まさか痴漢に遭うとは…更年期真っ最中のおばさんの身に降りかかった「性的な危険」

小林久乃 コラムニスト・編集者
更新日:2025-02-05 19:33
投稿日:2025-01-29 06:00
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まった老化現象についてありのままに綴ります。第15話は「おばさんも危険」。

痴漢被害は若い女性だけ?

 年齢を重ねるのは面白みも増すけれど、大変であることは確か。同年代との会話は更年期、病院、健康、親の介護に自分の老後の話しがメインになった。

「最近、乾燥すごくない? なんかプツプツと湿疹も出てきちゃって…。たまの休みも自分の病院巡りで終わるよ」

「人間ドック、いいところ知っているんだけど!」

 まあいい。これも諸先輩方が辿ってきた道で、我々に順番が回ってきただけだ。

 ひとつ利点を挙げるとしたら、おばさんになったおかげで「痴漢を気にしなくていい」。だった。深夜の一人歩きも満員電車も酒場も、とうが立った女を対象者として見ることはない。危険な視線を気にしなくていいのは、年齢を重ねた利点だと思っていた。

 が。その考えを自省することになるのが、本日のテーマ「おばさんも性的な意味で危険な目に遭うことがある」。最近、実際に運悪く変なおっさんに絡まれることになってしまった。


【こちらもどうぞ】「更年期じゃね?」「おばさん、更年期(笑)」適当な情報を鵜呑みした女子大生たちが悪いのか?

まさかのナンパか、性被害か

 20〜30代を振り返ると痴漢被害によく遭遇した。東京在住なので被害シーンのメインは電車内。自分の性器を当ててくる、お尻を触られる。横断歩道で前から歩いてくる男性にいきなり胸を触られたこともあった。今もし被害に遭ったら、大騒ぎをして警察に突き出すだろう。

 無罪を主張しようものなら、自分のありとあらゆる知識とブレーンを使って、完膚なきまでに叩き潰す…けれど、20代の私は逃げることしかできなかった。

 そして若いと言われる年齢を過ぎ、痴漢はもう遭遇するものではなく、こちらが救助するものだとばかり思っていた。まさかアラフィフとなって被害にも遭うなんて、思いもよらず…。

 とある夜のことだ。飲み会を終えて23時ごろに最寄りの駅から歩いていると、自宅まであと少しというところで、サラリーマン風のおっさんから「飲みに行こうよ」と、声をかけられた。

(は? ナンパ? マスクをしているからわからないと思うけど、私、年齢を聞いたらびっくりの相当なおばさんよ? は?)

 心の叫びを消して「結構です」と言い、スタスタと歩き出した。が、ニヤニヤしているおっさんに手首を掴まれる。これが男の力というものを発揮していて、簡単に振り払えず、恐怖でドキッとする。これは痴漢という言葉だけでは収まらない、立派な性加害だ。

「いいじゃないですか、一杯だけ」

 我が地元の駅は住宅街なので夜になるとコンビニくらいしか、店は開いていない。そういう静かさを選んで気に入って住んでいるのに、それが仇になるとは思いもよらなかった。

小林久乃
記事一覧
コラムニスト・編集者
出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にてデビュー。最新刊はドラマオタクの知識を活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」(青春出版社刊)。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディアの構成と編集、プロモーション業が主な仕事。正々堂々の独身。最新情報は公式HP

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


茜色に心和むひと時、だからこの時間が好きなんだ
 忙しない街にも訪れる特別な時間。  足早に歩く人々は顔を上げ、しばし空を仰ぎ見てから、また現実へと戻っていく。 ...
女+家=嫁…「嫁ぐ」と「結婚」の違いはある?
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
ほっこり癒し漫画/第68回「コウメばあちゃんはどこ?」
【連載第68回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、突然「コクハク」に登場! 「しっぽ...
貸したお金を催促するのにこんな手が…! モヤモヤを解消するLINE3選
 人にお金を貸した後、なかなか返してくれなかったら、とても嫌な気持ちになりますよね。  とはいえ、お金の話は、言い...
電マの営業からラブホの清掃員へ…羞恥心とも戦うストリッパーが思うこと
『電マの営業・新井です!』(略して「電マの新井」)という新作が大変好評だ。  書店員にとっての新作といえば「新しく...
口喧嘩で負けたくない! 勝ちたい時に使えるマル秘戦術3選
 みなさんは誰かと口論になった時、どんな戦法で勝ちにいきますか?  方法は十人十色ですが、今回は代表的な勝ちパターン...
凍り付いた湖の夜が更けて
 もしも突然、この瞬間に、氷が解けたらどうなるんだろう。  そう思いながら、凍て付いた湖の上に立つ自分が結構好き。...
「レンジでゆたぽん」人気じわり..足を温めると眠りやすい!
「レンジでゆたぽん」を知ったのは、年末年始に長野県の義実家に行った時。寒がりな私を気遣って、義母が用意してくれたのです。...
青空にオレンジボディが映え“たまたま”の見返りメンチにキュン
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
私って性格悪い? 自分のダークサイドを自覚した4つの瞬間
 誰の心にだって、優しい部分と優しくない部分が存在するもの。そうわかっていても、自分の心のダークサイドを自覚すると「もし...
卒入学、彼岸、送別会【花屋が教える】予算内で理想の花束を贈る7カ条
「斑目さん、今年こそは頑張って期限内にお願いしますよ!」  お正月がなんとなく終わったばかり、なんて思っていたら、我が...
「とにかく盛り上がるやつ頼むよ」ってさぁ 先輩の無茶ぶりLINEがすぎる
 お笑い芸人の松本人志とその後輩芸人たちによるアテンド飲み会が話題になっていますね。  ニュースの真偽はともかく、...
2024-02-21 06:00 ライフスタイル
仕事のサボりがバレた瞬間4選 リモートワークは意外と見られている!
 近年では、リモートワークやフレックスタイムなどの制度が導入されて、数年前よりも働きやすくなりました。  一方で、自由...
真似から始まったファッションも、いつか体に馴染むもの
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
年の差婚の弊害?夫の“昭和の価値観”を持つ息子の将来が不安すぎる件
 セックスレスやセルフプレジャー、夫婦の在り方などをテーマにブログやコラムを執筆しているまめです。  私の夫は10...
仕事のモチベが上がらない!30女40女のやる気スイッチをONにするテク
 どんなに好きな仕事でもモチベーションが上がらない時だってありますよね。気持ちが乗っていない時は、ミスしたり、時間が永遠...