貯金がないのに急な入院や手術…高額療養費制度で乗り切ろう

神田つばき 作家・コラムニスト
更新日:2020-08-09 13:10
投稿日:2020-08-09 06:00
 病気入院や手術が急に決まったとき、すぐに直面するのが治療費と収入に関する不安です。例えば日本人女性に多い子宮頸がんは若い人の発病も増えています。好発年齢は20代から40代、ほとんどの女性が仕事を持っている年代でしょう。
 もしもの時に安心して治療に専念できるよう、お金の心配を軽減する制度が「高額療養費医療制度」です。

高額療養費は収入の低い人ほど手厚くカバーされる制度

 そもそも高額療養費とはいくらぐらいの金額を言うのでしょうか? 高額療養費と認められる金額は年収によって違い、たとえば年収370万円以下の人ならば1カ月に5万7600円までは自己負担、それ以上は高額療養費として健康保険がカバーしてくれます。

 金額は同じ健康保険に入っている家族の分も合算でき、毎月1日~末日までの合計になります。日帰り手術でも自己負担限度額を超えることがあるので、治療の予定がある人はぜひ全国健康保険協会の健康保険ガイドをチェックしてみてください。

 注:保険適用外の手術や差額ベッド代などには適用されません。

医療費を定額の支払いで済ませる自己負担限度額適用認定証

入院や手術の予定がわかったらすぐ請求

 あとで健保から補填されるとはいえ、病気にかかった状態で何万円、何十万円という医療費を一時的に立て替えるのは大変です。そこで「どうやら今月は自己負担限度額を超える治療費を支払うことになりそう!」とわかったときに、『自己負担限度額適用認定証』という書類をもらっておくことができます。

 この認定証を病院窓口で見せれば、限度額以上の金額は請求されません。日本の健康保険の中でも特にすぐれた制度で、同じ医療を受けても収入の少ない人は自己負担額が少なくて済むようになっています。

 表中の総医療費は窓口で支払った3割負担の金額ではなく、もともとの10割の医療費です。

 また、療養が長引いた場合は治療費の負担がさらに大変になります。過去1年間に3カ月の高額療養があった場合、新たに申請する月は多数該当として、さらに自己負担額を低くしてもらうことができます。

自己負担限度額適用認定証の入手方法

 国民健康保険の人は市区町村の窓口に健康保険証を持参して申請します。勤務先で健康保険に入っている人(組合健保・協会けんぽ・共済組合など)は、会社の総務課など社会保険の担当部署で手続きしてもらいます。

 発行までに1週間程度かかるので、治療が決まったら早めに申請して、入院時に病院の窓口に提示しましょう。治療が終わってから高額療養費を請求した場合、申請から払い戻しまでに3カ月くらいかかると言われているので、自己負担限度額適用認定証を利用したほうが簡単です。

神田つばき
記事一覧
作家・コラムニスト
離婚と子宮ガンをきっかけに“目がさめて”、女性に生まれたことの愉しみを探そうと緊縛写真のモデルとライターに。私小説「ゲスママ」、女性の悩みや疑問を解き明かすコラム「性に纏わるあれこれ」
イベント「東京女子エロ画祭」「親であること、毒になること」などの企画も。X

ライフスタイル 新着一覧


台無しなんですけど!家族旅行なのに「夫のイライラ言動」と4つの予防策
 世の女性の中には、せっかくの家族旅行中、「夫のイライラする言動」によって、楽しい雰囲気が台無しになってしまうケースも…...
“頑張り屋のメンヘラ”が「セルフラブ」という人生の処方箋を知りました
「セルフラブ」という考え方は、確実に私の人生に大きな影響を及ぼしています。  セルフラブについて学び始めた時「世界...
【にわか呑み鉄】電車とビール好きにたまらない「流鉄BEER電車」に参戦
 さる9月2日(土)、千葉県流山市で「電車好き」と「ビール好き」垂涎の1日限りのイベントが開催されました。  通常は入...
かつて入り浸った店も 横丁の思い出も時代と共に変わってゆく
 昼間の細い路地を軽装の観光客が闊歩する。  誰かにとってはノスタルジーでも、また違う誰かにとっては新鮮に映るんだ...
にゃんたま写真の成立には“たまたま”への愛のピントがマスト
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
「才色兼備」は女性だけに使われる不適切表現?
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
ずーっといい子ちゃんとか無理!「笑える悪口LINE」で上手に息抜きを
 友達や同僚から人の悪口を聞かされたらあまり良い気分にならないでしょう。でもそれがユニークな悪口だとしたら、思わずクスッ...
ほっこり読み切り漫画/第57回「隣りの芝生はオーノー」
【連載第57回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、突然「コクハク」に登場! 生きものたち、...
これって良心ですか、マウントですか?「おまいう」説教LINE3選
 説教をされて、いい気分になる人はあまりいませんよね。でも、いつもどこか偉そうで、何かと説教をしてくる人はいるもの。 ...
相棒のぬいぐるみは無理! 大人になっても捨てられないもの6選と対処法
 物や情報に溢れた現代では、断捨離やミニマリストに憧れる人が多いですよね! でも、大人になってもどうしても捨てられないも...
40代で振り返ると納得!いろいろあった人生の転機、思い出してみない?
 人生の転機とは、その時には気がつかず、後になってから「転機だった」と気がつくもの。特に40代を過ぎると、人生の前半を振...
今年はお日様が大きく見える そろそろ落ち着いてくれるかな
 この数年で男性の日傘がすっかり定着したのも納得の暑さ。  日陰に逃げても、どこまでも太陽に追いかけられている気が...
記事読んだらソワソワ♡ 予定がない週末は寝溜めより楽しい6つのことを
 子どもの頃は暇さえあれば遊んでいたのに、大人になると週末は「予定もないし、寝溜めしておくか〜」と何もしない1日を過ごし...
人生これで正解? “30代からの思春期”ミッドライフクライシスに勝つ法
 大人のみなさん、「私の人生、これで良かったの?」と考えて不安になる時はありませんか? そしてその不安、名前がついている...
マジで買ってよかった! 猛暑に活躍&まだまだ使い倒す涼感アイテム3選
 8月の東京はなんと31日連続真夏日! いやー、暑かった。9月になったらちょっとは涼しくなるかなと思いきや、まだまだ厳し...
モフらずにはいられない!無防備すぎる“たまたま”にメロメロ
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...