“離婚”をどう話す? 4歳の息子は「仲直りしたら?」と言った

孔井嘉乃 作詞作曲家・ライター
更新日:2021-12-06 21:27
投稿日:2021-11-16 06:00

はぐらかしては魔法のように忘れさせる日々

 離婚後、実家に引っ越してからというもの、「マンションに帰りたい」「パパのところに行こう」そんなことを息子は普通に口にしました。そのたびになんと言ったら良いのか分からず、言葉を濁し、はぐらかし、気を逸らし、その場をおさめていた私。

 子供ですから、何かほかに面白いことがあれば、すぐに忘れて別のことをはじめます。毎回、私に魔法のように忘れさせられてしまう息子を見ると、なんともいえない気持ちになるものです。申し訳なさだったり、罪悪感だったり、私自身は後悔がなくても、私が決めたことでこの子の人生が変わってしまったんだなぁと思ったり。

 カブトムシの季節はとっくに終わっていて、森に行くことを叶えてあげられないのも、嘘をついたようで心が重い原因でした。この先、何度もこれが繰り返されるのかと思うと、やっぱり憂鬱で、一筋縄ではいかないことだなぁと感じました。

「ママとパパは、結婚やめたんだよね?」

 ……と、無垢な我が子に翻弄された離婚直後でしたが、しばらく経つと、息子はマンションのことをあまり話さなくなりました。

「もう忘れたのか! やっぱり子供は柔軟だなぁ!」と楽観視していたのですが、離婚から1年ほど経ったある日、息子から突然「ママとパパは喧嘩をしたんだよね? だから、結婚やめたんだよね?」と、質問されました。

 私は、「うん、そうだよ!」と明るく返答したものの、ドキドキ。

 その時まで、私から喧嘩(離婚)のことを話したのは一回きり。あの時の会話を覚えていたことにも、実は理解をしていたことにも驚きました。いや、もしかしたら、それまでの雰囲気を察して、だんだんと理解したのかもしれません。

子供が成長するにつれて、抱く疑問は変わってくる

 現在、6歳になった息子。「離婚」という言葉こそ口にしませんが、時々思うところがあるようで、「ママはもう結婚しないの?」「パパは◯◯とぜんぜん遊んでくれなかったの?」なんて、ズシンとした重たい質問を軽ーく投げかけてくることがあります。

 そんな時、私は、今の息子が理解できるであろう言葉を使って、丁寧に答えるようにしています。

 また、息子が離婚に関してどう思っているのか知りたい時には、あえて私から話を持ちかけてみたり、「ママとパパは勝手に喧嘩しただけで、◯◯にはまったく関係ないからね」など、追加の説明をしたりもしています。

 子供が成長するにつれて、抱く疑問が変わってくるのは当然のことでしょう。離婚当時、そこまで予想していたわけではないですが、離婚話をタブーにしなかったことで、「聞けない」というストレスをお互いに抱えないことにつながったのかもしれません。

大人になった時に覚えていることを前提として話していく

 両親から離婚を伝えてもらったという友達の話を聞くと、「お母さんとお父さん、どっちと暮らしたい?」など、その時の状況や会話を覚えている人が多いことに気がつきます。

 ドライブ中、私から「ママとパパは喧嘩して仲直りができなくなっちゃった」と言われたことは、もしかしたら息子の中で、一生忘れられないシーンのひとつになるかもしれません。また、「結婚やめたんだよね?」と自ら質問した時のことも、ずっと覚えているかもしれません。

 そう考えると、息子が大人になった時に覚えていることを前提として、これからも離婚については真摯に話していくのが良いのかなと、今は思っています。

 正解はわかりません。ただ、私は「今、手の中にいる小さな子供」ではなく「いつか、手を離れて大人になる子供」として、接することを心がけています。それは離婚話云々ではなく、いつでも。それが、私と息子の形です。

(文;孔井嘉乃/作詞作曲家 イラスト:こばやしまー/漫画家)

