“欅坂46の平手”を踏襲している?
欅坂46時代の後期は積年の激しいダンスで患った腰部や腕の負傷に加え、孤独や絶望と闘う“僕”に憑依しすぎるがあまり心身を苛まれ限界が来た。そして前述のように脱退後の平手は女優業を軸にし、グループは櫻坂46に改名し生まれ変わった。
もう“欅坂46の平手”に囚われる必要はなくなったはずなのに、ソロ一発目であえて自ら“欅坂46の平手”の延長線上にあるようなメッセージとパフォーマンスを選んだのはなぜか。
今年7月のMrs. GREEN APPLEのMV出演時に平手は「ViVi」(2020年9月号)や「ROCKIN'ON JAPAN」(2020年10月号)のインタビューで、コロナ禍で大切なものを失ってしまった人たちが上を向けるような、背中を押せるような作品を届けたいと語っていた。恐らくその想いは引き続き一貫しており、長引くコロナ禍において、いやそうでなくても社会の圧力に、不条理に押しつぶされようとしている人々に寄り添いたいと願う。それが彼女の「ダンスの理由」に表れているのだろう。
キング・オブ・ポップを尊敬
2010年代に入ってから隆盛を誇ってきた秋元系アイドルグループだが、その卒業生に「歌って踊るアーティスト」として成功した者はこれまでにいない。だが秋元氏をして「二度とない天才」といわしめた平手。FNSでのプロダンサーとの一糸乱れぬパフォーマンスは三浦大知(33)のようでもあり、楽曲のテイストからソロ後期の安室奈美恵(引退時40)のようでもあった。またファンや一般視聴者からマイケル・ジャクソンの再来とも称えられた。偶然なのか運命なのか、マイケルの命日6月25日は平手の誕生日でもあり、彼女もマイケルを尊敬している。
以前の記事「平手友梨奈のダンスは何が凄い?トップダンサーに聞いてみた」で平手のダンス評をしたトップダンサー兼振付師(ブリトニー・スピアーズのバックダンサーや嵐の振付け等を歴任)もダンスはプロレベルと太鼓判を押している。
平手はまだ19歳。それもアイドルではなくアーティストとして「歌って踊る」ことに関しての準備期間はこの数カ月足らず。女優活動と並行してでも本格的に志せば“努力型の天才”平手が前述のレジェンドたちと現実的に並び称される日が来る可能性もあるだろう。
魂削るパフォーマンスは国境を越えていく
欅坂46時代から存在する熱心な海外平手ファンもそれを後押しする。FNS放送後、彼らもネット上で今回のパフォーマンスに大きな反響を寄せた。海外のトップアーティストや、流暢な英語を駆使し世界進出著しいK-POPでもなく平手に彼らが惹かれるのは、彼女自身が持つストーリーと魂を削るようなパフォーマンスが言語の壁を超えて訴えかけるものがあるからだ。彼女のソロデビューを心待ちにする声も多い。それが叶ったなら、アーティスト平手友梨奈が今後一層世界に名を轟かせることは間違いない。
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