NSC格安講師 NON STYLE石田の道端から始めた漫才への愛情
【今週グサッときた名言珍言】
「(1カ月)2時間が7コマ。で、9万!」
(石田明/フジテレビ系「さんまのお笑い向上委員会」11月8日放送)
◇ ◇ ◇
2008年の「M-1グランプリ」(テレビ朝日系)王者にして、いまでは審査員も務めるNON STYLE・石田明(45)。お笑い界屈指の理論派だ。そんな彼は現在、吉本興業の養成所NSCで講師も務めている。その驚きの報酬を明かした一言が今週の言葉だ。
そのあまりの安さに周りの芸人から「嘘?」という声が上がり、せめてキリよく10万円にしてもらえと言われると「もともと8万やった。もうちょっとあげてくれって言ったら9万になった」と補足し、笑わせた。ちょうどその場にいたナイツ・塙が、所属先のマセキ芸能社の学校では1回で同額の9万円だと明かしたため、その格安っぷりがあらわになった。
石田がNSCの講師に加わったのは、21年に行われた「NSC大改革」のときだった。吉本は外部のアドバイザーから「NSCはどの学校でもやっていることをこの学校だけやっていない」と指摘されたという(日本テレビ系「しゃべくり007」22年3月28日)。それは生徒に「教えてない」こと。それを聞いた吉本の当時の社長は「盲点やった」と石田らに講師を頼んだ。
石田は社長から「NSCを学校法人にしたいから、NSCを変えてくれ」と懇願された。石田は講師を引き受ける上で、「発想」に優れた笑い飯・哲夫と「構造」に優れたパンクブーブー・佐藤哲夫も講師にすることを要請し、08~10年のM-1王者揃い踏みという、かつてない豪華講師陣となった。
石田は「見せ方」に重点を置いた授業をしている。「面白いことをやっている人はめちゃくちゃいる。面白いことをやっているだけで伝えてない、伝えきれていない人が多い」(テレビ朝日系「証言バラエティ アンタウォッチマン!」22年12月20日)と。NON STYLEはどれだけ弱いボケを強いボケに見せるかしか考えていないと石田は言う。演じ分けや目線の向け方などを実演を交えて教えていく。サンドウィッチマン・伊達はその授業のごく一部だけでも「1万円の価値あるよ!」(同前)と驚いていた。
石田は漫才についてこう語っている。
「めちゃくちゃ漫才を安く見れる世界にしたい。なんか、崇高なものになっていってて、それが嫌やねんな。もっと漫才って身近なもんな気がする。俺ら道端でスタートしてるから」(朝日放送「やすとものいたって真剣です」24年2月8日)
石田はストリート漫才からキャリアをスタートさせ、王者にまでなった男。格安でも講師を務めるのは、漫才に対する愛情に他ならない。
(てれびのスキマ 戸部田誠/ライタ―)
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