悲しみを忘れて…高貴な佇まいの「ミヤコワスレ」は心を癒す

斑目茂美 開運花師
更新日:2021-04-14 08:18
投稿日:2021-04-14 06:00

「ミヤコワスレ」ってどんなお花?

「ミヤコワスレ」とは、春から夏に向けて咲く日本原産のキク科の植物でございます。

 その歴史は古く、江戸時代に品種改良されたミヤコワスレは現代でも愛好家が多く、素朴でありながら、そこはかとなく漂う気品と高貴な立ち姿が、茶花や庭の下草としても人気でございます。

 そんなミヤコワスレ、少々もの悲しい雰囲気漂う名前の由来には、有名な伝説がございますのよ。

「いかにして契りおきけむ白菊を都忘れと名づくるも憂し

 これは後鳥羽上皇の第三皇子であり、鎌倉時代前期の天皇であった順徳院が、ミヤコワスレの花を見て詠んだ句でございます。

 父の後鳥羽上皇とともに鎌倉幕府を倒して王政復古をはかろうと企てた「承久の乱」に敗れ、後鳥羽上皇は隠岐ノ島に、順徳院が佐渡ヶ島に流されたのは、順徳院25歳の時でございます。歌の才に恵まれ、活発であったとされた若い順徳院が、幕府軍との戦に敗れて46歳で崩御されるおよそ20年間、都に戻ることは一度もございませんでした。

 毎日が世を儚み、華やかだった都の暮らしを偲び憂えていた日々だったとのこと。そんな流刑生活の5月のある日、順徳院が外に出ると庭に咲く一輪の白い野菊を見つけました。しばらく見つめた後、「これで都を忘れられる」と言ったとされるこの花を「都忘れ」と名付け、島の人もこの花を「ミヤコワスレ」と呼ぶようになった……という話は、ちょいと有名。

 白菊は父である後鳥羽上皇の好きな花であり、皇室の御紋が菊になったのも後鳥羽上皇からといわれております。寂しく侘しい島暮らしの中で、一輪の上品な白い菊の花を見つけ、ひととき華やかな都暮らしと父を思い出したのかもしれませんな。

 花言葉も「しばしの憩い」や「しばしの慰め」など、この花を見た悲しき順徳院の心模様を表しているような、そんなちょっぴりさみしい花言葉でございます。

 とはいえ、こんな盛り上がり話をしたあとになんなんですが、順徳院が見た菊は我々の思う「ミヤコワスレ」ではなく、佐渡ヶ島に自生している「深山嫁菜(ミヤマヨメナ)」ではないかぃ?ともいわれております。

 なんせワタクシたちが知る「ミヤコワスレ」は、深山嫁菜(ミヤマヨメナ)を元に江戸時代につくられた園芸品種。時代からして、鎌倉時代にはございませんから……とはいえ、島の人たちが「ミヤコワスレ」と呼んでいる深山嫁菜(ミヤマヨメナ)が「ミヤコワスレ」の親であることは確かのようですけどね。

厄を祓ってアナタの感覚を研ぎ澄ます

 ミヤコワスレといえば、白やピンクもございますが、何と言ってもやはり濃い紫色の「江戸紫」という品種が「The ミヤコワスレ」といったところでございます。

 上品で凛とした佇まいの花姿には、紫色がよく似合います。歴史あるミヤコワスレは愛好家が多く、園芸品種としても切り花としても入手可能。今のこの時期、粋なお花屋さんには「ミヤコワスレ」の切り花が売られております。

 花だけを拡大してみると、正直なんてことないお花です。素朴な野菊の顔でござんすよ。

 だが、しかし! 引きで見るミヤコワスレには、絶対的な品の良さと、ほかの花をバッサバッサと斬り落とす圧倒的な佇まいがございます。茶室に飾られる「茶花」としても最適。一本でもビシーっと形が決まります。

 そんな紫色のミヤコワスレを飾る最適な場所とは……ズバリ、書斎や勉強部屋、リビングや寝室でございます。

 紫色は、「精神性」や「直感力」が研ぎ澄まされる色。乱れた心に落ち着きを取り戻し、思慮深く、閃きをもたらすと申します。そんな精神や思考を高める紫色のお花をリモート生活の傍に飾れば、仕事や勉強に良い結果をもたらすことに期待できるやもしれません。

