、寛(竹野内豊)たちに頭を下げる嵩。そこに、のぶと草吉(阿部サダヲ)があんぱんを届けに来る。朝田家はうれしいときもしんどいときもあんぱんを食べると話すのぶに、登美子(松嶋菜々子)が……。 

 翌朝、御免与町を去ろうとする登美子を追いかける嵩。そして、草吉に自分は何のために生まれて来たのかと尋ねた嵩は、その夜、家に帰らず……。

【こちらもどうぞ】「あんぱん」千尋(中沢元紀)は本当に良い子…史実どおりの展開なのか。しょくぱんまんのようなイケメンだ

【本日のツボ】

 「一年なんて待てないわ。もういいわ、好きにしなさい」「ごきげんよう。さようなら」

 ※※以下、ネタバレあります※※

 合格したのぶと不合格の嵩。あんぱんでお祝いする朝田家とは対照的に、どんより空気の重い柳井家。そんなところに、あんぱんを配達するのぶとヤムおんちゃん。

「嬉しい時も悲しいときもあんぱん食べると元気になるよ~」というのぶに、「おむすび食べり~」の結(橋本環奈)が重なって見えてしまいました。くわばらくわばら。「1つ40銭、10個で4円」とお金を請求するヤムおんちゃん、完全にスベっていました。

最後まで毒親だった登美子

 それにしても、母の登美子は最後まで毒親でした。「あなた、嵩に勉強教わりに来てたのよね? そのあなたは受かって嵩は落ちたの。嵩はあなたのせいで勉強ができなかったんじゃないかしら」とのぶに噛みつき、「のぶさんに八つ当たりするらあて、最低や」と千尋に非難される始末。

 自分がお腹を痛めて産んだ子に、「兄貴、もうこの人の言いなりになるがはやめちょけ」と言われ、さすがに傷ついたのか、翌朝、柳井家を去ります。

 追いかけてきた嵩が、1年浪人して再び高知第一高等学校を目指す、と伝えますが、「一年なんて待てないわ」と登美子は去っていきました。「なんのために生まれたのか なにをして生きるのか」、登美子に問うてみたいものです。

 嵩が行方不明になったと、千尋がのぶのところにやってきましたが、以前から疑問だったのは、朝田家と柳井家の位置関係です。気が付けば朝のラジオ体操にも参加しているので、ご近所さんではあるのでしょうが。

 ヤムおんちゃんが一緒とはいえ、嫁入り前の娘が、夜通し出歩き回るというのはいかがなものでしょう。寛先生も「泣いても笑ろうても陽はまた昇る。絶望の隣はにゃあ、希望じゃ」などと決めてる場合じゃないような……。

桧山珠美
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TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

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