まさか、乳がん?生理が終わったのに胸が張る…【薬剤師監修】気になる理由と受診の目安

コクハク編集部
更新日:2024-09-19 06:00
投稿日:2024-09-19 06:00
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、ちょっとした有名人。でもって、タヌキか妖怪の噂も囁かれるなか、健康に関する知識はズバ抜けている――。
 そんなえりのボスのもとにはウワサを聞きつけ、きょうは「生理が終わったのに胸の張りが気になる」と違和感に悩む女性が、ふらりと立ち寄ったようですよ。

1. 生理が終わったのに胸の張りが気になる女性、パートナーと一緒にいるときも胸の張りが気になって落ち着かない

 えりなさん(32歳女性/仮名)からご質問をいただきました。

月経中ではないのに胸が張ることがあり、少し気になっています。最初は何となく張っているかな? くらいだったんですが、一度気になると違和感で落ち着きません。

 この間、少し胸の目立つドレスを着たのですが、パートナーの前なのにずっと胸の張りが気になって仕方ありませんでした。気軽に相談することもできず、ひとりで悩んでいます…」

 えりなさんの深刻な表情を見て、えりのボスは心配そうに言いました。

「胸の痛みは確かに怖いわよね」

「そうですね。もしかしたら重い病気なのかなとか…」

 消え入りそうな声を出すえりなさん。

 これは放っておけません!

【読まれています】漢方薬を飲むだけで痩せる?【薬剤師監修】この夏話題の“漢方ダイエット”「防風通聖散」を味方に

2. 月経中ではないのに胸が張るメカニズム

「そもそも、月経中に胸が張るのは、女性ホルモンのプロゲステロンのはたらきによるものよ。月経前にプロゲステロンの分泌量が増えることで水分がためこまれて、胸が張るの。通常は月経後に元に戻るんだけど、女性ホルモンのバランスが乱れていると、張りが強くなることがあるわ」

「なるほど…」

「細菌感染や、授乳中の場合は母乳の滞りも影響するわ」

 えりなさんは、心配そうにえりのボスに尋ねます。

「病気が影響することはないんですか?」

「乳腺症や乳腺炎、うっ滞性乳腺炎、重い病気だと乳がんなどね」

「乳がん…」

 絶句するえりなさんを、えりのボスはフォローします。

「もちろん、胸の張りがあるからといって、すぐに乳がんと決まったわけではないわ。でも、違和感があるなら一度病院で診てもらったほうがいいわね」

3. まずは受診してみよう

 胸の張りや違和感があるなら、まずは「乳腺科」「乳腺外科」を受診しましょう。乳がんの専門医に検診、診察してもらうと安心です。

 診察の際は、いつから違和感があるのか、張りはどのくらい続くのかといったことを聞かれるので、きちんと思い出しておきましょう。

 病気の早期発見、早期治療のためにも、違和感があるならなるべく早く医療機関を受診することが大事です。

4. ホルモンバランスを整えるには

 乳房の張りは女性ホルモンのバランスに大きく左右されるので、ホルモンバランスを整えるセルフケアを行いましょう。今すぐ試せる3つの方法をご紹介します。

4-1. 食事バランスに気を配る

 食事は、栄養を考えてまんべんなく摂取することが大事です。

 肉、魚、乳製品、卵などの動物性たんぱく質は女性ホルモンを作り出すために重要な栄養素です。また、大豆は女性ホルモンのエストロゲン似た作用を持つイソフラボンが多く含まれるので、意識的にとり入れましょう。

 そして、女性に不足しがちな鉄も忘れずにとり入れましょう。レバーやひじき、小松菜などがおすすめです。

4-2. 睡眠をしっかりとる

 睡眠の質の低下は女性ホルモンの分泌が不安定になる原因になるので、十分な睡眠をとることが大事です。

 脳にある視床下部は卵巣に司令を出すはたらきがあり、女性ホルモンの分泌に関わっています。視床下部は自律神経や免疫機能に関わる大事な部位です。質のいい睡眠をとり、脳をきちんと休めましょう。

4-3. 漢方薬を使用する

 女性ホルモンのバランスを整えるには、漢方薬もおすすめです。漢方薬は植物や鉱物といった生薬をもとにしていて、自然由来の治療薬として注目されています。

 ストレスも女性ホルモンの乱れの原因とされており、心とからだ全体を整える漢方薬は、女性ホルモンの乱れによる不調の改善を得意としています。

 女性ホルモンのバランスを整えるには、「ホルモンバランスの乱れを整える」「自律神経を整えてストレスを緩和する」ような漢方薬を選びましょう。

<女性ホルモンのバランスが気になる人におすすめの漢方薬>

・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):血行を促進して栄養を補い、生理不順やPMSの改善が期待できます。

・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん):滞った栄養の流れをよくして、生理痛や月経不順などの婦人病の改善が期待できます。

 スマホで気軽に専門家に相談できるオンライン個別相談も話題です。スマホで完結できるので、対面では話しづらいことも気軽に相談が可能。お手頃価格で不調を改善したい方は、医薬品の漢方をチェックしてみましょう。

