おかしらからのだし汁がたまらない
「こちらは、実際に店でも提供しているメニューを家庭用にアレンジしたものです。とても簡単で、フライパンに真鯛のかしらと酒と水を少々入れて、アルミホイルで蓋をして、火を入れるだけです。本来は蒸し器を使うので手間がかかるイメージですけれど、これならフライパンで手軽にできます」
皿の蓋を開ければ、立ち上る湯気の中から堂々とした「おかしら」が現れます。
「だしが効いていますから、まずは、何もつけずに召し上がってみて下さい。魚は真鯛でなくても、タラでもいいですし、秋でしたらサケもおいしいです。おかしらがなければ切り身でもいけます。だし汁がおいしいですから、最後にポン酢を入れて飲む人もいるくらいです」
足し算と引き算だけで出来上がった余計な雑味のない清らかな味わい。骨からじんわりとだしが出て、身や豆腐にもしっかりと染み込んでいます。いつもよりちょっとランクを上げたポン酢を使えば、もはや料亭の味。
「店で出すとっくりはスズでできていて、今では買うことができない代物なんです」
オーナーが何十年もかけて集めた骨董品が並ぶ店内は、懐かしい時代にタイムトリップしたかのよう。ぜんまい式の振り子時計もノスタルジック。女将が木箱で持ってきてくれるおちょこも、一点物ばかりだそうですよ。
【材料】
・真鯛のかしら、半身分
・酒 180㏄
・水 90㏄
・塩 1グラム
・豆腐 2分の1丁
・えのき 適量
【レシピ】
フライパンに材料を全部入れて火にかける。沸騰したらアルミホイルで蓋をして中火で5分したら器に盛り、ポン酢(分量外)で。
本日のダンツマ達人…望月洋介さん
▽もちづき・ようすけ
生まれ育った静岡県の割烹で5年間修業。オーナーの石井道雄さんにその腕を見込まれて上京し、26歳で料理長となった。
▽いわせ
築90年の趣のある古民家で創作和食を楽しめる人気店。歴史と風情を感じる和食店。望月さんが仕入れるこだわりの食材と、粋な名物女将が出迎える。元大工のオーナー・石井さんのこだわりがちりばめられた骨董を楽しむ客人も多い。ミシュランガイド東京の「ビブグルマン」に4年連続で選ばれている。東京都中央区日本橋人形町1―5―10。
(日刊ゲンダイ2018年10月27日付記事を再編集)
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