長めに漬けると硬めの食感に
キハダマグロがここまでおいしくなるのかと驚きました。
「脂が乗り、うま味が強い本マグロに比べ、刺し身で食べるとやや物足りないキハダマグロの方がツマミにピッタリの料理に仕上がります。一晩漬けることで、水分が抜けて繊維が詰まり、身が引き締まって味も食感も良くなります。和からしを加えることで、マグロの臭みを消し、からしの香りがほのかに引き立ちます」
二晩漬けてもそれほど味が濃くなるわけではないので、硬めの食感がお好みなら、長めに漬けるのもオススメです。
「湯引きでも、あぶってもいいのですが、表面を固めることで火の入ったところに味がいったん入り、その後、ゆっくり浸透します。ただ中心までは入り込みません。全体的に身が引き締まり、真ん中だけが生なので見た目にもきれいです」
スーパーなどでも手に入りやすい安価なキハダマグロがねっとりした食感になり、中に味がしっかり染み込み、「絶品ツマミマグロ」に早変わり。キハダマグロの本当のおいしさを実感できます。
材料
・キハダマグロの刺し身(サク) 200グラム
・醤油 50㏄
・みりん 50㏄
・和からし 大さじ1
レシピ
(1)キハダマグロをサクのまま湯引きする
(2)表面に火が通ったら、氷水に入れて、粗熱を取る
(3)表面の水分をしっかりふき取り、醤油、みりん、和からしを合わせた調味液に一晩漬け込む
(4)一晩漬け込んだマグロのサクを取り出して、適当な大きさに切り出し、盛り付ける
本日のダンツマ達人…梯隆司さん
▽梯隆司(かけはし・たかし)
1982年、大阪・堺市生まれ。料理人に憧れ、「自分の店を持ちたい」という夢をかなえるため銀行マンになった異色の経歴の持ち主。大卒後、銀行に就職して経営のノウハウを学び、3年後、飲食の世界に飛び込んだ。
魚介中心の料理屋や割烹料理店などで修業を重ね、30歳で独立。行きつけだった居酒屋の店主から、現在の店舗を譲り受けた。日本酒の知識は、日本酒を知り尽くしたその店主からの直伝だ。
▽お酒とさかな かけはし(おさけとさかな かけはし)
2013年オープン。魚介の質や産地、鮮度にこだわり、食材はすべて国産の天然もの。お造りや焼き物が人気で、季節によって旬の素材を生かした料理が味わえる。お酒もすべて国産。冷酒20種、お燗20種、ワイン40種、プレミア焼酎20種、ウイスキーが用意されている。ご主人は料理人仲間と勉強会を開いて、オリジナル料理を考案するなど探求心旺盛だ。大阪市福島区福島2―7―20。
(日刊ゲンダイ2021年4月9日付記事を再編集)
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