5. 胸の違和感があるなら、まずは病院へ

「胸の張りは女性ホルモンのバランスの乱れのほかに、病気が関わっていることもあるわ。違和感があるなら、まずは乳腺科や乳腺外科で診てもらい、スッキリしましょう」

「はい! まずは病院に行こうと思います」

 えりのボスの言葉で勇気づけられたえりなさん。すっかり安心したようです。

「また気になることがあったら、いつでもサロンへいらっしゃい」

 優しい表情でサロンを去っていくえりなさんを、えりのボスは笑顔で送り出しました。

★サロン「コクハク」のオーナー えりの

 顔と口調は若いものの、年齢不詳。タヌキか妖怪の噂も囁かれる謎めいた主人だが、ココロやカラダ、健康に関する知識はズバ抜けており、何気にハイスペック。ムスメ時代に苦労してるため、自分より“後輩”の女にはしあわせになって欲しいと願っている。愛称は、えりのボス。

(漫画/腹肉ツヤ子

  ◇  ◇  ◇

<この記事の監修者>

あんしん漢方薬剤師 中田 早苗(なかだ・さなえ)

 デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘルス-youtubeチャンネルでは、お薬最適化薬剤師として「無駄な服薬はお財布と体の敵!」をモットーに薬の最適な選び方を解説する動画を公開中。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。

「あんしん漢方」を詳しく見てみる

コクハク編集部
記事一覧
コクハクの記事を日々更新するアラサー&アラフォー男女。XInstagram のフォローよろしくお願いします!

ビューティー 新着一覧


寝癖ヤバッ!ごまかす方法&防止策をマスターして優雅な朝を
 朝起きてひどい寝癖がついていると焦りますよね。ギリギリまで寝ていたら、寝癖直しに時間がかかって大ピンチに! そんなとき...
2023-02-28 06:00 ビューティー
40代の体はまだ軽くなる! 脱プチ不調・お守りアイテム3選
 アラフォーをすぎると、仕事を休むほどの不調ではなくても、なんとなくやる気が出なかったり頭が働かなかったり……と、ちょっ...
天然パーマを直すのは無理?頑固な癖毛を扱いやすくする3TEP
 地毛がくるんとカールしてしまう天然パーマに悩んでいる人は多いのではないでしょうか? 実際に、天然パーマだと「髪の毛がま...
在宅ワークで眉毛迷子に…流行りのアイブロウアイテムに刷新
 在宅ワークで、人に合わない日々を過ごして3年弱。オシャレの手を抜いて、服や化粧品を購入する機会も減っていました。が、こ...
世にいうおしゃれ更年期!? 去年の服が似合わない原因&5つの対処法
 衣替えをするのは大変ですが、「そうだ、これ買ったんだ!」なんて忘れていた洋服と再会することもあり、ちょっぴり楽しい時間...
不安定な生理や閉経前こそ月経カップ!基本的な使い方【専門家監修】
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
非モテ認定待ったなし! 男に誤解されやすい地雷系メイク3選
「地雷系女子」とは、見た目は可愛いのに、性格が自分勝手で自己中心的だったり、情緒が不安定で感情をコントロールできなかった...
お腹がすいた、我慢無理!おすすめの「太りにくい夜食」4選
 仕事が遅くなってしまった時や、夜中に資格取得の勉強などをしている時、どうしても夜食が食べたくなってしまう時ってあります...
冬に毎日シャンプーするのはNG? 寒い季節の正しいヘアケア
 汗をかきやすい夏は、毎日シャンプーをしている人がほとんどでしょう。でも、「汗をかかず、乾燥しやすい冬にも毎日シャンプー...
尻のおできは踊り子の職業病?穴開きクッションの世話になる
 書店員として本を売りながら、踊り子として舞台に立つ。エッセイも書く。“三足の草鞋をガチで履く”新井見枝香さんの月イチ連...
40代の疲れ顔を解消!ケバくならない「お呼ばれメイク」ポイント7つ
 結婚式やお祝いなどお呼ばれの席では、服装や雰囲気に負けない華やかな「お呼ばれメイク」をしていきたいですよね。でも「お呼...
更年期予防&若さを保つにはホルモンの一種「ビタミンD」【専門家監修】
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
実はカロリーお化け!意外に高カロリーな食材&食べすぎ時の対処法
 ダイエットの大敵といえば、「おいしい食べ物」ですよね。でも、完全に我慢するのは逆にストレス……。多くの人はできるだけ低...
シリコン製グッズを制する者がしっとり肌に!手持ちの化粧品も使える
 しっとりとした肌を育むために、どんなことをしていますか? 乾燥が気になる秋冬シーズンには、普段より高保湿のコスメに変え...
毛穴詰まりが怖くて躊躇…ナイトパウダーってどうなのよ?
 みなさんは、ナイトパウダーを使っていますか? ネットでも話題になっているので、気になっている人も多いはず。でも中には「...
イジらなくても魅力増す「40代のチャームポイント」見つけ方
 年齢を重ねると、見た目の差がだんだん大きくなってきますよね。実は、40代を超えてからも綺麗で可愛らしい女性の多くは、「...