若手アナウンサーの転職が続々
テレビ局の若手アナウンサーの転職が珍しくなくなった。すでにテレビ東京の森香澄アナ(27)、日本テレビの篠原光アナ(28)が3月末で退社することを発表。森アナは一部週刊誌で、インフルエンサーに転身すると報じられており、篠原アナは「eスポーツ関連の仕事に挑戦したい」と公表した。
昨年末にはTBSテレビのアナウンサーだった国山ハセン氏(32)が退職。ビジネス映像メディア「PIVOT」で映像プロデューサーを務めるかたわら、タレント活動もしている。
アナウンサー試験は倍率1000万倍以上!
アナウンサー試験は、1000万倍以上とも言われる狭き門で、長年、憧れの職業とされてきた。在京キー局の平均年収はいずれも1000万円超え。花形アナウンサーともなれば、ステータスと安定した収入が補償されるのは間違いない(不祥事を起こしたら話は別)。
入社10年以下でなぜ辞めてしまうの?
安定志向の高まる中、それでも入社10年以下で辞めてしまう若手アナが増えたのはなぜなのか。就職活動事情に詳しい大学ジャーナリストの石渡嶺司氏が言う。
「テレビ業界に影響力があった20年ほど前までは、アナウンサーを目指す学生は、途中から管理職となって定年まで勤め上げるか、フリーランスへの転身、または知名度を生かして政治家を目指すといった限られた選択肢しかありませんでした。その前提でアナウンサーを目指していたとも聞きます。ですが、インターネットが普及し、テレビはニュースを発信する手段のひとつの選択肢にすぎないという位置づけに代わりました。
志望者を取材をしていると、学生時代からインフルエンサーとして個人で影響力を持ったタイプは珍しくない。そもそも発信力に長けた人物であり、テレビ局のアナウンサーに受かったのは“たまたま”なので、局アナに固執していないケースが多く見られます」
近江友里恵元NHKアナは三井不動産に
30代40代で異業種に転職する先輩社員が増えたのもデカい。日テレの元アナウンサーから、同志社大ハリス理化学研究所専任研究員に転身した桝太一氏(41)をはじめ、元テレ朝の富川悠太氏(46)はトヨタ自動車、同じく元テレ朝の大木優紀氏(42)はスタートアップの旅行会社、元NHKの近江友里恵氏(34)は三井不動産の総合職に転職。一般企業で活躍している。
自分の最適解は?
「元アナウンサーの知名度を生かしたキャリアの選択肢が増え、一般企業からも引く手あまたになりました。若い世代ほど、自分が表に出て発信する最適解は何だろうと模索しています。自分が主体で動ける場所を選び、入社後もほかにやりたいことや手段を見つけたら未練なく辞める選択肢をとる。会社名に頼らなくてもいい人材は、希望とするポジションが回ってくるのを待つ必要がないのです。
これはアナウンサーに限った話ではなく、大手の商社や銀行など大企業に入社した学生であるほど、スタートアップなども視野に入れた転職に抵抗ないタイプが少なくありません」(前出の石渡嶺司氏)
狭き門を突破できるレベルの学生にとっては、局アナは特別ではないのかも。
エンタメ 新着一覧