卵の甘味の後からウナギのウマ味が
「写真、終わった? 冷めないうちに食べて」
林さんが強く試食を勧めたのが、うまきです。おっしゃる通り、温かいうちに食べてこその料理。撮影を終えて箸を伸ばすと、卵の甘味の後からウナギのウマ味が追いかけてきます。出汁醤油がいいあんばいで、しみじみと美味しい。
「ウチは、卵に出汁を入れてないよ」
え、ウソ? カメラマンと2人、そんなはずはないと、卵の部分だけもう一口。間違いなく感じるウマ味。出汁ではないの?
「ウナギのタレと水で卵を溶くの」
なるほど! 店のタレは、ウナギのウマ味がたっぷりで、素晴らしい出汁です。卵液をタレと水でのばしていたとは驚き。でも、そんなタレを家庭では再現できません。このレシピでは、少々のウマ味調味料を加えています。
「ウナギは、卵焼き器の横幅に合わせて切ると、巻きやすいよ」
巻き方の要領は、出汁巻き卵と同じ。しっかり覚えて家族に振る舞えば、株が上がること間違いなしです。
材料
・ウナギ 4分の1尾
・サラダ油 小さじ2
卵液
・卵 2個
・ウナギのタレ 15㏄
・水 90㏄
・砂糖 少々
・ウマ味調味料 少々
ウナギのタレ
・氷砂糖 30グラム
・みりん 50㏄
・濃い口醤油 50㏄
レシピ
(1)ウナギのタレを鍋にすべて入れて煮詰める。氷砂糖が溶ければOK(市販のかば焼きのタレを使うなら、この工程はパス)
(2)1が冷めたら、卵液と合わせ、よく混ぜる
(3)熱した卵焼き器にサラダ油を入れ、余分な油をキッチンペーパーなどで拭き取る
(4)3に2の3分の1の卵液を入れ、ウナギを奥にのせて手前に巻いていく
「箸での作業が難しければ、フライパン返しを使うと簡単だね」
(5)4の空いている部分にペーパーで油を塗り、卵を奥に移動。手前にも油を塗ったら、残りの卵液の半分を加え、手前に巻いていく
(6)5をもう一度繰り返して巻き終わったら、巻きすなどで形を整え、4等分に切る。器に盛ったら、出来上がり
本日のダンツマ達人…仲島宏明さん
▽林 成(りん せい)
中国福建省出身。沖縄留学で来日し、その後東京へ。新橋の「うな新」(閉店)で修業し、ウナギ職人の道へ。12年前に独立。ウナギの串焼きは、愛知・三河産を注文を受けてからさばく。「僕より包丁さばきが速い人は見たことない」
▽心天
ウナギの串焼き居酒屋。骨と骨の間に残る赤身の「赤ばら」、その上の白身「白ばら」、皮を巻いた「串巻」など部位ごとに分けた串は、1本300円前後。ウナギの紹興酒煮(980円)をはじめオリジナルメニューも充実している。東京都中央区日本橋蛎殻町1―14―7。
(日刊ゲンダイ2021年10月14日付記事を再編集)
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