ムカつきながらも息子の前では「パパを立てる」と決めたこと

孔井嘉乃 作詞作曲家・ライター
更新日:2021-10-12 06:00
投稿日:2021-10-12 06:00
 はじめまして。シングルマザー3年目の孔井嘉乃です。私には、6歳になる息子がいます。
 家庭の事情はそれぞれあって、離婚に至った経緯なんて誰とも分かり合えません。でも、「シングルマザー」になった女性に共通する思いは、きっとあると思います。
 まだまだシンママ歴が浅い私ですが、日々の中で感じていること、自分の中で消化したこと、解決していないこと、そんなことをこの連載「シングルマザーもいいじゃない」で、綴りたいと思います。

シングルマザーにとって離婚直後の「面会交流権」は厄介

 憎しみ合ったり、冷め切ったり、どちらかがまだ納得していなかったり。とにかく、夫婦が離婚に至る理由はさまざまです。

 子供がいない夫婦であれば、離婚は「ひとつの男女の別れ」であるので、二度と会わない道を選ぶこともできますが、子供がいる夫婦の場合、そうはいきません。「面会交流権」が、法律によって定められているからです。

 面会交流権とは、“別居している親子が面会をする権利”のこと。一般的に親権を持たない離れて暮らす親のためのものでもありますが、子供が健全に成長するうえで必要なものだと考えられているそう。

 そのため、多くのシングルマザーは「離婚してスッキリ!」ではなく、今や他人となった男性と定期的に連絡を取らないといけない場合が多いのです。

子供との「面会日」のたびに心がざわつく

 書面で交わしたわけではないですが、私と元夫の場合、離婚当初は「1週間に一度の面会日を設ける」としました。

 息子との面会日、元夫は3時間ほど公園などに連れて行っているようでした。

 “1週間のうち、たった3時間”。怒ることもなく、歯磨きをさせるわけでもなく、汚れた運動靴を洗うわけでもなく、看病をするわけでもなく、ただ息子と遊んでさえいれば良いのです。

 息子にとって、それはそれは「楽しいだけ」の時間でしょう。

 面会日から帰ってきた息子は、「あーおもしろかった! パパとまたすぐ会いたいなぁ!」なんて言います。

 なんだか心がざわつきます。息子への不安ではなく、元夫への不満。「いいとこ取りして!」のような。

 別にそんなところで対抗心を燃やさなくても、息子にとっては絶対に「ママがいちばん」だと分かっているのに、かわいい息子と暮らせているのは私なのに、それでも。

 心はだんだんと狭まっていきます。

否定するほどに「パパ」を庇い、美化する息子

 面会日のたびにそんなことを言われたら、私だって面白くありません。

「パパのおうちは汚かったんじゃない?」と言うと、「ぜんぜん! 綺麗だよ!(←確実に嘘)」って言うし、「パパは前はぜんぜん遊んでくれなかったのにね」と言うと、「ペットショップとか連れて行ってくれたじゃん(←数回程度)」って言うし。

 さらには「パパ、スズメバチを捕まえて退治したんだよ」「パパ、高いところにいたセミを20匹も捕まえたんだよ」なんて、「パパにしかできないこと」を喜々として話してくるのです。

 私が否定するほどにパパを庇い、さらには美化する息子。

 離婚をしたのは、息子が4歳のころ。それまでの記憶なんてほとんどないようです。その数少ない「パパとの思い出」を、大切にしているようにも見えました。

 どうしたら良いのかわからず、離婚したパパのことをどう伝えていけば良いのか、たくさん調べました。「パパをけなしてはいけない」という意見、その逆の意見、「いっそのこと面会させなければいい」という意見……。多々ありすぎて頭を抱えました。

拙くて優しい嘘をつく息子

 でも、そんな情報の中で「なるほどー」と思ったものがあります。

 “パパは子供にとって自分のルーツ”。

 そんなルーツを悪く言われると、子供にとっては自分まで悪く言われている気がしたり、認めてもらえないような気がしてしまう、というものでした。

 息子はパパを庇う時、拙い嘘をよくついていました。

 元夫から「ご飯はコンビニのおにぎりで済ませたよ」と聞いたから、「今日、お昼はおにぎりだけだったの?」と息子に聞くと、「あれ、たしか焼肉だったっけな〜」みたいな小さくて優しい嘘。

「こんなにしてもらったんだよ!」「パパは優しいよ!」って、言いたかったのでしょう。

 これはいけない。私のせいだ、と思いました。

 息子にとっては、ずっと「世界でひとりだけのパパ」。それを私の過去の思い出や感情だけで、否定してはいけないと。ましてや、元夫は少なくとも“悪い人”ではありませんから。

