任侠映画「木屋町DARUMA」はレンタル視聴で見る価値大アリ!

内埜さくら 恋愛コラムニスト
更新日:2021-04-27 06:18
投稿日:2021-04-27 06:00
 近年のコンプライアンスの厳しさにより、映画館で上映はされてもテレビではほぼ再放送されない作品があることをご存知でしょうか。そのうちの1つのジャンルが、任侠映画です。子どもを持つF2層(35~49歳の女性)からの反発が強く、スポンサーがつきづらいのが理由とのこと。ですが今回は鑑賞して改めて「おもしろい!」と感じた任侠映画、「木屋町DARUMA」を紹介します。

四肢を切断された“取り立て屋”

映画「木屋町DARUMA」初日舞台挨拶(2015年撮影)写真左から木下ほうか、武田梨奈、遠藤憲一、三浦誠己、榊英雄監督(C)日刊ゲンダイ
映画「木屋町DARUMA」初日舞台挨拶(2015年撮影)写真左から木下ほうか、武田梨奈、遠藤憲一、三浦誠己、榊英雄監督 (C)日刊ゲンダイ

 タイトルの“DARUMA”は、四肢がない人という意味。5年前に子分が起こしたトラブルのケジメをつけるために、両肘と両膝を切断された元ヤクザの勝浦を、遠藤憲一さんが見事に演じきっています。勝浦はハンデのあるカラダで債務者の家に乗り込み、嫌がらせをして回収する捨て身の取り立て稼業で、生計を立てています。

衝撃シーンの連続

鬼気迫る演技を見せた遠藤憲一(C)日刊ゲンダイ
鬼気迫る演技を見せた遠藤憲一 (C)日刊ゲンダイ

 最初に向かったのは、武田梨奈さんが演じる高校生が住む自宅。両親が抱えた借金返済のため勝浦は訪問しますが、ターゲットは武田さん演じる高校生に。勝浦はまだウブな高校生の股ぐらに、「この子、ちょうだいよ」と、匍匐(ほふく)前進で近寄ります。

 この衝撃的な映像が話題になった本作ですが、その後もエグい……! 四肢のない男が借金の取り立てをするという設定で覚悟はしていましたが、個人的には全シーン、「お食事中の鑑賞はお控えください」と呼びかけたいほどです。

 遠藤さんの演技力がこの作品を輝かせるか否かが決定打ですが、武田さんと勝浦のシモの世話までする坂本を演じた三浦誠己さんのお芝居もピカイチ。

汚れ役に徹した武田梨奈

風俗嬢を演じきった武田梨奈(C)日刊ゲンダイ
風俗嬢を演じきった武田梨奈 (C)日刊ゲンダイ

 武田さんは琉球少林流空手道月心会に所属する、黒帯二段の持ち主で運動神経抜群ですが、本作ではアクションを封印。親の借金返済のため、卑猥な言葉を吐く風俗嬢になる“汚れ役”に徹しています。しかも勤務するのは、変態的な性癖を満たす風俗店。

 つい何日か前まで普通の生活を送っていた女性が飛び込み、狂っていくさまを観ていると切なくなります。ちなみに、ラストシーンでは重要なカギを握る人物なので、詳しくは本作のご鑑賞を。

考えさせられる三浦誠己の介護シーン

 三浦さんが演じる坂本が、木村祐一さん演じる古澤の命令とはいえ勝浦の介護を担う姿も見どころの1つ。筆者は深く考えさせられて自身に問いました。「パートナーや親が要介護状態になったら、ここまで丁寧に面倒を見きれるのか」と。ボーッと流し見するのではなく、坂本の抱える哀愁をご自身の状況と照らし合わせて観ると、別の角度から感慨深い作品になるかもしれません。

 ほかにも、お金のためなら手段を選ばない闇金業者を木下ほうかさん、取り立てに追いつめられる債務者に寺島進さんが演じるなど、実力派俳優ぞろいの本作。作中では債務者への取り立て方法があまりにも恐ろしく、目を覆いたくなるシーンがいくつもあります。

借金、ダメ。ゼッタイ。

 筆者は借金事情に明るくないため、「これほど非道な取り立てが実在するのか!?」と疑問を持ち調べてみたところ。現在でも返済を滞ると、債務者の子どもが通う幼稚園や学校に何度も電話をかける、職場や実家へ押しかける、恋人の実家へ行くなどの闇金業者も珍しくないそうです。借金によって人生が崩壊したケースも散見されました。SNSを使うことでクリーンなイメージを装い、「貸しますよ」と近づいてくる業者もいるのだとか。借金、怖い……。「借金をしてはいけない、絶対に保証人にもなってはダメ」と教育してくれた、両親に感謝しつつ本作を観終えました。