 また、紫色は言わずと知れた「高貴な色」。僧侶の身につける袈裟の下の法衣の色でも、紫色は上位の色として知られております。

 そんな高貴なお色のミヤコワスレのような美しい佇まいの紫色の花は、花が放つエネルギーもやっぱり高貴で上品。たった一本でも周りに漂う高貴な“気”に包まれるだけで気品や知性向上を期待できるばかりか、美的・芸術センスなどの感覚もくすぐられる気分がいたします。

 人が集まるリビングでは集う人の心を癒し、寝室に飾れば精神を鎮めて穏やかで健やかな眠りに、アナタを誘ってくれるかもしれませんよ〜。

斑目茂美
記事一覧
開運花師
半導体エンジニアを経て花業界に転身。イベント・ホテルなどの装飾も手がける生花店を営む傍ら、コンテストで優勝・入賞を重ね、雑誌・新聞等に作品を発表する。神奈川各所にて花教室を開催。障害者支援も花で実践。悩ましくも素敵なお客様を「花」で幸せへと導く道先案内人。ブサかわ猫店長「さぶ」ともに奮闘中。Facebookやってます。

ライフスタイル 新着一覧


予約必須店で失態!食い意地が勝り、朝10時からフルコースの“敗者復活”
 汗ばむ気温のとある週末、筆者は湖畔の景色を見ながら、優雅にフルコースをいただいておりました。時計の針はまだ午前10時を...
“面倒くさい”ママ友って本当に必要?メリットとデメリットを検証してみた
 あなたにとって、ママ友は必要ですか? それとも不要ですか?「仲良しのママ友を作って、一緒に子育てを楽しみたい」と思う人...
暑い日こそIN・鍋!のんびり“たまたま”君の大あくびをパチリ
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
心をすり減らす“毒友”と縁を切る3つの方法 その違和感に目を背けないで
 自分にとって毒になる友人、毒友。一緒にいて違和感を抱くあの人も、あなたにとって毒友なのかもしれません。今回は、毒友の特...
3歳娘にアタマジラミ!? 我が家を救ったアナログな退治法と意外な美容家電
 2人の保育園児を育てる我が家では先日、ちょっとした“事件”がありました。下の子どもの頭にアタマジラミが住み着いてしまっ...
女友達へのディスり誤爆!《純粋アピールのフルコンボだったじゃんね笑》深夜LINEの後悔が止まらない…
 深夜に誰かへLINEを送るときはくれぐれもご注意を。“深夜テンション”でネガティブになりすぎたり、ヤケクソになっていた...
「女人禁制」の読みは「にょにんきんせい」とは限らない?
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
「明日は何時?」親の老いをLINEでも実感…切ないけれど受け入れる!
 人間誰しもいつかは老いがやってくるものです。ただ、これまでたくさんの愛情と安心を与えてくれた絶対的な存在の「親の老い」...
アラフォーが若者とのカラオケで失敗しない方法3つ 10年前の選曲はあり?
 職場での飲み会後、二次会としてよくあるのがカラオケ。アラフォーともなると、若〜い後輩を引き連れてカラオケに行くこともあ...
「スナック常連客に嫌われるNG行為」初めての店ではマジ注意して!
 いわゆる夜のお店というのは、「大人の社交場」と言われることがあります。昔からなんとなく納得してはいたんですけど、最近や...
キィー!羨ましい! 実はめらめらとママ友に嫉妬している6つの瞬間
 子どもがいると切っても切れない仲になるのが、ママ友。母として生きている女同士、話が盛り上がりますよね。その一方で、近い...
美しすぎる方向転換…国宝級“たまたま”にどこまでもついて行きます
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
夏に日持ちする切り花オススメ7選、家庭で簡単にできる“延命対策”7カ条
 神奈川の片田舎にある猫店長「さぶ」率いる我がお花屋。夏の暑い昼間の来客はめっきり減りますが、夕方の若干涼しい時間帯にな...
人間の決断回数は1日35,000回! 悩ましい「決断疲れ」の最終兵器は猫?
「今日のランチはどこに行こうかな?」「仕事も疲れてきたし、カフェにコーヒーでも買いに行こうかな? それとももう一踏ん張り...
【調香師直伝】汗かいても“爽やかフェロモン女子”!夏の疲れを癒す簡単手作りデオドラントスプレーも紹介
 汗をかく行為はフェロモン放出にとって重要ですが、汗自体のにおいがよくないとフェロモンを上手に活かせません。  本...
育休明けのモヤモヤがしんどい。先輩ママの体験談から紐解く3つの解決法
 育休明けのママたちは、職場復帰するにあたって多くのモヤモヤを感じているようです。子供と仕事と生活の間で、ベストな答えを...