運動量の減少も…介護士が暴露する介護施設のデメリット3つ

東城ゆず ライター・エディター
更新日:2019-12-11 06:00
投稿日:2019-12-11 06:00

 介護士をしていた筆者は、基本的に介護施設に入ることを肯定的に捉えています。介護施設には介護士はもちろん、理学療法士や作業療法士、看護師もいます。時には医療チームが施設まで足を運んでくれる訪問診療もあるため、独居で暮らすより断然過ごしやすいと思うのです。また、外出が自由な施設も増えていますし、栄養バランスがいい食事が用意されていますから、安心して快適に過ごせることでしょう。

 しかし、そんな介護施設を「合わない」と感じてしまう人がいるのも事実。せっかくお金を払うのですから、満足感は得たいものですよね。そこで、介護施設に潜む、思わぬデメリットについて追求してみましょう。

介護施設の思わぬデメリット3つ!

 人によっては同じ環境でも「ありがたい」と受け取る人もいるので、一概にデメリットとは言えないことも多くあります。まずは、要支援や介護度によってはデメリットにも思えることをまとめてみました。

1. 運動量が減る

 介護施設で運動量が減ってしまうのは、無視できない問題です。私たちは歩くことを当たり前のことだと認識しています。たとえば「冷蔵庫に飲み物があるから」とキッチンまで歩くという行動を無意識のうちにやっていますが、そこに苦痛は伴いませんよね。家事をするにも体を動かしますし、買い物に出かければ多くのことを考えます。これはリハビリにもなりますし、予防介護としても大いに役立つことなのです。

 しかし、施設では「訪問医療」といって提携先の病院から医師が来て診察をしてくれることも少なくありません。日常の洗濯物やお風呂掃除は、介護士が行います。各部屋の掃除に、専任のプロの掃除屋さんを入れる施設まであります。

 また、スペースが限られた施設の中では、当然歩く量が少なくなります。トレーニング室があるところもありますが、同じ景色で何時間も運動をできるかと聞かれたら、あまり現実的ではないでしょう。介護施設に入った後に、日常生活での運動量が意外と多かったと気づくことになるかもしれません。

2. 考えることが少なくなる

 介護施設では、考えることが圧倒的に少なくなります。女性に多いことですが、炊事や洗濯、買い物などの一連の動作は習慣として根付いています。ところが、いきなり「何もしなくていいですよ」と言われても、本人にとっては苦痛でしかないのです。調理をしようと思ってもできない。買い物に行くことも、毎日ではありません。

 また、施設の居室の作りによっては「食べたい」と思う自分の味を作ることも困難です。最も危険なのは、考えることが少なくなることでマイナスな思考が増えてしまうこと。「やる気」を削がれてしまうことも多くあります。バリバリ働いていた男性や育児に追われていた女性ほど、いざやることがなくなると時間を持て余してしまうことが少なくありません。

3. あまり入浴ができない

 介護保険法で補助が出る入浴は、週2日と定められています。そのため、毎日お風呂に入りたい人はオプションや他の方法を考えないといけないことを覚えておきましょう。

 外出ができる人であれば自分のお金で銭湯などに行ったり、家族の助けが受けられるのであれば家族の家でお風呂に入ることもできますが、個人の環境や日常生活動作によっては難しい場合もあるでしょう。また、家族の介護負担や本人の生活レベルによっては「週2日のお風呂が嫌と言っていられない状況」も考えられます。

本人にニーズにいかに寄り添えるかが施設選び成功のカギ

 デメリットとして挙げた介護施設のポイントですが、施設によって大きく変わる印象を受けます。すでに入所してしまった後で、「こんなはずでは!」と思っても後の祭り。自分が大切にしているポイントを満たしてくれる施設は、きっとあるはずです。

「お散歩が毎日ある」とか「飲み会に出かけられる」「入浴はオプションで増やすことができる」という施設も筆者は経験しています。事前に自分がどんな老後の生活を実現したいのか、あらかじめ多くのことを具体的にイメージしておくと失敗も少なく済むでしょう。

