生活保護者の柩に添えられた友人からの別れの花は「心の花」

斑目茂美 開運花師
更新日:2020-02-15 06:00
投稿日:2020-02-15 06:00

人の心を伝える花

 ワタクシのようなお花屋さんというお商売は、良くも悪くもさまざまな人間模様を目の当たりにする機会が多いように思っております。

 お客様にお会いするわずかな時間の中で、初めましての方もお馴染みさんも、「お花」という存在を介して目の前にいるお客様の嬉しさや楽しさ、反対に悲しみや寂しさを直接肌で感じる稀有なお商売がお花屋さんなのだと、実感する場面がたびたびございます。

 特に、大切な誰かを亡くした時、残された方が初めてお会いするお客様だとしても、その方は美しくたたずむ花の前であまりに無防備に剥き出しになった心のまま、ポロポロと涙を流している光景を見てしまうと、その行為に人を導く「花」という不思議な存在に「花って一体なんなんだろう」とワタクシ思ってしまうのでございます。

 Aちゃんの最期のお別れに「今までありがとうね」と言いながら、そっと故人の顔の横に添えられた小菊。

「すがりついて泣いていたおばあちゃんと一緒に、小菊が小さく震えていたんだよ」と、目に涙をいっぱい溜めながら教えてくれたミッちゃんが、しみじみと最後に、

「私は花屋だけどさ、花って豪華にすればいいってもんじゃないよね。ちょっと今回は考えさせられたわ。本当に『心のこもった手向けの花』っていうのはああいう花のことを言うんだろうね。」

「心の花」に出会えますように

 その日集まった参列者と仲良しのおばあちゃまのまるで心のような小菊の花。決して豪華ではないけれど気持ちのこもった花を見て、参列した人たちの「心に残る花」になったことは間違いなかったようでございます。

 みんなが小菊を見るたびに思い出すAちゃんのこと。同時に人の優しさやつながりを思い出すとも言っております。

 これ以上の心優しい手向けの花はなかったな、と思うワタクシなのでございます。

 いつかアナタに、胸が温かくなるような「心の花」と出会う時が訪れますことを……遠いお空の向こうからお祈りしておりますよ~。

斑目茂美
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開運花師
半導体エンジニアを経て花業界に転身。イベント・ホテルなどの装飾も手がける生花店を営む傍ら、コンテストで優勝・入賞を重ね、雑誌・新聞等に作品を発表する。神奈川各所にて花教室を開催。障害者支援も花で実践。悩ましくも素敵なお客様を「花」で幸せへと導く道先案内人。ブサかわ猫店長「さぶ」ともに奮闘中。Facebookやってます。

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