DVD発売中 税込5,170円 販売:東映 発売:東映ビデオ
DVD発売中 税込5,170円 販売:東映 発売:東映ビデオ

 人間関係やお金、介護への価値観まで問われ、心をえぐられる作品です。昨年に続き、今年も長くなりそうなGWのおうち時間のお供にいかがでしょうか。

内埜さくら
記事一覧
恋愛コラムニスト
これまでのインタビュー人数は3500人以上。無料の恋愛相談は年間200人以上の男女が利用、リピーターも多い(現在休止中。準備中のため近日中にブログにて開始を告知予定)。恋愛コメンテーターとして「ZIP!」(日本テレビ系)、「スッキリ」(同)、「バラいろダンディ」(MX-TV)、「5時に夢中!」(同)などのテレビやラジオ、雑誌に多数出演。

URL: https://ameblo.jp/sakura-ment

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


宮沢氷魚の文面にデキ婚とは言わせない圧…イケメン続々“獲られる”幕開け
「まさかやー」と思わず声をあげてしまいました。そうです。宮沢氷魚(29)と黒島結菜(26)の事実婚発表です。 「か...
元モー娘。加護亜依様の“セクシー女優匂わせ”が冗談に聞こえないワケ
 モーニング娘。黄金期の人気メンバーだったものの、現在はお騒がせタレント化してしまっている加護亜依。昨年も週刊誌やネット...
堺屋大地 2024-01-20 11:16 エンタメ
シン・スズ子誕生!タナケンに「面白いね」と言わしめたヒロインの魅力
 喜劇「舞台よ! 踊れ!」の幕が上がる。タナケン(生瀬勝久)に稽古ですべてを受け止めると言われたとおり、スズ子(趣里)は...
桧山珠美 2024-01-19 14:45 エンタメ
タナケン(生瀬勝久)の決め言葉、「どうだろうね」に込められた真意
 スズ子(趣里)は、不安を抱えたまま喜劇王・タナケン(生瀬勝久)との舞台稽古を続けていた。  なんとかしようと、ス...
桧山珠美 2024-01-22 15:16 エンタメ
ブギウギ新章、タナケン役生瀬勝久の“顔芸”と「3枚の張り紙」が見もの
 小夜(富田望生)が付き人をやめると言って姿を消してから3カ月、愛助(水上恒司)は大学を卒業し、村山興業で働き始める。 ...
桧山珠美 2024-01-17 15:49 エンタメ
5年ぶり「おっさんずラブ」にコレジャナイ感?それでもいいと思うところ
 あの「おっさんずラブ」が5年ぶりに帰ってきました。2018年4月期にスタートした同作は、ピュア過ぎるおっさんたちの恋愛...
小夜(富田望生)の食い意地は国境を越えた!愛か、餌付けされただけか
 復学した愛助(水上恒司)は、スズ子の公演に触発され、いっそう勉学に励んでいた。  そして、公演が再開して以来、ス...
桧山珠美 2024-01-12 16:05 エンタメ
任侠ドラマ出演の高岡蒼佑様…小栗旬&芸能界批判に“かわいいチワワ”か!
 アウトローな役柄などで人気を博していた元俳優の高岡蒼佑。役者引退宣言をしていたものの、今年2月にリリースされる任侠ドラ...
堺屋大地 2024-01-11 06:00 エンタメ
朝ドラ名物の闇市、小夜の食い意地はタダモノじゃねえ!
 戦争が終わって3カ月、世の中の混乱は続き、スズ子(趣里)たちは未だ公演ができずにいた。  愛助(水上恒司)の病状...
桧山珠美 2024-01-09 14:50 エンタメ
歯に衣着せぬ小夜のキャラを生かしたブギウギ流「玉音放送」シーン
 終戦の日。スズ子(趣里)たちは巡業先の富山で玉音放送を聞く。りつ子(菊地凛子)は慰問先の鹿児島で敗戦を知る。  ...
桧山珠美 2024-01-08 15:50 エンタメ
原作は4コマ漫画! 名作“ぎぼむす”のイケメントリオを味わい尽くそう
 新年あけましておめでとうございます。  例年であれば、大晦日は「ジャニーズカウントダウンライブ」で年越しするので...
特攻隊の前で「別れのブルース」、過去の“淡谷のり子物語”と異なる描き方
 1945年、日本の戦況はますます悪くなっていた。富山に慰問に来ているスズ子(趣里)は、女中の静枝(曽我廼家いろは)の話...
桧山珠美 2024-01-05 14:00 エンタメ
制作費の都合?「夜来香ラプソディ」音楽会シーンなしは残念すぎる
 上海の羽鳥善一(草彅剛)は、音楽会の準備を進めていた。羽鳥は、黎錦光(浩歌)が作曲した「夜来香」にブギを取り入れた音楽...
桧山珠美 2024-01-04 17:50 エンタメ
【2023年人気記事】マッチ様は逃げ上手と無責任のプロだった
【「残念プロフェッショナル」の流儀】  2023年も「コクハク」をご覧いただき、誠にありがとうございました。反響の大き...
堺屋大地 2024-01-02 11:44 エンタメ
辻希美&杉浦太陽はニベアのCM…仲良しラブラブ芸能人夫婦はお金を生む
 元モーニング娘。のなかで1番の勝ち組は、やっぱり辻ちゃん(辻希美)でしょう。  先日も元モー娘。の中澤裕子、保田...