歳は取るもの、尿はちょい漏れるもの!? 40代向け尿漏れ対策に取り入れたいセルフケア【薬剤師解説】

コクハク編集部
更新日:2024-10-17 06:00
投稿日:2024-10-17 06:00

3. 尿漏れの種類

 40~50代の女性が悩む尿漏れは、主に以下の3種類です。

3-1. 腹圧性尿失禁

 くしゃみをしたり重い荷物を持ち上げたりして腹圧がかかったときに尿が漏れるのが、腹圧性尿失禁。走ったりジャンプをしたり、急に立ち上がったりしたときに尿が漏れることもあります。

 40~50代の女性に多い失禁だといわれています。

3-2. 切迫性尿失禁

 切迫性尿失禁とは、突然「トイレに行きたい!」と思い、我慢できずに漏らしてしまう失禁です。脳梗塞やパーキンソン病、膀胱がんや子宮脱が原因となっていることが多いといわれています。

3-3. 混合性尿失禁

 前述の腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の2つの症状がある失禁が、混合性尿失禁と呼ばれています。

4. 尿漏れの改善・予防方法は?

 尿漏れの原因が脳梗塞や膀胱がんの場合、早急に病院を受診しましょう。一方、骨盤底筋のゆるみが原因で尿漏れを起こしている場合、セルフケアで改善・予防することも可能です。

 自分でできる改善・予防方法を紹介します。

4-1. 骨盤底筋体操

 骨盤底筋体操を毎日行うことで、少しずつ骨盤底筋のゆるみを改善することが期待できます。仰向けでひざを立てた状態、ひじとひざを床につけて四つん這いになった状態、座った状態など、自分に合う姿勢で試してみてください。

(1)深呼吸をして全身の力を抜き、神経を骨盤底に集中させる
(2)肛門や膣をおなかの方に引き上げる感覚で5秒間引き締める
(3)締めた筋肉を緩め、再度5秒締める
(4)上記の運動を5~10回繰り返す
(5)少し時間をおいたら、(2)~(3)の運動を1秒間隔で5~10回繰り返す

 上記の体操を目安として1日4回行ってみてください。少しずつ骨盤底筋のゆるみが改善していきますよ。

4-2. 膀胱訓練

 頻尿気味な人は、それほど尿がたまっていないのにトイレに行きたくなる場合があります。これは、尿を我慢する訓練によって解消できる可能性があるでしょう。

 尿意を感じたとき、すぐにトイレに行かずに5~10分我慢してみてください。それができるようになったら、少しずつトイレを我慢する時間を延ばします。

 我慢できるようになった時間を記録していくことで、訓練の成果がわかりやすくなりますよ。ただし、無理はしないでくださいね。

4-3. 尿漏れパッドの使用

 尿漏れが下着や衣服に響かないか気になり、外出をするのが怖いと感じる人もいるでしょう。その場合は、尿漏れパッドが役立ちます。オムツタイプだけではなく、生理用のナプキンと同じ感覚で使用できますよ。

 消臭効果もあり、薄いため外出の際に尿漏れパッドを付けておけば安心できるでしょう。

 ただし、尿漏れパッドによって対策をするとそれに依存してしまい、尿漏れしやすくなる恐れがあるといわれています。骨盤底筋体操や膀胱訓練を行いながら、サポートとして使用してくださいね。

4-4. 強く力まない

 40~50代に多いといわれている腹圧性尿失禁は、おなかに力が入ることが原因です。失禁しないために、普段から力まないことを意識しましょう。おなかを締め付けるようなファッションを避けることも効果的ですよ。

4-5. 漢方薬の服用

 尿漏れは漢方薬の服用によって対処することもできます。漢方薬のなかには「尿漏れ」に効果が認められているものもあり、実際に、泌尿器科で処方されることもありますよ。

 尿漏れには、「膀胱の機能を正常化する」「弛んだ筋肉を引き締める」「自律神経の乱れを整え、排尿のコントロールを改善する」といった漢方薬を選び、根本改善を目指しましょう。

<尿漏れ対策におすすめの漢方薬>

・八味地黄丸(はちみじおうがん):疲れやすく、手足の冷えがある人におすすめ。泌尿器の機能を高め、頻尿や残尿感、尿漏れを改善します。

・補中益気湯(ほちゅうえっきとう):食欲不振で元気のない人におすすめ。下がってしまった内臓や骨盤底筋を引き上げる働きがあります。

 スマホで気軽に専門家に相談できるオンライン個別相談も話題です。スマホで完結できるので、対面では話しづらいことも気軽に相談が可能。お手頃価格で不調を改善したい方は、医薬品の漢方をチェックしてみましょう。

5. 尿漏れが気になったら早めの対策を!

