野菜はたっぷり入れちゃって
老舗のそば屋のつまみに、天ぷらそばからそばを抜いた“天ぬき”と呼ばれるものがあるが、これはまさにそのパスタ版。「そのままテーブルに出したいので」と、シェフは耐熱のグラタン皿をいきなり直火にかけました。
「フライパンでもいいのですが、野菜は加熱すると、かさが減るので、怖がらずに野菜の量ギリギリの鍋や器で調理してください。それがおいしさのポイント。そして、野菜は“下から上の法則”で、下から上、下から上に返しながら火を通します」
玉ネギが透き通り、ピーマンに艶が出て、野菜のかさが半分ほどになったら、卵ポジションをつくって卵を投入。バターじゅわじゅわ、野菜しんなり、縁がこんがり色づいて、卵の白身に火が通ったら、ケチャップをたっぷりかけて完成です。
食べるときに野菜とケチャップを和え、時に卵の黄身をからめると、ひと口ひと口の味わいが微妙に変化して、そのグラデーションが酒を誘います。ビールも捨てがたいですが、軽めの赤ワインが合いますよ。
【材料】(2人分)
玉ネギ 2分の1個
ピーマン 2個
ベーコン 1枚
バター 15~20グラム
塩 少々
卵 2個
ケチャップ 大さじ2
こしょう 適量
【レシピ】
(1)玉ネギはくし形のうす切り、ピーマンはヘタと種を取って横1センチ幅、ベーコンは5ミリ幅に切る。
(2)耐熱皿を弱火にかけ、バターとベーコンを入れる。ベーコンが少し色づいてきたら、玉ネギとピーマンを加え、軽く塩をふる。スプーンと菜箸を使って下から上に返しながら火を通す。
(3)野菜のかさが半分ほどになったら、2カ所に穴をつくり、ボウルにいったん割り入れた卵を1個ずつ落とし入れる。
(4)野菜がさらにしんなりとして、卵の白身に火が通ったら、野菜全体にケチャップをかけ、こしょうをひき入れる。
本日のダンツマ達人…和知徹さん
▽和知徹(わち・とおる)
1967年、兵庫県淡路島生まれ。高校卒業後、辻調理師専門学校に入学。翌年、同校のフランス校とブルゴーニュの1つ星「ランパール」で半年ずつ研修する。卒業後、「レストランひらまつ」に入社。在職中にパリの2つ星「ヴィヴァロワ」で研修し、帰国後はひらまつ系列の飯倉片町「アポリネール」(現在閉店)の料理長に就任。退職後の98年、銀座「グレープガンボ」(現在閉店)の立ち上げに加わり、3年間料理長を務める。2001年に同店をオープン。
▽マルディ グラ
銀座並木通りの地下1階。フランス料理をベースに、和知シェフが世界各地を旅してインスピレーションを得たオリジナル料理に定評がある。
東京都中央区銀座8-6-19 野田屋ビルB1
(日刊ゲンダイ2020年6月23日付記事を再編集)
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