推しの“タメ口”を勘違い…ファンが過ぎてモラハラに走るひと

並木まき ライター・エディター
更新日:2020-12-24 23:32
投稿日:2020-10-09 06:00
 ライブ配信は、まさに魑魅魍魎(ちみもうりょう)がうごめく世界。今日も今日とて、多くのライバーやリスナーは、配信をめぐってアレやコレやの大騒ぎでございます。メンタル心理カウンセラーであり、配信者としての顔も有する並木まきが、“ライブ配信にいるアレなひとびと”を解説するこちらの連載。第2回は「ファンが過ぎてモラハラに走るひとびと」でございます。

アレな人図鑑2:ファンが過ぎてモラハラに走るひと

上から目線でアドバイス(写真:iStock)
上から目線でアドバイス (写真:iStock)

 ライブ配信界で売れっ子ライバーになる要素のひとつとして、毎日欠かさずに配信を続けることは“基本中の基本”だとされています。

 つまり、ファンにとっては、黙っていても「推し」のライバーの顔を毎日眺められるハッピーな環境が整いやすく、これが短期間で「ファンが過ぎるひと」、つまり勘違いに走るファンを生み出しがちなのも否めません。
 
 ファンが過ぎたひとびとは、往々にしてライバーの成長をサポートするのとは真逆で、足を引っ張る行動をしがちです。これは特に、女性の配信者につく男性ファンに多い傾向です。

 本人は「推しのライバーのために、良かれと思って」の行動なのでしょうが、「君のやり方は間違っている。こうしたほうがリスナーは喜ぶ」「今の方法ではダメ。こうやったほうがリスナー受けする」などの言い回しを用いつつ、要するに、推しの相手を“自分好み”に変えたがるモラハラ男に豹変するのです。

ライブ配信は推しの相手に対し「自分は親しい」と錯覚しやすい

相手との距離感を見誤ると…(写真:iStock)
相手との距離感を見誤ると… (写真:iStock)

 ところで、ライブ配信上でしか交流のない相手に、ズケズケと私見を押しつけ、自分好みに変えようだなんて、よほど図々しい男にしかできない芸当だと感じる人もいるでしょう。しかし、ライブ配信には、誰もが“推し”に対してモラハラを働きやすい罠が存在するのです。

 親近感を出すために、ライバーの多くは“タメ語”を用いて配信をおこないますが、これがモラハラ気質のひとびとが「自分は“推し”とかなり親しい」と錯覚するきっかけになりやすいのです。

 現実社会での出会いであれば、まずは敬語でのコミュニケーションから始まり、年月をかけて親しくなるにつれ、だんだんとタメ語になっていくのが一般的でしょう。ですが、ライブ配信の場合には、演出の都合上もあって、数回でも配信を見ていればタメ語で語り合う仲になるケースも多く、これが悪影響を及ぼす要因にもなりやすいのです。

 出会って(どころか、実際には画面を通じて動いている姿を見ているだけですが)数週間にしかなっていない相手に対し、さも旧知の友人にアドバイスをするが如く、偉そうに上から目線で語り出すファンが絶えないのは、ライブ配信特有の錯覚が災いしていると言えましょう。

 さりとて、そんなモラハラ気質なファンの存在ですら、“ある程度”までは許容し、大事にしなくてはならないのがライバーの宿命。なんと言っても、配信者たちは、投げ銭を求めるライブ配信界のアイドルなのですから。

 だからこそ、メンタルの限界を迎えるまでの間は、投げ銭の代償に笑顔でお相手をする、けなげな配信者も多いのです。そんな状況が、モラハラ気質なファンのひとびとが横行する背景なのも否めません。

おわりに

 どんな世界であれ、常識を逸している人や勘違いがすぎる人は白い目を向けられるもの。ライブ配信の世界とて例外ではありません。実際、「アレな人」は、最終的には淘汰されるのが常ですが、そこに至るまでは多少の時間を要します。

