「やられた」を「やらかし」に…夫の不倫を応援した妻の思惑

うかみ綾乃 小説家
更新日:2020-07-29 05:15
投稿日:2020-07-22 06:00

夫の不倫の恋を応援する妻

 だからKさんが家を出て、J子さんのアパートで半同棲をはじめたときは、皆が驚愕。

 J子さんも軽い気持ちで仕事関係者と不倫するような女性ではなく、むしろ好きなものにはひたむきになりすぎるところがあるというのは、仕事への姿勢でも表れていました。

 不倫慣れしていない不惑の男が本気の恋に狂ったのか。

 妻のH美さんは大丈夫なんだろうか。

 皆が心配していると、当のH美さんから「心配かけてごめんなさいね。久しぶりにカフェに遊びに来て」とのお誘いがありました。

 数人で赴くと、H美さんはカラッと元気そう。

「いいのよ。だってJ子さんのおかげで、Kが久しぶりに仕事に燃えているのよ」

 空元気のようにも見えず、一同、返事に詰まっていると、

「私も頑張ったのよ。J子さんがたまに持ってるオレンジのバッグ、あれ、私が買ってあげたの。Kがあの子を好きになって思い詰めていたから『これを誕生日にプレゼントしなさい』って」

「口説くところから応援していたんですか?」

「一昨日は、KがJ子さんと喧嘩して泣いて家に帰ってきたから、私がいろいろアドバイスしてあげたの。それで昨日、彼が謝りにいって、なんとかうまくいったみたい」

 次回に続きます。

うかみ綾乃
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小説家
2011年「窓ごしの欲情」(宝島社文庫)で日本官能文庫大賞新人賞受賞。’12年「蝮の舌」(悦文庫)で第二回団鬼六賞大賞受賞。コラムニスト、映画の原作&脚本家としても活躍中。近著に「蜜味の指」(幻冬舎アウトロー文庫)。2020年から原作映画『モンブランの女』(『モンブランを買う男』AubeBooks)が全国で公開中。
ブログ http://ukamiayano.blog.fc2.com/

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