ムカつきながらも「パパを立てる」と決めた
そんなわけで、ムカつきながらもパパを立てることにしました。
立てると言っても、ありもしないことを言うことはできません。
だから、「お耳の形がかっこいいね! パパに似たんだね!」と言ったりとか、「背が高くなってきたね! そのうち、パパみたいに大きくなるかな」と言ったりとか、「リレーで早く走れたよ」と言う息子に、「パパも走るのが速かったからね!」と言ったりとか。
言うたび、どよーんとした気持ちになりますが、誰かのいいところを見つけて褒めることは子育ての基本でした。一貫しないと。
なにより、私たちは大人の事情で離婚をしたのに、関係のない我が子を巻き込み、気を使わせてしまってはいけないと思いました。
ふかふかのお布団みたいな「絶対的な自信」をあげられたら
一緒に寝る前に必ず伝えている言葉がいくつかありますが、そのひとつが「◯◯(息子の名前)はママの宝物!」ということ。
ほんの時々ですが、気が向いた時には、「ママとパパの」と言うようにしています。
ちょっとやっぱりもやもやするので、そのあとで「ばぁばにとっても、じぃじにとっても、おばぁば(妹)にとっても宝物!」と付け加えていますが。
さらには、「みんな大好きだと思っているけど、誰より一番そう思っているのはママだけどね!」とも。
私は、どこまでいっても独占欲が強くて、負けず嫌いです(笑)。
どちらにせよ、息子の心の中に「みんなに愛されている」という、ふかふかのお布団みたいな絶対的な自信をつけてあげられたら、と思っています。
「パパ」はいいとこ取りでいい
離婚から3年目の今、面会日は1カ月半に1度、「パパのおうちにお泊まりデー」という形におさまりつつあります。
「パパのおうちで、歯磨きの後にアイス食べちゃったんだ」「パパのおうち、本当はね、汚かったよ」
息子は私に、そんな告げ口をするようにもなってきました。
「えーそうなの!? 今度パパにパンチ入れてやるー!」なんて、わざとオーバーに怒ってみせると、けらけら笑う息子。
これでいいのかもって、そう思います。パパなんて、所詮「いいとこ取り」でいいのです。そもそも、「わるいとこ」に我慢ならずに、離婚したのですから。
たとえ、息子が「パパみたいになりたい」と目標にしたとしても、それはいいとこだけの「パパ」のはず。大丈夫でしょう。
「仮面夫婦」は無理でも「仮面パパママ」はできそう
別れた元夫婦も成長するもので、自分たちがストレスなくやりとりできる頻度を学びます。
面会日が1週間に1度だったころは連絡をすることすら億劫でしたし、無駄に言い争いになったりもしました。
今は、自然にやりとりが減り、1カ月に1度ほど「この日はどう?」と連絡するだけ。その際、息子の近況報告、世間話ができるくらいにはなりました。
「仮面夫婦」は無理でも、「仮面パパママ」はできるかもしれないな、と思う今日このごろです。
(文;孔井嘉乃/作詞作曲家 イラスト:こばやしまー/漫画家)
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