白醤油が引き出す素材のウマ味
今が旬の海のミルクは生でもよし、揚げてもよし。そのエキスを、あますことなく食べるなら、茶碗蒸しでしょう。
「卵液のだしは市販の中華スープのもとで構いませんが、白醤油を使うのが肝。卵液や牡蠣(カキ)の色合いを損なうことなくウマ味を引き出してくれますから。白醤油がなければ、ナンプラーやしょっつるでもおいしいですよ」
茶碗蒸しにナンプラーを用いるとは、変幻自在の大城劇場ならでは。
スプーンで一口。口の中は牡蠣一色で、磯の香りの後から、ネギ油の風味と花椒が追いかけてきて、全体が中華風にまとまります。わずか2つの食材で、この風味と一体感はスゴイ。そのままなら日本酒やワインですが、ラー油を垂らすと、キリッとした唐辛子のせいか、紹興酒や焼酎をロックで飲みたくなります。味の変化でお酒がさらに進みます。
肝心の蒸し方は?
「水を張った鍋で弱火で蒸します。ほら、和食の蒸し碗ではなく、比較的平たい皿を使うのがポイントです。そうすると、卵液層の厚みが薄く、かつ表面積が広くなるので、均一に蒸しやすくなりますから」
レシピサイトなどには鍋での蒸し方について、「中火で2分、弱火で8分、火を止めて……」などと書かれていますが、蒸し碗のケース。平たい皿には、当てはまりません。何パターンか試して、自分なりのベストタイミングをマスターするのも、食欲の秋を満喫するだいご味です。
【材料】
・牡蠣 4~6個
〈卵液〉
・チキンスープ 150㏄
・卵 75㏄
・塩 少々
・砂糖 少々
・白醤油 少々
・花椒 少々
・サラダ油 少々
・白ネギみじん切り 少々
【作り方】
(1)市販の中華スープのもとでチキンスープを用意したら、卵と調味料を混ぜて卵液をつくる。
(2)1に牡蠣を入れて蒸す。
(3)2に白ネギのみじん切りをのせたら、花椒をかける。
(4)サラダ油を熱して、3の白ネギにかける。
本日のダンツマ達人…大城忍さん
▽おおしろ・しのぶ
四川飯店で四川の調理法をマスターすると、フレンチ店で修業。ソーセージも好物で、その作り方を会得。「自分が好きなものを出していたら、こんな店になっちゃった」
▽Refuge
パテ・ド・カンパーニュや和牛ホホ肉の赤ワイン煮とともに、水餃子と汁なし担々麺。不思議なメニュー構成ながら、どれも超本格的。予約必須。沖縄県那覇市安里388-10。
(日刊ゲンダイ2018年10月6日付記事を再編集)
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