結婚は愛か経済力か?「不実な女と官能詩人」で考察してみる

内埜さくら 恋愛コラムニスト
更新日:2019-11-02 06:00
投稿日:2019-11-02 06:00

妻に浮気された夫のアンリが切なすぎる

 筆者が本作中、もっとも切なく感じ「誰か救ってあげて……!」と感じたのは、マリーの夫・アンリ。マリーとピエールの不倫を知っても、マリーを求め続けます。ピエールを受け入れているマリーが自身との肉体関係を頑なに拒否しても、マリーを愛するのです。

想い人に想われない切なさ

 19世紀のパリといえば、1810年にナポレオン・ボナパルトは嫡子が生まれないことを理由に、皇后陛下のジョゼフィーヌ・ド・ボアルネと離婚しました。

 アンリも離婚という選択肢を選べたはずなのです。それなのに離婚はせず、2人の関係を知ってもピエールに「君が相手でよかった」と責めない。

 自身の自宅で2人がバックで交わっても部屋に入ろうとはせず、壁に耳を押し当てて様子を伺うだけ。“不注意の果実”ができた後(詳しくは本編で)も、2人きりの時間をつくってあげる。

 この3要素だけでも、いかにアンリがマリーを愛していたかを思い知ることができます。想い人に想われない切なさに、胸が締めつけられる人も多いかもしれません。

 オトナが抱える切ない経緯以外にも、エロスも満載の本作。ピエールの愛人、ゾラがマリーに自慰を教えるシーンも見応えバツグンです。

「不実な女と官能詩人」は、11月1日より公開。R18+指定。配給:クロックワークス

内埜さくら
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これまでのインタビュー人数は3500人以上。無料の恋愛相談は年間200人以上の男女が利用、リピーターも多い(現在休止中。準備中のため近日中にブログにて開始を告知予定)。恋愛コメンテーターとして「ZIP!」(日本テレビ系)、「スッキリ」(同)、「バラいろダンディ」(MX-TV)、「5時に夢中!」(同)などのテレビやラジオ、雑誌に多数出演。

URL: https://ameblo.jp/sakura-ment

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