春雨がしっかりとうま味を吸い込み…
豚肉とキャベツ、長ネギの野菜炒めといえば、いわゆる町中華の定番で、ハズレのないメニューですが、英さんの野菜炒めは一味違います。黒酢や山椒、胡椒を合わせるだけで独特な味わいになるのですが、特徴はそれだけではありません。圧倒的な存在感を放っているのが、春雨です。
「張掖では、特産のジャガイモを原料にした春雨は、家庭料理には外せない食材です。辛い味の炒め物にもよく使いますよ」
春雨といっても、日本の中華料理に出てくるものと違って、圧倒的に太い。しっかりとうま味を吸い込んだ春雨は立派な「主役級」。モチモチとした食感がクセになります。
日本の春雨の原料には、サツマイモや緑豆が使われているものも多いが、「そこまで違和感はない」そうです。むしろ、いろいろな春雨を試してみてもいいでしょう。
それにしても気になるのは、英さんがIH(電磁調理器)を使っていること。中華料理といえば、高火力に中華鍋という印象がありますが……。
「高級なお店なら高火力に中華鍋でしょうけど、張掖の一般家庭では皆IHですよ。ゆっくり炒めればいいんです」
誰でも本格中華にトライできそうです。
材料
・豚ロース 50グラム
・春雨 50グラム
・キャベツ 適量
・長ネギ、ショウガ、ニンニク、黒酢、醤油、粉山椒、塩、胡椒 各少々
レシピ
(1)千切りした豚ロースをショウガ、ニンニク、長ネギ、胡椒、粉山椒、塩、醤油、黒酢で下味をつける
(2)キャベツを千切りにする
(3)サラダ油を張った鍋で肉を炒める
(4)肉の色が変わったら、キャベツ、あらかじめ水で戻した春雨を入れ、炒めて出来上がり
本日のダンツマ達人…英英さん
▽英英(いん・いん)
1975年、中国甘粛省張掖市出身。日本人男性と結婚後、97年に来日。2000年からは、中国に戻って甘粛省敦煌市でカフェを6年間経営。12年に東京・池袋で「沙漠之月」をオープンした。
▽沙漠之月
JR池袋駅から徒歩約10分。駅東口の繁華街から離れた大通り沿いの雑居ビル3階に入居する同店は、カウンター5席とこぢんまりしている。日本では珍しい甘粛省料理を楽しめる。餃子に麺、肉や野菜とメニューは多彩。ビールに紹興酒、白酒、日本酒も用意している。流暢な日本語を操る英さんのトークは軽妙で、客の好みに合わせた料理を提供してくれる。知る人ぞ知る名店だ。東京都豊島区東池袋2―63―15 3F。
(日刊ゲンダイ2021年6月18日付記事を再編集)
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