東城ゆず
記事一覧
ライター・エディター
1994年生まれ。11歳の頃からブログを運営。ライターやエディターとして、女性誌メディアや地元新聞のコラム枠まで幅広く活躍中。恋愛やママ友問題、介護士であった経験からリアルな介護問題まで幅広い知見がある。年子兄弟を連れ離婚の経験があり、現在は再婚に至る。

ライフスタイル 新着一覧


「私は一応慶応卒」学歴マウント炸裂!ママ友から届いた地獄LINE6選
 子育て中の女性が避けて通れないのが「ママ友との付き合い」ですよね。中にはドン引きするようなマウント女や、辛辣な物言いを...
10年分のカネの流れが怪しい。会員数が集まり⼤喜びしたのもつかの間…
 本コラムは、地元の“幽霊商店会”から「相談がある」と言われ、再始動の先導役を担う会長職を拝命することになったバツイチ女...
円満退職に必要な最低限のマナー6選、「立つ鳥跡を濁さず」は社会人として当たり前!
 終身雇用の時代は終わり、今では6割の社会人が転職経験ありだというデータも出ています。読者の皆さまのなかにも、「転職しよ...
更年期、それはある日突然に…45歳女の体が『倦怠感で満タン』になった
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まった老...
生理前を穏やかに過ごすご機嫌アロマ術【調香師が解説】タイプ別おすすめの香り・精油・香水は?
 女性の体は生理が近づくとホルモンのバランスが崩れ、精神的なイライラや落ち込みに加え、むくみや便秘、疲れやすさなど、PM...
兄弟姉妹なのになぜ不仲? 怒る前に知っておきたい原因5つと対応策3つ
 子育てをしていると、兄弟姉妹の不仲に悩む人が多いですよね。一体何が原因なのでしょうか? また、自身が親になっても兄弟姉...
思わず二度見!『バブ』新商品・MEGA級のボコボコ泡の実力は? 自宅の風呂がジャグジーになるのか
 話題のコスメや、広告でよく見かける化粧品や日用品。「webでよく見るあの商品、本当にイイの? 」「買ってみたいけれど、...
手のぬくもりとともに
 自然と手を合わせるときの気持ちって、  みんな、おんなじだよね。
実りの秋! 澄みわたる青空の下“たまたま”狩りに出かけませんか?
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
女と水がいっぱいだ…『娑婆』は何て読む? ヒント:「娑婆はいいな」
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
ほっこり癒し漫画/第83回「迷いインコ歌をうたう 前編」
【連載第83回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、「コクハク」に登場! 「しっぽのお...
中目黒「ダコー」はまだ大混雑? 代官山「無印良品」新店はオサレな店員さんだらけだった!【秋の東京散歩】
 8月のオープン時には話題を呼び、大行列をなしていた中目黒のパン屋「ダコー(dacō)」。あれから2カ月が経ち、やっぱり...
下世話な仕事がバレた? 夫や息子の「意外な反応」で主婦が気づいたこと
 大崎の高層マンションに暮らす華は、テレビ局に勤める夫・大輔と二人の子供に囲まれ悠々自適な専業主婦生活を送っている。毎日...
地味な女に負けた? 夢を諦めた“こたつライター”の「プライド」が砕かれるまで
 大崎の高層マンションに暮らす華は、テレビ局に勤める夫・大輔と二人の子供に囲まれ悠々自適な専業主婦生活を送っている。毎日...
私の「仕事」は夫に内緒。専業主婦が下世話なゴシップにのめり込むワケ
 夫を仕事に、ふたりの息子を小学校に送り出してからが、自分の時間だ。  長時間かけて丁寧に淹れたブルーマウンテンを...
プロ作家・村上龍先生をリスペクト。64歳のプロ童貞が語る「自己啓発本を好きなこれだけの理由」
 コミックや書籍など数々の表紙デザインを手がけてきた元・装丁デザイナーの山口明さん(64)。多忙な現役時代を経て、56歳...