孔井嘉乃
記事一覧
作詞作曲家・ライター
3歳からピアノを始め、現在は作詞作曲家&シンガーソングライターとして活動中。2014年からウェブライターとしての活動を開始。得意ジャンルは美容、恋愛、ライフスタイル。コスメコンシェルジュ、日本化粧品検定1級、ベビーマッサージ資格、乳児心理+児童心理資格取得。
2016年、ママユニット「mamakanon」を結成。活動5年目にして、YouTube再生回数1,200万回達成。2020年、フレンチシンガーバイオリニストソングライターとのDuo「ellipsis」を結成。両者の絶対音感を活かしてカバー演奏などを行う。
1児のママ。特技は早起き。ウィスキーが好き。

◇孔井嘉乃公式サイトmamakanon公式 YouTubeチャンネルellipsis公式 YouTubeチャンネル

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


旅先の古びた店には先客がいたようで 2023.2.2(木)
 旅先の古びた店に入ってみようか考えた時、さっと風が吹き、誰かが先に入っていったような気がした。  怖い話じゃない...
ダメー!!まだイケる!「弱ったシクラメン」復活させたい問題
 新しく年を迎えて早いもので1カ月。全身完全防寒スタイルで毎日寒さと闘っているお花屋さんの「冬仕事」も、全身に毛布をまと...
大切な人が今日も無事に帰ってきますように 2023.2.1(水)
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
ポンコツな自分に喝! つらーい「休みボケ」の原因と解消法
 年末年始が繁忙期という職種の方は、そろそろ遅めの冬休みでしょうか。仕事や家事に追われた後のお休みは、嬉しさもひとしお。...
実母だからこそイライラする!ストレス4大原因とその処方箋
 何歳になっても実母は頼りになる存在ですが、血が繋がっているからこそ言いたいことを言い過ぎてぶつかってしまうこともあるよ...
蛇口から地酒…駅ナカに酒好きの天国あった 2023.1.31(火)
 蛇口をひねるとうどん出汁が出るという香川県、みかんジュースが出るという愛媛県に続き、新たな夢が実現しました。茨城県の水...
信号で立ち止まったから見えた景色 2023.1.30(月)
 信号で立ち止まったから見えた景色が、肩の力を抜いてくれる時ってあるな。  見慣れた姿とは違う、向こうの世界からこ...
透明ボウルにすっぽり! かわいい“たまたま”が見えてますよ
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
買い物が楽しくなくなった…理由8つ&注意した方がいい兆候
 買い物は女性が大好きなことのひとつ。欲しいものを手に入れることが、ストレス発散や気分転換になっている人は多いでしょう。...
「いつか」じゃなくて「きょう」行こう 2023.1.29(日)
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
【3COINS】靴下の片方がなくなる問題を解決 2022.1.28(土)
 一緒に洗濯したはずなのに、片方の靴下がなくなった! なんて経験は、ありませんか? 片方だけ行方不明になると、履きたい時...
夜道の一人歩きでちょっとした出会い 2023.1.27(金)
 夜更けの道を歩いていたら、ふと視線を感じた。  おーい、君。そんなところにいたら危ないよ? と呟いたら、 ...
職場の年下社員がイヤ!苦手に感じる心理とうまく付き合う法
 職場の悩みで多いのが、人間関係のストレス。特に、年下社員を苦手と感じている30代や40代が少なくありません。  年齢...
一瞬で大粒の涙も乾く!傷つけられた時に使える即効回復呪文
「マスク美人」なんて言葉がありますが、みなさんは誰かに言われたことがありますか? というか、マスクに限らず、人からいきな...
大阪・ジオラマ食堂の“たまたま”はニンゲン慣れの修行中!
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
ぼっちの孤独感なし!女ひとりレストランの極意&楽しみ方
 ひとり外食に憧れを抱きながらも、なかなか勇気が持てない女性は意外といます。「ひとりで食事なんて寂しすぎ……」と、感じて...