 さぁ、“ファンがすぎるモラハラなひとびと”は、今日も投げ銭を武器に、推しの子を自分好みに変えようと躍起になるのでございましょうね。

並木まき
記事一覧
ライター・エディター
元市議会議員・時短美容家(一般社団法人 時短美容協会・代表理事)の肩書きを有する。20代から見聞きしてきた魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様への分析を活かし、美容や恋愛に関するコラムを中心に、さまざまな媒体に寄稿。
Instagram公式HP

日刊ゲンダイ掲載「あの人は今」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/277865

ライフスタイル 新着一覧


ハーブ育てるなら一択!虫よけ・若返りにローズマリー、ほっぽらかしで◎
 猫店長「さぶ」率いる我がお花屋は、神奈川の片田舎にあります。4月とはいえ1日の寒暖差はすさまじく、朝晩はストーブ、日中...
不倫バレ。“妻の奈津と申します”に戦慄→“なに無視してんだよ”で眠れない
 あなたはこれまでに、緊張感がハンパないLINEのやりとりをした経験があるでしょうか?  今回は、不倫相手の妻や先...
「フェロモン診断」調香師が選ぶ GW旅行の疲れを癒すおすすめの香り
 もうすぐゴールデンウィーク、今年は旅行や帰省の予定を立てている人も多いのでは?  飛行機や電車での移動、長時間の...
新学期早々ピンチ! 子供の「学校に行きたくない」の最適解は?
 子供が「学校行きたくない」と言い出したら、親としてはとても不安になりますよね。理由は、いじめや人間関係、勉強の遅れや体...
黄・紫・桜♪
 春の三原色を見つました。
陽だまりでゴロゴロ♡ お日様パワーを吸収する“たまたま”君
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
ほっこり癒し漫画/第71回「はふはふぴたっ」
【連載第71回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、「コクハク」に登場! 「しっぽのお...
美人局の語源に「筒」と「陰茎」
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
結婚式前夜、娘の門出を祝う「親として最後の教え」の内容に涙腺崩壊!
 入学や卒業、就職による1人暮らしなど、門出は1つの節目。嬉しい反面、どこか寂しさや不安を感じる瞬間でもありますよね。 ...
占い好きな成功者と占い好きな非成功者の違い…占いライターで一攫千金も
 コミックや書籍など数々の表紙デザインを手がけてきた元・装丁デザイナーの山口明さん(63)。多忙な現役時代を経て、56歳...
豊洲の人生勝ち組妻でも幸せじゃない?彼女が裕福と引き換えに諦めた事
 独身時代は都心に暮らしていたが、結婚を機に武蔵境に暮らし始めた千佳。しかし、郊外のこの地を愛せない。そんな時、中学の同...
「夫の駐在時にね…」なぜあのコが?田舎の同級生“玉の輿婚”に心ざわつく
 独身時代は都心に暮らし、華やかな生活をしていた千佳。しかし、結婚を機に都内から離れ、武蔵境に住み始めた。しかし、妥協し...
メガバン妻が悟ったリーマンの限界値 吉祥寺より2駅下った中古マンション
 武蔵野の自然を携えそびえる瀟洒な白亜の建物は、まるでこの場所がヨーロッパの一都市であるかのような錯覚を与えてくれる。 ...
帰ったらお風呂に…夫「沸いてるよ!子供が入ってる」危機管理能力ゼロや
 子育て中のママにとって、子供の命と健康を守るのは一番大切な使命。だからこそ、危機管理能力は嫌でも高くなります。 ...
号泣しながら「愛の讃歌」を熱唱 なぜ人はスナックでダサい姿を晒すのか
 私はこれまで多くの夜の世界を見てきましたが、スナックは本当に不思議な場所です。  完全無欠のモテ人間ほど、なぜか...
大人は「さようなら」とハッキリ言わないけど…
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...