イケメンナンパ師だった大学生が普通の会社員になった理由

内藤みか 作家
更新日:2021-08-12 07:04
投稿日:2021-08-12 06:00

旬を過ぎると成功率が下がる

自分の旬は過ぎてしまった(写真:iStock)
自分の旬は過ぎてしまった (写真:iStock)

 ナンパした女性から食事をご馳走になったり服を買ってもらったりと、いい思いをしていたK君。このままずっとナンパを続けていくのかと思っていたら、ある日突然、ホストになってしまいました。なぜかというと「ナンパしてもあまりおいしい思いができなくなってきたのでホストのほうがいいかなと」とのことでした。

 彼は大学4年生になっていましたが、結局就活せず、逃げの手段としてなのか、大学を辞めて資格取得を目指すと言い始めました。しかしホストクラブで深夜まで飲むような生活をしていて勉強が進むわけもなく、何もかも中途半端のまま時間が過ぎていってしまったのです。

 彼は、ナンパ師としての旬は20歳の頃だったと言います。「女はアイドルみたいなキラキラした若いイケメンが好きなんだよね。そういう男と仲良くなる機会はあまりないから。でも23歳になった今の俺だと、落ち着いて見えてあまりときめかないらしい」。あきらめ顔で語っていた彼はその後、ホストもナンパ師も辞め、おとなしく普通の会社に就職していきました。

努力なしには続けられない

堅実な人生を(写真:iStock)
堅実な人生を (写真:iStock)

 もちろん、若いイケメンでなくてもナンパを成功させる男性は大勢います。けれど、おそらくそうなるまでには相当な努力をしているはずです。女性の気持ちに寄り添ったり、会話をうまく弾ませたりと、きめ細かいマメな対応や、ついてきてくれそうな女性を見抜く眼力なども身につけてきたのではないでしょうか。

 ルックスで勝負していたナンパ師は、年齢を重ねるにつれ成功率は下がってしまいがちです。それなりの努力をすれば、もっとナンパを続けることもできたと思うのですが、K君は、その努力を面倒に感じ、ナンパ師を引退してしまいました。

 ナンパで成功体験が得られなくなった時は、どこかでナンパに見切りをつけ、他のことで承認欲求を満たす必要があります。K君は今は仕事が楽しく、それが生き甲斐になっているようでした。ナンパというスリルの対極にある地道で堅実な人生を楽しめるようになれれば、生きかたを転じることができるのかもしれません。

内藤みか
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作家
著書80冊以上。大学時代に作家デビューし、一貫して年下男性との恋愛小説を書き綴る。ケータイ小説でも話題に。近年は電子媒体を中心に活動。著書に「あなたに抱かれたいだけなのに」など。イケメン評論家として、ホストや出張ホストなどにも詳しい。
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