送別に花は必要なの? 花屋が伝授「花贈りの方法とマナー」

斑目茂美 開運花師
更新日:2021-03-10 06:00
投稿日:2021-03-10 06:00

花贈りのために知っておきたいこと

あらかじめの予約が無難(写真:iStock)
あらかじめの予約が無難 (写真:iStock)

「お花の注文の仕方がよくわからん」というお言葉、よく伺います。これは恥ずかしいことでもなんでもございませんので、ご安心くださいませ。

 そんなアナタがお花屋さんに行って伝えるべきことは、以下の通りでございます。

1. 予算の相場は地域にもよりますが、ほどほどは3,000円から5,000円といったところ。学校の卒業式の場合、お祝いの花束は1本からでもOK。決まった予算をそのまま花屋さんに伝えて、相談したほうがベター。個人的に差し上げる場合、1,000円くらいからが相場でございます。

2. 用途をはじめとして、花をいただく方の性別・年代・イメージカラーなどの情報は一つでも多い方が商品を作る上で大変に有効でございます。

3. シンプルにしたい、盛りだくさんでボリュームよくしたいなど、希望するフォルムがあれば極力お伝えくださいませ。せめて、仕上がりの大きさの大小はご希望をいただきたいところでございます。

 そして、知っていただきたいことがもう一つ。今、特有の現状ではございますが……。もしもアナタが今のこの時期、お花を買いにお花屋さんに直接出向いて「すぐ作ってください」とお願いすると、痛い目にあう可能性がございます。

 花屋さんにとって3月から4月の繁忙期、人数はそろっていても、いろいろなスキルのスタッフが混在しているお花屋さんが多いのも事実。アナタの求める素敵な商品の「すぐ」に対応できない場合が、大いに考えられるからでございます。

 そして、今のご時世、多くの方が入店している狭い店内での長時間の滞在には少し抵抗もありますわよね。

 どんな手段であっても、「あらかじめのご予約」が無難。そうなさった方がご来店して、短時間で良品のものを受け取れる可能性が大ですのでおススメでございます。

送別も新しい様式に

お花をたくさんいただく方には小さくて手軽な花鉢もおススメ
お花をたくさんいただく方には小さくて手軽な花鉢もおススメ

 世の中が「新しい生活様式」になったために、ワタクシが個人的に「気の毒だな」と思うのは、会社や学校がリモートになって人と直接顔を会わせる機会がほとんどないことで、送別会イベントが曖昧になっている……ということでございます。

 最近、よくあるご注文で「退職者の出勤日がおそらくこの日」の予約がとても多いです。そういった場合、お電話にてご注文なさるご本人からの「この日は私、出勤しません」のセリフは、「おそらくこの日」注文とセットでございます。

 その場合、「送別会」はナシ。「花束贈呈式」も、少数精鋭で執り行われている模様でございます。もっとすごいのは、退職者が出勤しないまま退職。そうなると、もはや「感謝の花束贈呈式」も存在いたしません。

 ですが、長年お勤めしていた会社を去る方に感謝とねぎらいの気持ちを花に代えて、なんとしても届けるべく宅配にてご自宅へお届けする方法を選択なさる方も多いのが、「イマドキ花贈り」でございます。

 その際、ご相談にいらした方にワタクシがアドバイスしていることがございます。

 それは「花束という形にこだわらくてもよろしいのでは?」でございます。

 どんなにささやかな花束だとしても、花束を渡すときの絵はとても印象的。「花束贈呈式」は「映える」絵でございます。
しかし、もしも花束贈呈式がないのなら、別に花束にこだわらなくても良いこと。

 受け取る側のイメージに合った花であれば、花束を入れるフラワーベースの心配がいらない器付きのフラワーアレンジメントや、ランなどの花鉢もオススメ。いただいた側は宅配箱を開けてすぐに飾れますので、手間いらずでございます。

 特に、送別は各所から多くの花を重ねていただくことも大いに考えられます。相手を思いやって、受け取った先を想像することも差し上げる側のマナーの一つ。形を変えても、きっと気持ちは伝わるはずでございますよ。

おわりに

お花を見るたびに感謝の気持ちを思い出す(写真:iStock)
お花を見るたびに感謝の気持ちを思い出す (写真:iStock)

 ワタクシの経験ではございますが……。

「花の仕事に転職したい」と、会社を退職する際にお花をいただきました。男性だらけの会社の先輩たちがお花の好きなワタクシのためにご用意してくださった花は、花束よりも寿命の長い「ラン」の花鉢でございました。

 辞める人間にしてみたら、自分のことをイメージしてご用意してくださった花は、たとえ一本の花であってもとても嬉しい。

 家に持ち帰ったその花を見ながら、家族が「あなた、やっぱり本当に会社を辞めたのね」と、感慨深げにつぶやいていたことを今も覚えております。

 在職中に大した功績なんてなかったけれど、人生の新しい次のステージへ向かうワタクシに、ねぎらいと応援の言葉と共に会社の上司や同僚がリアルな花で文字通り「花道」を飾ってくださったんだなぁと、今も感謝の気持ちで思い出すワタクシなのでございます。

 花を贈る側のアナタも、贈られる側のアナタも、お互いの気持ちを伝えるメッセンジャーが花でありますように……遠いお空の向こうから願っておりますよ〜。

斑目茂美
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開運花師
半導体エンジニアを経て花業界に転身。イベント・ホテルなどの装飾も手がける生花店を営む傍ら、コンテストで優勝・入賞を重ね、雑誌・新聞等に作品を発表する。神奈川各所にて花教室を開催。障害者支援も花で実践。悩ましくも素敵なお客様を「花」で幸せへと導く道先案内人。ブサかわ猫店長「さぶ」ともに奮闘中。Facebookやってます。

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