 そもそも、離婚する時、「ママとパパは喧嘩して、もう仲直りができなくなっちゃった」と伝えたので、喧嘩したままだと思っている可能性もあります。仲直りさせたいと思っているわけではなくても、パパとママの仲が悪くなってほしくないと思うのは、どこの家庭の子供も同じでしょう。

孔井嘉乃
記事一覧
作詞作曲家・ライター
3歳からピアノを始め、現在は作詞作曲家&シンガーソングライターとして活動中。2014年からウェブライターとしての活動を開始。得意ジャンルは美容、恋愛、ライフスタイル。コスメコンシェルジュ、日本化粧品検定1級、ベビーマッサージ資格、乳児心理+児童心理資格取得。
2016年、ママユニット「mamakanon」を結成。活動5年目にして、YouTube再生回数1,200万回達成。2020年、フレンチシンガーバイオリニストソングライターとのDuo「ellipsis」を結成。両者の絶対音感を活かしてカバー演奏などを行う。
1児のママ。特技は早起き。ウィスキーが好き。

◇孔井嘉乃公式サイトmamakanon公式 YouTubeチャンネルellipsis公式 YouTubeチャンネル

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


自ら「幸せな状態」に寄せていける人は強い 2023.6.21(水)
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
面倒くさい、お金もない!行きたくない結婚式の“カドが立たない”断り方
 愛し合っている二人の晴れ舞台、結婚式。仲の良い友人や同僚、親戚などの結婚式は出席して直接お祝いしたいと思う女性がほとん...
すいかばかのレシピ~'23年<2>月夜の畑ですいかの苗を愛でる
 すいかの生産量は全国ワーストの山梨県で、こだわりのすいかを作る男がいる。ひとは彼のことを「すいかばか」と呼ぶ――。
自宅で収穫したジューンベリーでジャム作り 2023.6.20(火)
 昨年の夏、新居に引っ越した際に家のシンボルツリーとして植えたジューンベリーの木が実をつけました。赤い小さな可愛い実はそ...
キャベツ枕に洗体しない育児…うっわぁー自然派ママのドン引きエピ5選
 健康志向が高まる中、世間では自然派のママが増えているようです。マクロビ、ヴィーガンにはじまり、病気になっても薬を一切使...
我が家のカレーが食べたくなった瞬間 2023.6.19(月)
 旅先で急に我が家のカレーが食べたくなった瞬間。  郷愁をそそる、紅白ののぼり旗。  そして、そそられる、ち...
いずれやって来る去勢手術、尊い“たまたま”を今のうちに激写
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
仏では「不倫された側」が責められる?2023.6.18(日)
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
癒しの漫画/第51回「恋の落とし穴」
 ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、突然「コクハク」に登場! 生きものたち、その生きものたちをこよな...
男性との性交もうダメ?子宮と卵巣を失ったがんサバイバーの限界突破記
 42歳未婚で突然、ステージ1B1期の子宮頸がん宣告。悪性度が高いとされる「子宮頸部腺がん」の疑いで、5年前に「広汎子宮...
2023-06-17 06:00 ライフスタイル
楽しい街で見つけた張り紙の文字にドキリ 2023.6.16(金)
 あぁ楽しい街だ。ビリケンさんも笑ってる。  だけど、さすがに実弾撃つ客はいないよね……?  そうとも言い切...
「投資額ゼロ円」でも効果絶大!仕事運UPのきっかけを作る5つの心がけ
 仕事で成功している人は、仕事のスキルだけでなく、目に見えない風水や運勢なども大切にしている場合が多いですよね。今回は、...
お豆腐メンタルでいいんです!独在住で学んだ天気とメンタルの深~い関係
 みなさんはメンタル不調が起きやすいシーズンや条件を、自分で把握できているでしょうか?  もしもイマイチよくわかってい...
40代女友達の誕生日どうする? デパコス以外に喜ばれる贈り物&過ごし方
 何歳になっても、誕生日をお祝いされるのは嬉しいものですよね。でも、自分が友達の誕生日祝いをしようとした時、「何すると友...
肉汁とチーズが♡ ガストで背徳モーニング!2023.6.15(木)
 一日の計は“朝ごはん”にあり――。今回は、ファミリーレストラン「ガスト」のモーニングに行ってきました。
お呼びじゃない? “たまたま”の胸キュンシーンにひょっこり
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...