そんなえりのボスのもとにはウワサを聞きつけ、今日も悩みを抱えた女性が、ふらりと立ち寄ったようですよ。
1. 最近、親が認知症気味かも…
春香さん(38歳女性/仮名)の方からご質問をいただきました。
「最近、母親が認知症なんじゃないかと疑っています……」
うつむいた表情でそう語る春香さん。深刻な雰囲気に、えりのボスも真剣に話を聞いています。
「先月、一緒にランチを食べた日のことです。そのお店は母が一度食べてみたいと言っていた流行りのお店で、たまたま平日に私の仕事が空き、一緒に行くことになりました。
そのランチはとてもおいしくて母も私も満足していたんですが、週末にその日のことを尋ねると、『え? ランチなんか食べたっけ?』と言い出すではありませんか!」
「それは確かに驚くわよね。『昨日の夕食は何を食べたっけ?』ってことはあるにしても。お母様はランチのこと自体を覚えていないのだものね」
「そうなんです。私は平日仕事で忙しくて、めったに一緒にランチに行くことはないので、忘れるはずがありません! まるで記憶自体がスッポリと抜けているような……。正直、ちょっと恐怖すら感じてしまいました」
春香さんは悲しそうな顔を浮かべます。えりのボスは、気遣いを見せつつ、認知症について語り始めます。
「人は20歳をピークに、記憶力がどんどん衰えていくの。60歳を過ぎると記憶力の低下が目立ち始めるわ。これは老化現象だから仕方のないこと。でも、加齢による物忘れと『認知症』は異なるものなのよ」
「そうなんですか! じゃあやっぱり母は……」
「待って。その前に、認知症がどんなものなのかをもう少し詳しく知る必要があるわね」
「ぜひ教えてください!」
えりのボスに懇願する春香さん。
これは放っておけません!
2. 認知症とは
「認知症には大きく分けると3つのタイプがあるの。いちばん多いのが『アルツハイマー型認知症』。そして、『血管性認知症』、『レビー小体型認知症』と続くわ」
「アルツハイマーは聞いたことがあります」
『アルツハイマー型認知症』は、長い年月をかけて脳にタンパク質がたまることで発症すると考えられています。
そして、『血管性認知症』は、脳梗塞や脳出血がもとになり、神経細胞に栄養や酸素が行き渡らなくなって起きる認知症です。
『レビー小体型認知症』は割合としてはやや珍しい認知症で、記憶障害のほかに、ありもしないものが見える幻視症状を引き起こすことがあります。
「原因はそれぞれ違うけど、認知症は基本的には進行性。完治は望めないの。認知症治療は、『症状の進行を遅らせる』という目的が主になるわ」
「そうなんですか……」
再び、落ち込んでしまう春香さん。そんな姿を見て、えりのボスは励ますように言いました。
「お母様はまだ認知症と決まったわけではないし、仮に認知症だとしても、何もできないわけじゃないのよ!」
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