「もう尿漏れは治らないと思っていたんですが、自分でできる体操や訓練があるんですね! それに尿漏れパッドもあるなら、外出するときも安心できそうです」

 相談に来たときとは違い、明るい表情を見せるさやかさん。

 えりのボスは優しく話しかけます。

「尿漏れは、年齢を重ねると多くの人が経験する悩みよ。セルフケアを試しつつ、気になることがあったら恥ずかしがらずに病院の受診も検討してみてね」

「はい、わかりました! よーし、早速この前断った友達や家族に謝って、またお出かけの約束をしなきゃ!」

「また気になることがあったら、いつでもサロンへいらっしゃい」

 優しい表情でサロンを去っていくさやかさんを、えりのボスは笑顔で送り出しました。

★サロン「コクハク」のオーナー えりの

 顔と口調は若いものの、年齢不詳。タヌキか妖怪の噂も囁かれる謎めいた主人だが、ココロやカラダ、健康に関する知識はズバ抜けており、何気にハイスペック。ムスメ時代に苦労してるため、自分より“後輩”の女にはしあわせになって欲しいと願っている。愛称は、えりのボス。

(漫画/腹肉ツヤ子

  ◇  ◇  ◇

<この記事の監修者>

あんしん漢方薬剤師 中田 早苗(なかだ・さなえ)

 デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘルス-youtubeチャンネルでは、お薬最適化薬剤師として「無駄な服薬はお財布と体の敵!」をモットーに薬の最適な選び方を解説する動画を公開中。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。

「あんしん漢方」を詳しく見てみる

コクハク編集部
記事一覧
コクハクの記事を日々更新するアラサー&アラフォー男女。XInstagram のフォローよろしくお願いします!

ビューティー 新着一覧


1本660円~でぷっくり唇!40代美容家も“質感”納得、プチプラリップ3選
 口紅は毎日使うものだからこそ、自分に似合う色を選びたいだけでなく、トレンドを意識したテクスチャーにも注目したいところ。...
【まつ育ルポ】まつ毛にも老化の波…40代お疲れ目元をどうにかしたい!
 まつ毛のカールに欠かせないビューラー。くいくいっと動かした後、ビューラーのゴム部分を見ると大事なまつ毛1本、2本と付着...
キャンメイクのアイライナーに盲点…苦手な40女が目元に引くとこうなる
 話題のコスメや、広告でよく見かける化粧品や日用品。「webでよく見るあの商品、本当にイイの?」「買ってみたいけれど、口...
【直撃】「死んだ方がマシ」がん患者の拒否で悲痛の決意! 東大医師が女性器形成に力を注ぐワケ
 名器整形など、下半身に特化した医院「ヴェアリークリニック」。前編では実際に受けた有名人のお話しや、手術の種類などについ...
【直撃】三上悠亜や有名女優を名器に!密かなブーム「下半身整形」気になるあれこれを人気医師に聞いた
 有名人のお顔や体の整形公表は今や珍しくはありませんが、いまだ公表を憚られるパーツ、それがデリケートゾーンではないでしょ...
「地味な顔だから似合う服」足して引いてパッと華やぐコーディネート術
 地味な顔立ちの人は自信を持てなかったり、自分の良さを上手に表現し切れなかったりすることがあります。でも実は、地味な顔に...
40代女性は口ヒゲ注意!? 案外見られている口周りのムダ毛処理法&注意点
 40代女性は仕事や家事、育児などに忙しい年代です。とはいえ、自分に使う時間が少なくても「最低限、ムダ毛処理くらいはちゃ...
化粧水ジプシー脱出!敏感肌が落ち着く“千円以下”の最適解はあんな所に…
 長年愛用してきた化粧水が、自分の肌に合わなくなったことに気づいたのは昨年末のこと。そこから半年間は“化粧水ジプシー”だ...
小ジワもたるみも無問題!美容家ベタ惚れ“高発色”プチプラアイカラー3選
 40代、50代…と年齢を重ねるにつれ「アイシャドウの色がのらない…」と感じてはいませんか?  悲しいけれど大人世...
40代痩せたいなら背中を鍛える!見落としがちな「美スタイル」習慣3つ
 ダイエットをする際、お腹や足への成果を求めがちですが、ちょっと待って。40代で痩せたいと思うなら、見落としがちな「背中...
VIO脱毛のきっかけとメリット もじゃもじゃの自己処理から卒業したい!
 VIO脱毛は、ほかの部位と比べてハードルが高いと感じますよね。実際にVIOの脱毛をしてみたいけれど、なかなか勇気が出な...
湿気で髪が制御不能! 梅雨入り前に対策したい3つのこと&応急処置
 梅雨の季節の悩み事といえば、髪の毛のうねりや広がりですよね…。特に、癖っ毛や天然パーマ、猫っ毛の人は激しく共感している...
ファンデ不要?「プリマヴィスタの下地」だけ。40代10時間耐久の結果は
 話題のコスメや、広告でよく見かける化粧品や日用品。「webでよく見るあの商品、本当にイイの?」「買ってみたいけれど、口...
毛穴の黒ずみを抹殺したくてVOCEの付録にダイブ!高額美容液がめちゃ得
 毛穴が気になっていたので、VOCE7月号 通常版「毛穴ケア決定版BOX」の付録に飛びつきました! いろいろな種類のアイ...
雨の日のアホ毛どう封印? バックに忍ばせたいスティックと“最後”の対策
 梅雨の季節ですね…。湿気で髪の毛がうまくまとまらない日々が続くので、女性にとっては憂鬱なことこの上なし。特に、アホ毛に...
品薄なヴァセリンパック。試しにバームを直塗りしたら“ギョッ”な事態に…
 話題のコスメや、広告でよく見かける化粧品や日用品。「webでよく見るあの商品、本当にイイの?」「買ってみたいけれど、口...