現代医療での治療法は投薬・アイソトープ・外科的手術の3種類とされ、多くの患者は投薬治療で寛解を目指します。
これは、投薬治療の末に、手術で甲状腺を全摘し完治に至った筆者が、2年間の闘病生活を振り返るドキュメンタリーです。
救急搬送先の病院で発覚した衝撃的な事実
「薬の副作用、アナフィラキシー! もうちょっとで危ないところだったよ」
救急搬送された病院で点滴治療を受けたところ、びっくりするくらいすぐに蕁麻疹はひき、呼吸も楽になりました。
そして診察した医師は、薬(メルカゾール)の副作用によって、アナフィラキシーの症状が出ていたと、興奮気味に私に告げたのです。
私が「おととい、その薬を処方しているクリニックに行ったら、飲み続けろと言われました」と伝えると「ひどい医師に当たったねぇ」と同情される始末。この救急病院の医師いわく、メルカゾールの副作用は侮れず、ちょっとでも症状が出たら対策すべきだったとのこと。
確かに、こんな大騒ぎになっているんだから、そりゃそうだ。
「もう大丈夫。点滴が終わったら帰れます。だけど、もうそのクリニックはやめて、ちゃんとした病院で診てもらってね」と救急病院の先生。
うんうん、言われなくてもそのつもり。もう二度と、あのクリニックには行かない!
救急病院で受け取った診断書には、しっかりと「アナフィラキシー」と書かれていました。
大学病院での診断結果はバセドウ病「中の重度」
点滴を終えると、自由に動けるもとの身体に戻りました。気分もよく、付き添ってくれた友人も、ホッと安堵。
「お腹すいたね~」なんて言いながら、ご当地ラーメンを食べて帰宅できるほどまで回復しました。
家に帰ると、まずやるべきことは病院探し。最初の病院でとんでもない目に遭ったので、今後は専門医に診てもらうことにしました。
ほうぼうに相談した結果、大学病院の甲状腺専門医の診察を受けられることに。
1週間後の大学病院での診察までは、処方されているメルカゾールの服用はやめていいとのこと。
アナフィラキシー騒動以降は不調も感じていなかったので、その後の1週間は平穏な日常を過ごすことができました。
そして迎えた大学病院での診察。血液検査やエコーなどひととおりの検査を終え、診察を受けると「バセドウ病で間違いない」とのこと。そしてその程度は「中の重度」だそう。
大学病院となれば、私より重症な人も多く診察に訪れているのでしょう。安心感が違います。
無駄のない明快な説明を受け、薬は、プロパジールに変更されることに。
「もう出ないと思うけど、万が一、少しでも蕁麻疹が出たら、すぐに連絡して受診してください」と指示を受け、さらには念のためアレルギーの薬も処方され、万全!
次の診察は2週間後。
バセドウ病治療に使う薬は、副作用に気を付けなくてはなりません。私のような蕁麻疹だけでなく、もっとも怖い副作用には無顆粒球症もあり、命の危険と隣合わせなのです。そのため、副作用が出ていないかを慎重にチェックするため、投薬開始からしばらくは頻繁に血液検査をして、様子を見ます。
幸いなことに、私はこのあと危険な副作用は出ませんですたが、常に危険と隣り合わせの治療であることは、改めて肝に銘じました。
「妊娠を希望するなら手術をしたほうがいい」
順調に治療が進んでいた半年後。
疲れやすさや身体の重だるさはあったけれど、日常性格には支障のない範囲内。甲状腺ホルモンの数値も投薬の成果で正常範囲内をキープできていました。
そんな矢先、主治医との雑談で「今後妊娠を希望するなら、手術したほうがいい」との提案を受けたのです。
このときの私は40歳。バセドウ病の治療は長期にわたるため、もし妊娠を希望するなら、投薬ではなく甲状腺を全摘したほうがいいとの趣旨でした。
それまで、妊娠については考えてこなかったのですが、この主治医の言葉がキッカケとなり、今後の治療方針を検討する流れにーー。
妊娠するなら甲状腺を取る!? 私が出した結論は……。
次回に続きます。
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