さて、連載5回目の今回は、多くの女性が疑問に思うであろう「ピルを飲んだら妊娠できるの?」ということについてお話ししようかと思います。
「ピルを飲んだら妊娠できない」という噂について
ピルを飲んでいると必ずと言って良いほど聞かれるのが「妊娠できるの?」「赤ちゃんには影響ないの?」ということ。
ピル後進国である日本では、ホルモン剤=危険!という考えが、根深くはびこっているんですね。まずはこの噂の真相について、きちんと解明していきたいと思います。
ピルをやめたら妊娠は可能!
まずは、噂の真相からお伝えしましょう。「ピルを飲んだら妊娠できない」というのは、真っ赤なウソ!もちろん、ピルを正しく飲んでいる間は99.9%妊娠しません。でも、ピルを中止したら妊娠は基本的に可能になるため、心配しなくても大丈夫と言えます。
9割以上の人が6カ月以内に生理が戻る
ピルの服用を中止した後の体はどうなるのかというと、ピルを飲んでいない状態に戻るだけ。リサーチしたところによると、ピルを飲むのをやめてから35日以内に80%、6カ月以内に99%の方が生理が回復するそうです。(的場ウィメンズクリニック調べ)
ただし、ピルを中止した後には排卵日がずれることがあるため、妊娠を望むのであれば基礎体温表をつけて排卵がきちんとされているかをチェックするようにしましょう。
妊娠しやすいorしにくいはピルとは別問題
「ピルを飲んだら妊娠できない」という間違った噂の他に、「ピルを飲んだら、その後妊娠しやすくなる」という噂もありました。でも、残念ながらこの噂についても正しいとは言えません。
たとえば、もともと生理周期の乱れがある場合、ピルを飲んだからといって改善が確実にできるわけではないのです。もちろん、飲んでいる間はピルの効果によって、正しい周期で生理が起こります。でも、ピルを中止した時に、無月経になったり、 再度、生理周期が乱れてしまう可能性はあるということを覚えておきましょう。
つまりは、妊娠しやすいor妊娠しにくいかは、ピルの服薬とは別問題ということなんです。
妊活に備えたピルの服用のメリットを考える
最近、「ピルで子宮を守る」という考え方があるのをご存知ですか?年々、高齢での妊娠や出産が増えていますが、いつか来る妊活に備えてピルを飲むという選択肢を取る方も増えてきているようです。
そこで、妊活をするにあたって、ピルにどんなメリットがあるのかをチェックしていきましょう。
卵巣のダメージを防ぐことに繋がる
生理の際には卵子が卵巣の壁を破って出てくるため、卵巣は少なからずダメージを受けます。これが、結果的に卵子が老化する原因の1つとも考えられています。
ちなみに、昔の女性は出産回数が現代の女性よりも多かったため、排卵の回数が現代よりも400回も少なかったそう。でも、現代女性は排卵回数が多いことで子宮へのダメージが大きく、子宮内膜症や卵巣がんなどの疾患の患者数も増えているのだとか。
ピルは、排卵を休ませることができる薬です。卵巣の働きをストップさせることで、子宮を守り、来たる妊娠に良い状態で臨むことができるという大きなメリットを持っています。
子宮の状態を整えることができる
妊活のために、子宮の状態を整えておくためにもピルは有効です。
子宮内膜症の予防
生理痛や腹痛を伴う子宮内膜症は、女性の10人に1人が発症している病気です。はっきりとした原因は分かっていませんが、生理の時に子宮内膜の一部が子宮から逆流してしまい、腹腔内にばら撒かれることで起こる症状だと言われています。
厄介なのが、子宮内膜症は不妊症の原因にもなったり、放置すると卵巣がんなどになる危険もあるということ。
ピルには、子宮内膜の増殖を抑えるという働きがあるため、子宮内膜症の予防や治療として処方がされることも多くあります。将来の妊活においても決してマイナスにならないと言えるでしょう。
生理不順を整える
妊娠を成立させやすくするためには、生理周期を整えておくことも大切なこと。25〜38日周期で生理が来るのが一般的ですが、中には生理不順により排卵がきちんとされていない方もいます。
ピルは、生理周期を規則的にすることができる上、生理痛やPMSなど生理にまつわるマイナートラブルを軽減させることもできます。
2人目、3人目の妊娠にも活用できる
1人目を出産した後、何年か置いてから次の妊娠を考えている場合にも、ピルはおすすめです。理由は、ピルを飲むことで排卵を止め、卵巣を休ませることができるから。
ただし、ピルを飲んだからといって、卵巣が若く保てるというわけではありません。つまり、ピルを飲んでも飲まなくても、卵巣年齢は変わらないため妊娠率がとくに変わることはないということ。
ちなみに、ピルを中止した次の排卵日に妊娠しても、胎児への影響はないそうです。あるデータによると、妊娠に気づかずにピルを飲み続けた時の胎児への心臓奇形や四肢障害は、3〜3.1%。通常の妊娠では3〜5%程度とほぼ変わらないため、気にしすぎる必要はないでしょう。(一般社団法人 日本家族計画協会調べ)
将来の妊活のためにピルで子宮を整える選択肢もあり!
昔の女性は14歳ほどで初潮を迎えることが多かったですが、現代の女性は10歳頃から始まるそう。つまり、昔と比べると、早く卵巣が老化してしまうということなんですね。
ただし、お伝えしてきたように、ピルには卵巣を若返らせる効果はありません。ただ、排卵を休ませることによって、その分、卵巣を安定した状態に保つことはできると言えるのです。
ピルは、「望まぬ妊娠を避けるための薬」ですが、その反面、「妊娠を望む女性の体を助ける薬」でもあります。「◯歳くらいで妊活を始めて妊娠・出産をしたい!」と、将来のライフプランを立てた時に、妊活に備えてピルを飲む期間を設けてみると良いかもしれませんよ。気になる方は、一度産婦人科に相談してみることをおすすめします。
さて、次回は生理日をずらしたり、など、便利なピルの活用術について、お話しようかと思います。
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