お受験界隈が中居正広に激怒!? ACジャパンの「教育虐待」CMに一部で批判が殺到している理由

小政りょう ライター
更新日:2025-01-31 13:27
投稿日:2025-01-24 06:00

受験=悪? 偏見を助長する演出になっていないか

 このCMにおいて最後の「子どもの心を尊重していますか?」という点が一番の訴求ポイントでしょう。
 
 ですが、暗い勉強部屋、妙に怖い母親、そして子どもの精神的幸福度が低いのが「勉強をしているせい」だと言わんばかりのデータの出し方は、確かに受験に向かって頑張っている子どもや親を惑わしかねません。

 確かに実際に事件になっている通り、行き過ぎた教育虐待は問題ではあるものの、親子ともども一番神経質になっている時に流すものかという意見には一理あるのではないでしょうか。

「子どもは子どもらしくあれ」の幻想と学歴賞賛の矛盾

 このようなテーマのCMが作られること、そして受験戦争が加熱することへの批判がある一方で、昨今の日本のメディアは高学歴をもてはやす風潮が以前にもまして強くなっていると感じます。

 知識系のクイズ番組では出演者の名前の横に大学名が入ることもザラ、お笑い界でも高学歴の学生芸人が幅をきかせている。学歴をもてはやし、格差を煽っていたメディアが「子どもは子どもらしくあれ」「子どもは身体を動かしたいもの」と主張するのは、まるで手のひら返しのよう。

 そんな昔ながらの認識の元で「志望校に入りたい」という前向きな希望を持って、勉強をしてきた子を立ち止まらせるようなCMを流してしまうことには筆者も疑問を感じます。

 散々学歴社会を見せつけておきながら、CMでは相反するテーマが流れる矛盾。様々な意見や風潮があって然るべき世の中ではありますが、合格という目標に向かって真っすぐ進んでいる時期に流されると、親たちがクレームを入れるほど怒ってしまうのは当然でしょう。問題提起も逆効果です。

 とにかく放映時期が受験時期と奇しくも重なりバッドタイミングでした。「これで受験をすることに迷いを感じた子どもが落ちたら、この状況を作った中居さんのせい。引退したとしても一生許さない」という意見も中学受験界隈のグループ内で見られました。

2024年から放送されていたようだが

 ただ、批判の声があるものの、実際リアルタイムでそのCMを見た人は少なく、オープンチャットやSNSの問題提起からリンクを辿ってCM動画を見た人が多い模様です。

 クレームや反響で放映の自粛をしたのか、筆者自身も今のところ1回しか目にしていません。実際の中学受験生や、その親御さんはテレビ、特にフジテレビを見ていない人が多いからのようです。テレビを見る時間があれば勉強をしているか、最近はTverなどで番組を選んで視聴している人も多いですからね。

 ちなみに、このCMは制作された2024年からたびたび放映されていたそうですが、リアルタイムで目にした中学受験関係者の中でも、今回の騒動で初めて見たという声がほとんどでした。そのことは救いではありますが、本来訴求すべき人々に届いていないのはCMとして失敗なのかもしれません。

小政りょう
記事一覧
ライター
映画・テレビの制作会社等に出入りもするライター。趣味は陸上競技観戦

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


月吹友香さん<前> 私がR-18文学賞で高齢者の性を描いた真意
 読書の秋到来。直木賞や芥川賞、日本推理作家協会賞に本屋大賞……国内には数多の文学賞がある中で、「R-18文学賞」(※)...
犬でなく人間だったらと思うと…モラ気質なワンコの実態3選
 モラハラ気質は、人間だけに限ったお話ではないのかもしれません。「うちの犬が人間だったら、モラ男(モラ女)に違いない…」...
子宮全摘だけでもつらいのに…腸閉塞で長さ190㎝の管を挿入
 私は42歳で子宮頸部腺がんステージ1Bを宣告された未婚女性、がんサバイバー2年生です(進級しました!)。がん告知はひと...
お日様パワーでモテにゃんに…ぽかぽか日光浴“にゃんたま”
 きょうのにゃんたまωは、雨上がりの日光浴。  濡れた毛を乾かして、お日様パワーでぽかぽかリラックス♪  気...
魔法の鍋! 自動調理鍋の購入でキッチンはどう変わったか?
 最近話題の自動調理鍋。材料を入れてスイッチを押すだけで、料理ができてしまうという優れもののようです。少しでもラクをした...
癒し系の彼女になって? 恋愛はそういうサービスじゃない!
 あなたには理想の恋人っていますか? 「優しい人がいい♡」「背が高くて色白がいい♡」「お金持ちがいい♡」  好きなタ...
共感されないけど…子どもを欲しいと思わない女の4つの理由
「子どもが欲しいと思わない」――。女性がポツリともらすと、男女問わず「どうして!?」「なんでほしくないの?」と質問責めに...
人はなぜ死者に花を手向けるのか? 古代から続く花のチカラ
 お花屋さんという御商売は、本当にさまざまなお客様のいらっしゃる場所でございます。ワタクシのお店は神奈川でもちょっぴりカ...
都会男子にスナックがブーム?おしゃれな20代男子が集うワケ
 スナックといえば従来は、場末な雰囲気でおじさんが多くて、煙たいイメージが強かったかもしれません。しかし、今そんなスナッ...
レディーファーストは常識!成熟“にゃんたま”デートに密着
 にゃんたマニアのみなさんこんにちは。  きょうは、にゃんたまωデートを後ろから大接近!  猫の写真週刊誌が...
なぜ内縁の夫や再婚夫はシングルマザーの連れ子を虐待する?
 女性の連れ子を虐待する内縁の夫や再婚夫の事件があとを絶ちません。一体どうしたら彼らの凶行を防げるのでしょうか。虐待する...
「親族が認知症かも?」と思ったらチェックすべき5つのこと
 自分の親や親戚が“高齢者”と呼ばれる年齢になると、些細なもの忘れに「認知症かも?」と思うことはありませんか。どんな人も...
子宮全摘手術からパン食まで回復も「腸閉塞」疑惑がぼっ発
 私は42歳で子宮頸部腺がんステージ1Bを宣告された未婚女性、がんサバイバー2年生です(進級しました!)。がん告知はひと...
ホストクラブではどんな時にシャンパンコールを行うのか?
 ホストクラブで夜な夜な飛び交うシャンパンコール。大勢のホストに囲まれてワッショイされるなんて、女子にとって夢のような時...
恋愛を求めるなら…あえて「出会いに行かない」を選択せよ
 さて10月に入り、いつに間にか秋めいて来ましたね。秋が終わると……いよいよクリスマス。できれば今くらいの時期にお相手を...
そっとシャッターを…木漏れ日を浴びてお昼寝中“にゃんたま”
 木漏れ日を浴びて、お昼寝タイムが心地よい季節になりました。  にゃんたま君はどんな夢を見て眠っているのでしょう。...