努力できる女性ほど「自立しなきゃ、がんばらなきゃ」と背負い込む
忙しく働いてきた女性ほど、自立している自分にこだわりを持ってしまう人も多い。「女性も自立せよ」「女性に権利を」と謳う世の風潮もあり、自分も意思を持った女性であるということに、自分自身がこだわりを持ってしまうのだ。
もちろん、自立していることは大切だ。しかしエピソード1は、そんな母に対し「無理しなくていいんだよ」というメッセージを何度も伝えている。
母なのだから、子どものためなのだからと突き詰めると、様々な選択は重く感じられるかもしれない。けれど真莉もいつしか、自分が無理せずとも、他人を頼っても自分の子どもが笑っていられる、幸福でいられるのだということに気づいていく。
母になるということは、女性にとって大きな選択だ。子どもにとっての実母は自分ひとりかもしれないけれど、周りを見渡してみれば、家族やパートナー、友人……自分を助けてくれる人は意外とたくさんいる。
子育てに限らず、なにかがんばっていることがあると「自分がなんとかしないといけない」と背負い込む人は意外と少なくない。
もちろんそれも素晴らしいことだけど、真莉の家庭の場合は、周りを頼ったほうが物事がうまく回りだすのかも、という、いい予感も匂わせながらエンディングを迎える。
「〇〇せねばいけない」という強迫観念から逃れる方法
バリキャリとか共働きという言葉をよく聞くようになったけれど、そういった言葉で「私もそんなふうにならなきゃ」と思い込んでしまう人も多いかもしれない。
今の日本は不景気で、女性が子育てと仕事を両立することは、子どもを持つ上で必須条件となりつつある。今回は母乳育児や同性婚といったセンシティブな内容もテーマになっていたが、作品が伝えたかったことは「肩の力を抜こうよ」というメッセージなのではないかと思う。
一般的に、男性よりも女性の方がマルチタスクが得意で、先が見渡せるからこそ現実的な考え方をする人が多いと言われている。
だから私たちは不安になるし、その不安を拭おうと努力する。けれど、その努力は一人でしなくてはいけない努力とは限らないし、選択肢はいろいろあるのだ。
「〇〇せねばいけない」という強迫観念に駆られることって、生きていると何度もある。でもたいていの場合、選択肢は一つじゃない。
自分だけががんばるのではなく、周りを頼ったり、自分が自分らしくいられる方法を、もっと探してみてもいいのではないだろうか。
意外と、自分を縛っているのは自分自身のこだわりの強さだったりする。仕事や子育てに疲れた時、自分を縛っているものはなんなのか……一度考えてみたくなる物語だ。
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