更新日:2024-09-03 13:54
投稿日:2023-11-03 06:00
見たくなかったキスシーン
男性陣の取り繕ったような会話に入るのが心苦しくて、
――すみません、ちょっとお化粧室に……。
いたたまれず、席を離れました。テーブルには男性3名と女性1名となりましたが、申し訳ないと思いつつ、化粧室に歩を進めたんです。
会場のレストランは、新宿の複合商業施設の一角にあり、店を出て長い廊下を進んだ先にあります。
(2次会のことはユリさんと化粧室で相談しよう)
そう思いながら歩いると、私の視界に思いもよらない光景が現れたんです。
化粧室近くの関係者専用ドアのスペースで、ユリさんと涼介さんがキスをしていたんです。
(うそ……)
私は息を飲みました。目を逸らそうとしても、体が動きません。呼吸さえも止まってしまって……」
「そんなの、適当にごまかしちゃえよ」に涙
――それはショックですね。続けてください。
「ショックでした……。私に見られていることなど気づかない2人は、キスを解いて、見つめ合ったんです。
――ユリさん、逢えて嬉しかった。
――私も……。
――この後、2人だけで飲まない?
――いいけど……連れの沙雪さんがいるから。
ユリさんは私を気遣ってくれました。2人の会話を聞き、悔しさに包まれながらも、私は『じゃあ、沙雪さんも一緒に誘おう』との言葉を期待していたんです。
しかし、涼介さんが放ったひと言は信じがたいものでした。
――そんなの、適当にごまかしちゃえよ。僕はユリさんと2人きりで飲みたいんだ。
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