産休クッキー炎上 善意でも地雷的気遣いとは?心理学・マナー講師に聞く

コクハク編集部
更新日:2024-04-20 06:00
投稿日:2024-04-20 06:00

Xのトレンドワード入りした「産休クッキー」論争とは…

「産休クッキー」がXのトレンドワード入りし、大炎上した件。発端は、4月15日に一般女性が投稿した《職場の人に配るクッキーの赤ちゃんがかわいい》というポストで《産休をいただきます 御迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。》と赤ちゃんのイラスト入りのクッキーの写真が添えられていた。

 この投稿は17日には閲覧数4000万件以上、約900件のコメントが殺到し、

《わざわざクッキーまで用意してくれるなんて、職場周りの人への気配りが良きですね!》

《なんで燃えるか分からないっていう人はリアルでマジで知り合いに不快な思いさせてることあるかもしれないから気をつけても良いかも…》

《産休クッキー。結婚や妊娠に悩んでる人からすると辛いと思う。素直におめでとうと言えない自分を残念に思うし。》

 などと賛否両論を呼ぶ事態に…。自分は良かれと思ってやっても、相手の“地雷”を踏んでいるリスクがある例となった。

他人の幸せがみんなの幸せとは限らない

 明大講師の関修氏(心理学)はこう言う。

「もちろん妊娠・出産は幸せなことですが、様々な理由で子どもを諦めた方もいるので、他人の幸せがみんなの幸せとは限らないのだと、肝に銘じておく必要はあるでしょう。心の中で不快に思っていても、口外する機会はなかった時代とは異なり、SNSの普及で何でも容易に発信でき、共感するコミュニティも構築されました。それによって、自分の善意が悪意として拡散されてしまうケースもあり、これまで以上に配慮が求められる社会になりましたね」

 産休前の職場への差し入れに限らず、旅行のお土産や退職祝い、誕生日や結婚祝いなどでも無用なトラブルは避けたいところ。贈り物を渡す側は、その品物に「自分の幸せ」を示すと押し付けだと捉えられたら、たまったものではない。

メッセージ類は添えず「ご迷惑をおかけします」と事実だけを伝える

 では一体、何を渡すのがいいのか。上場企業向けのマナー講師を務める秋久めぐみ氏が解説する。

「お菓子であれば、個包装タイプだと小分けの手間もかからず、手を汚さずに食べられていいですよね。多様性の時代ですから、職場で配るなら熨斗やメッセージなどは付けず、『1年お休みしますので、ご迷惑をおかけします』と事実だけを伝えれば十分です」

 お礼など個別に贈り物をする場合、賛否が分かれるのがハンカチだ。端切れ(手切れ)を連想させることから相手にとっては不快に感じないとは限らない。

「渡す際に『〇〇さんと営業に回った時に汗を拭かれてた姿に、当時新人だった私はかっこいい営業マンだと思って気合いが入ったんです』などと、ハンカチを選んだ善意の気持ちをメッセージとして添えたら、お相手も嫌な気はしないでしょう。

 相手の地雷がわからないからこそ、言葉を添えることでトラブルは極力避けられます」(秋久めぐみ氏)

コクハク編集部
記事一覧
コクハクの記事を日々更新するアラサー&アラフォー男女。XInstagram のフォローよろしくお願いします!

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


介護施設の選び方…入所前に“本性”を暴くチェックポイント
 近ごろ、ニュースで目にするたびに高齢者への虐待に心を痛めています。筆者は、これまで6つほどの介護施設で働きましたが、そ...
失敗しない家の選び方 快適生活のため気をつけるポイント6つ
 筆者は、これまでの人生で実家の引っ越しも入れると、8回ほど引っ越しをしています。そのうち5回ほどは、結婚や仕事の都合、...
えっ転移? 子宮頸がん術後に襲いかかる後遺症リスクのお話
 私は42歳で子宮頸部腺がんステージ1Bを宣告された未婚女性、がんサバイバー2年生です(進級しました!)。がん告知はひと...
やっと会えたね♪ 水辺でデートを楽しむ幸せ“にゃんたま”
 望遠レンズを覗いていると……きょうのにゃんたまωは、水辺で決闘!?  いいえ、水辺で逢い引きです。  雨が...
オンナが恋愛ネガティブになる“不幸のスパイラル”脱出法とは
 いつからだろうか? 仕事は楽しくできるのに、プライベートではなぜかネガティブ。特に恋愛に関しては腰が重い。 「この人...
犬を飼いたいと思ったら…救える命があることも知ってほしい
 近ごろは空前のペットブームですね。「犬って可愛いなぁ」と思う人も多いのではないでしょうか。散歩をさせている犬をみれば「...
小さな優しさが呼んだ奇跡…ワタクシは花のチカラを信じます
 死ぬまでにしたいことはなんですか――? そんなことを突然聞かれても、どれだけの方が答えられるのでしょうか。  あ...
大人のストレス発散方法5つ! イライラ社会をどう生き抜く?
 日々、ストレスを感じることは多くあります。仕事や人間関係でどうにもならないことに遭遇すると、やきもきしてしまいますよね...
愛しいあの子を待ち伏せ…気品あふれる白い“にゃんたま”王子
 きょうは、幸せの白いにゃんたまω。  綿アメみたいにふわっと品性あるにゃんたまなので、「白にゃんたま王子」と名付...
身近な人の変化に気づいて 認知症の兆候が疑われる3つのこと
 身近な人の変化に「認知症かも……」と疑いたくなることはありませんか? 認知症が社会的な話題となり、「もしかして」と思う...
ストレス発散や美肌にも…キックボクシングで女性の悩み解決
 働き方改革で残業が少なくなりアフター5(ファイブ)を楽しむ時間の余裕ができた今日この頃。早く帰っても何をしたらいいのか...
いよいよ子宮全摘へ 入院女子が涙した必須&便利グッズ17選
 私は42歳で子宮頸部腺がんステージ1Bを宣告された未婚女性、がんサバイバー2年生です(進級しました!)。がん告知はひと...
暑い日はずっとシエスタ…大事な“にゃんたま”を冷やす後ろ姿
 暑い日をどう過ごすか。  きょうは「夏だって毛皮を纏ってるぜ!」のにゃんたま君の知恵を拝見しましょう。  ...
ピルでツルツル肌に? 知っておきたい8つのメリットと危険性
 ピル連載も4回目。第1回目の「日本はピル後進国!『ピル=避妊』の考え方は遅れています」でも少し触れましたが、今回は、ピ...
勤務時間が長い! “自分しかできない仕事”をゼロにする方法
 定時上がりは憧れるけど、いつも勤務時間内に処理しきれず残業――。当然、プライベートの時間はカット。1日1時間の残業で、...
不妊症大国ニッポン…卵子凍結で産みたい人が産める社会へ
 子供を産みたい人がちゃんと産めるような社会にしたい。不妊治療で悲しむ人をゼロにしたい。これが私の願いであり、目標です。...