「私の胸も…」汗ばむ体を重ねてきたアラフィフ女の欲情

うかみ綾乃 小説家
更新日:2019-11-14 17:01
投稿日:2019-10-31 17:30

とんでもないことになった

 翌朝、私はほとんど眠れないまま、彼女の寝ているベッドを抜け出しました。部屋着を着て、とにかくいつも通り、隣室のパソコンの前に座りました。

 さあ、どうしたらいいんだろう。

 セクハラやいじめ等で被害者が怖れるのは、相手が本気を出すことです。だからヘラヘラと笑ってしまうのですが、ここまで本気を出したからには、彼女ももう自分が満たされないまま、黙って引き下がれはしないでしょう。

 とんでもないことになってしまった。いまはとにかく体が気持ち悪い。シャワーを浴びよう。……と、立ち上がりかけたときです。

G「なにしてるの?」

 部屋の入り口に、彼女が立っていました。全裸のままでした。

G「どうしたのぉ?」

 小首を傾げて、囁くように訊いています。入り口から動かないでいることで、ひとりで別室に行った私に不快を示し、咎めているようでした。

「あなたが大嫌い」と口にできず…

私「私……嫌なんです」

 勇気を出して言いました。

私「こういうの、本当に嫌なんです。付き合ってもいない人とこういうのは、だらしないし、本当に嫌なんです」

 あなたが大嫌いで、おぞましいいのだ、と、はっきり口にできなかったのは、私の弱さでした。

 彼女が手を差し出しました。

G「綾さんは、なぁんにも気にしなくていいんだよ。さ、ベッドに戻ろう」

 その白く贅肉をまとった裸体は、窓からの朝日を浴びて、つやつやチカチカと輝いていました。

 次回に続きます。

うかみ綾乃
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小説家
2011年「窓ごしの欲情」(宝島社文庫)で日本官能文庫大賞新人賞受賞。’12年「蝮の舌」(悦文庫)で第二回団鬼六賞大賞受賞。コラムニスト、映画の原作&脚本家としても活躍中。近著に「蜜味の指」(幻冬舎アウトロー文庫)。2020年から原作映画『モンブランの女』(『モンブランを買う男』AubeBooks)が全国で公開中。
ブログ http://ukamiayano.blog.fc2.com/

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